『パラレルトゥナイト:零れ話』



『cravate』


新年を迎えたある寒い日。
蘭世は学校の友人宅で開かれたニューイヤーパーティに出席していた。
そして、とっぷりと日も暮れた19時過ぎにパーティはお開きになった。
その友人宅から少し離れた場所に・・・黒塗りの高級車が停まっている。
座席には・・・彼女の帰りを待つ男の姿があった。
「・・ボス。」
外にいた部下が遠くに蘭世の姿を認め、車内にいるカルロへ声をかける。
カルロが外へと出ると・・・蘭世も笑顔で駆け寄ってきた。
「ただいま・・・ありがとう!」
「お帰り。・・・楽しかったか?」
「うっ・・うん!」
「?」
他愛ない会話なのだが、ちょっとつまった蘭世の返答にカルロは訝しく思った。
相変わらず笑顔で・・顔を赤くしている。後ろ頭に片手を当てエヘヘ・・といった感じだ。
細かい観察眼の持ち主である彼に、何かがひっかかった。
だが、その場はとりあえず蘭世を後部座席に乗せ、自分の屋敷へと車を出させた。
「・・・」
いつもすぐきゃぴきゃぴと今日あったことを話し出す蘭世が、黙っている。
何か考え事をしているようだ。
「・・・」
カルロはそんな蘭世の横顔を、窓辺に肩肘をつきながら眺めていた。
「少し顔が赤いようだな・・・」
(風邪か?)
カルロはスッと蘭世の額に触れる。
「えっ!?そそそんなこと、ないよ! 私ほら、元気よぉ」
・・・あわてて手を振りそれを否定する蘭世。
「・・・」
車内に不自然な沈黙が、流れていった。


・・・カルロの屋敷である。
「ん・・・」
ムードが盛り上がり、二人は私室で甘い口づけを交わしていた。
(?)
カルロはやっぱり蘭世がいつもと違う事に気がついた。
・・・いつもより不自然に積極的なのである。
自分から舌を絡め・・・カルロの上着のボタンに手をかける。
いつもだったら”恥ずかしいから明かりを消して・・”と言うのにそれも言わない。
さらにはいつもはカルロにおとなしく脱がされている蘭世が、
今日は自分でブラウスやキャミソールを脱ぎだしたのだ。
(おやおや・・・)
そして、突然スッと膝立ちに座り込み、カルロが身につけているベルトのバックルに
細く小さな手をかけたのだ。
カルロはその瞬間、その手をぱっ と大きな両手で包んで封じた。
「ランゼ。・・・またなにか友人に言われただろう?」
手を封じられた蘭世は少し不服そうな表情でカルロを見上げる。
「・・・だってっ・・」
蘭世は顔を赤くし、潤んだ目でカルロを見上げている。その顔は真剣そのものであった。
「・・・私いつもじっとしてばかりで、私ばっかり・・・そのっ、気持ちよくて・・!」
そこで蘭世は自分の言ったことに気恥ずかしくなって俯いた。
(あなた、いつまでもマグロじゃ彼氏にあきられちゃうわよー!)
お節介焼きな先輩達の言葉が蘭世の頭の中によみがえってくる。

その後の言葉は恥ずかしさに飲み込まれ、震える小さな声であった。
「私だってカルロ様に何かしてあげたいの・・」
カルロはその言葉にクスッ、と笑みを漏らす。
「・・・それは違うな」
「え?」
蘭世は思いがけない返答に少しふいをつかれたようだった。
驚いたような大きな目でカルロを見上げる。
「ランゼ。とにかく、立ちなさい・・」
カルロはまだ座り込んでいる蘭世に優しく声をかけ、彼女を再び立ち上がらせた。
そして蘭世の薄い右肩になでるように触れると、はらりとブラの紐を肩から落とした。
「あっ・・・!」
少し緩んだ胸元に手を差し入れると、蘭世は一瞬ビクッ、と身をすくめる。
カルロはその小さいが形の良い胸の丸みを・・その感触を愉しむように弄び始める。
すでにつん、と固くなった胸の蕾を手のひらで押しつけ転がすようにすると
蘭世の少し開いた口からあえぐような熱い吐息が零れ始めた。
「うんっ・・ふうっ・・あぁん」
意識が少しぼおっとしだし、カルロの肩にとん・・と頭を寄せる。
その表情を愛でながら、カルロはまたふっと笑みを浮かべて細い背中に触れ・・ブラのホックを
さらりと外し胸を覆っていたそれを床に落とした。
「あっ、だから私は・・っ」
その瞬間、我に帰った蘭世はふたたびカルロに抗議しようとしたが、カルロはその唇に右手で
そっと触れ続きの言葉を封じた。やれやれ・・とでも言いたげな表情である。
「仕方のない子だ。・・すこし おとなしくしていなさい・・・」
カルロはそう耳で囁くと左手で蘭世の両手首を掴みとらえた。
同時に右手の人差し指を自分のネクタイの輪にかけ、スッと引き下ろすとシルクのネクタイは
細い衣擦れの音を立てながらカルロの首からはらりと離れた。
・・・そして次の瞬間、それはカルロの手によって輪を描き蘭世の細く白い両手首へ
巻き付いていったのだ。
「え・・あっ・・!!」
マフィアの男が小娘を縛り上げるのに特別な道具はいらないようだった。
そう、自前のネクタイ1本で数秒もあれば充分なのである。
「ど・・うしてぇ・・?!」
(怖い・・!やだ、カルロ様 慣れてる・・・!!)
蘭世はあわてて手首を動かし戒めを緩めようとするが結びはきつくないのにそれは
ほどける様子が全くなかった。
あっというまに両手の自由を奪われ、蘭世は不安で一杯の瞳でカルロを見上げる。
余りにも縛ることに慣れている様子で、そのことにも蘭世は戦慄を覚えていた。
「大丈夫・・怖いことはしない・・約束しよう」
不安で羽根を振るわす囚われの蝶・・・。
その震える唇をカルロは自らの唇で塞いだ。

カルロは蘭世の背中の敏感な部分に触れ・・・再び胸を弄ぶ。
次第に縛られた事への恐怖よりもその身に与えられる快感に心が浸食され始めていた。


いつもは今頃もうベッドの上のはずなのだが、二人はまだ部屋の中央で立ったままであった。
そして・・・蘭世の手は自由を奪われたままである・・
細い身体をくまなく愛撫していたカルロの手がついに蘭世の秘密の花園へ降りていく。
そして、その周りを十分に・・ねっとりと巡った後、1本、そして2本の長い指が・・・
やがて深く胎内に埋め込まれていった。
「あっ・・・やあっ・・・!」
中で蠢き胎内の奥・・子宮の入り口をも指先でつつくと蘭世のせつない声は一層熱を帯びていく。
「はあっ・・・ううんっ・・」
思わず蘭世は縛られたままの手をのばしカルロのシャツを掴む。
甘い痺れが腰や背中・・・足元を侵していき、蘭世は次第に立っているのが辛くなってきていた。
そしてカルロに抱きつきたい衝動に駆られるが、両手は縛られたままでそれが叶わない。
やがて、膝から力が抜けると・・皮肉にもカルロの埋め込んでいる2本の指に重心がかかり、
余計に突き上げる感覚が蘭世を襲うのだ。
「ああああぁっ!やあぁっ」
逃げ場のない嵐のような感覚に悲しげな声と表情で蘭世は首をふり悶え続ける。
手首を縛られていることがさらに