『パラレルトゥナイト:零れ話』

まえがき:
これは本家サイトカウプレ話『蘭世ちゃんのアルバイトニュース』から
派生した物です・・・
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『The Green-Eye'd Monster』






『お気をつけなさい、将軍、嫉妬というやつに。
こいつは緑色の目をした怪物で、人の心を餌食とし、
それをもてあそぶのです。』

−シェイクスピア『オセロー』第三幕第三場より−




誰も悪くない。ランゼだって私を裏切ってなどいない。
なのに、なのに何故なんだ。
何故私の心はこんなに荒んでいるのだ?

今の私を緑色の目をした”嫉妬”という名の怪物と呼ぶのならそう呼べばいい。
これ以上今の私に相応しい形容は無い・・・




「ううっ・・・ふうっ・・んんっ・・・」
泣き声とも、喘ぎ声ともつかないような彼女のか細い声が部屋の空気に重く漂う。
どれくらい時間が経っただろう。
蘭世は何度高みに追いつめられたか判らない。
何度果てたとも知れない。

蘭世は一糸纏わぬ姿で両手を縛られ、ベッドヘッドの飾り柱にそれを引っかけられていた。
生まれたままの姿の蘭世に相対して、男の方は背広の上着を脱ぎ自分が先程までしていた
ネクタイを外してそれを使って蘭世をベッドに縛り付けた以外は着衣を脱ぐ気配が全くない。

すでにいくつもの赤い蹂躙の跡が花びらのように蘭世の白い肌のあちこちに散っている。
着衣で隠れるだろうギリギリのラインを判っているような花びらの配置。
そして、女を、蘭世を知り尽くしているその男はその指先と唇だけで
蘭世を何度も何度も絶頂まで追いやっていた。
敏感な耳と胸、そして胎内を同時に責められ神経が焼き切れそうなほど電流が身体を貫いていく。
愛しい男に触れられていても、両手を縛められ自分からは抱きついていくこともできない。
それが一層蘭世の不安を煽る。

今も絶え間なく3本の指が蘭世の胎内を蠢き内襞を拡げえぐり続けている。
あるときは絶頂のあまりに。
またあるときは疲弊して朦朧となった末に。
そしてあまりの仕打ちに意識を遮断したくなって・・
蘭世は目を閉じその舞台から眠りの淵へ降りようとする。
だが。
(!)
蘭世が気を失ってしまいそうになるたびに・・カルロは口移しで苦い液体を彼女に
与えるのだ。
「う・・っ ごほっごほっ・・」
「だめだランゼ。わたしはまだお前を解放する気はない」
「ど・・うしてぇ・・!」
(もう・・いやよぉ・・!)
苦い液体は・・・気付け薬であった。
蘭世はいやいやをし、その目からはぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
それでも、カルロはその淫靡で執拗な”愛撫”を止めようとはしなかった。

子宮の入り口を指で突き上げられさらに蘭世は自らの欲望に火がつく。
(ちがうの、ちがうのよ・・)
欲しいのは”狂おしい快感”だけじゃないのに。
私は、貴方が欲しいのに。
これでは 私はただの貴方の玩具(おもちゃ)・・・

(おねがい おねがいよ・・・)
懇願する瞳で蘭世は自分を組み伏す男を見上げる。
だが、男はそれを重々承知で、それでもそれを止めようとはしない。
そして、一向に自らを与える素振りも見せないのだ・・・。

蘭世の口は塞がれてはいない。カルロに噛みついて意識を失わせてしまうことは
できるだろう。
だが、蘭世はそれでは何も解決しないことをなんとなく悟っていた。
カルロは自分のしたことに腹を立てているのだ。
(ダークの緑色の瞳が、私に何かを訴えている・・・)
だから、だからダークは私をこうしてベッドに縛り付けているのだ・・・

事の始まりは、蘭世が始めたアルバイトだった。
蘭世の正体を知らない男子学生達は、気軽に彼女へ声を掛ける。
そして人当たりの良い蘭世はそれに笑顔で返す。
短めのタイトスカートから伸びる細い足に男達の視線が集まる。

他の男どもにそんな零れるような笑顔を向けるんじゃない。
何故もっと毅然とした態度をとらない?
世間知らずとはいえ、隙がありすぎる。男達の下心を許すな・・


『でも嫉妬深い人はそれでは満足しないでしょう、理由があるから嫉妬するのではなく、
嫉妬深いから嫉妬するんですもの。
嫉妬というものは、自ら孕んで自ら生まれる化け物です。』
−『オセロー』第三幕第四場より−


・・・そうだ。嫉妬など未熟な者の愚かな感情だ。
私がそんなものに陥るはずなどないのに。
何故この私が・・・!
ランゼ。お前に対しては・・・私は愚かなただの男になってしまう・・・

カルロは自らの思考の回廊をぐるぐると巡り、出口を見いだせないでいる。
そうして自らを貶(おとし)めながらも蘭世を責め立てる事が止められない。
私を欲して身悶える姿を見ていないと 私がどうにかなってしまいそうだ・・・

「どうしてなの・・・ダーク・・・ねぇ・・・」
蘭世は苦い液体で痛む喉をなだめながら声を絞り出す。
「私、ダークのこと・・愛して るの。だから お願い。 
 せめて紐をほどいて ダークを抱きしめさせて・・」
その言葉にカルロの手が止まった。
「ランゼ・・・」
「気持ちよくても・・・こんなの・・違う!」
ランゼはキッ、と私を睨んでいた。だが・・すぐに心細げな表情になる。
「私の悪いところがあるなら言って!がんばって直すから・・・!」
涙がぽろぽろと再びこぼれ落ちる。
「ごめんなさい・・ダーク・・」
(・・・)

ランゼはなにも悪くない。
勝手に嫉妬しているのは 私の方なのだ。
なのに。
頭で判っていることと、感情とのバランスがとれない・・・!

「私・・ダークに嫌われちゃったら 生きていけない・・」
(こんなに私にひどい仕打ちをされても、ランゼはすがりつくような瞳で私を見つめる・・。)
思わずカルロはその瞳から目を逸らした。
そして。
「私は・・・嫉妬 しているんだ」
カルロは自らの心を蘭世に告白した。
「お前が男達と気軽く話しているのが・・・辛い。
 ランゼが男達の目に触れるのが それすらも許せなくなりそうだなんて 私はどうかしている・・」
「ダーク・・・!」
蘭世は目を潤ませる。
「私が愛しているのはダークだけよ! 誤解を招くようなことをしてたんだったらごめんなさい!」

(いいや、冷静に考えればお前はなにひとつ悪くないのだ。
悪いのは・・・そう、狂っているのは 私のほうなのだ! )
カルロはそう思っていてもその言葉が喉から出てこない。
「・・・」
黙っているカルロに蘭世は再び不安になる。そして・・蘭世は思い切ってそれを告げる。

「お願いダーク・・・私・・貴方が・・・欲しい・・・の・・・指だけじゃ 嫌よ・・・!」
いつにない彼女の大胆な台詞。
「私が 欲しいのか?」
カルロは・・・絞り出すような声で そう 彼女に訊く。
「そうよ!ダークが欲しいの。ダークじゃなきゃ イヤ・・!」
叫ぶような蘭世の声にカルロは突き動かされる。
「愛しているの。ダーク・・・!」
(貴方とひとつになりたい。溶け合いたい!)

「あああっ!」
カルロは赤く熟れきった蘭世の中心へ自らの分身を打ち込んだ。
蘭世は・・待ちこがれていた”それ”に身体を震わせる。
あっという間に蘭世の思いは溢れ・・柔らかな内襞はそれをきつく締め付け・・・くわえ込んだ。


熔ける、熔ける・・・!

「ダーク・・・ダーク!」
何度も名前を呼び・・・身悶える彼女にカルロも溺れていく。
「ランゼ・・!」
彼女の両膝を持ち上げ細い身体に押しつけ、さらに深く、深く突き入れる。
「ううううんっ・・・!」
大きく跳ね上がる身体に酔いしれる。
能力で一瞬のうちに縛めをほどくと・・蘭世は痛いくらい抱きついてくる。

そうだ。この声を、この肢体を知っているのはこの私だけだ。
そしてランゼの心も私がすっかり掌におさめているではないか。
それは何一つ疑う余地など無いものを・・・。

「ダーク、愛してる、ダーク・・・!」
「ランゼ・・・!」
そうだ。ひとつになって、愛し合って。私ははやくお前との間に・・・

想いと共に次第に早くなっていく律動。
突き上げる波に耐えきれず蘭世の胎内が一層激しく痙攣する。
一層の締めつけに・・カルロは蘭世が再び達したことを感じた。
蘭世は一体今日、何度目の絶頂だろうか。
だが今のは違う。一人きりではない。愛する人と共にいるのだから。
「ダーク・・・っ」
蘭世は浅い呼吸を繰り返し喘ぎながらその名をつぶやく。
瞳を潤ませ・・広い背中へ手を回してくる。
まだ、蘭世の中心には熱く猛ったままのそれが食い込んでいた。
「ランゼ・・・まだ、まだだ。まだ許さない・・・」
彼女の真の安らぎは、まだまだ先のようだ・・・

(緑色の目の怪物・・・)
腕の中で再び乱れる彼女。今度は一層甘くのびやかに・・・
その熱く火照った細い身体に唇を這わせカルロは
再び想いを馳せる。


私はこれからもまた幾度となく、その怪物に飲み込まれるのだろうか・・・?

わからない。

だが、私がランゼを愛する気持ちだけはいつでも変わらない・・・。


END.



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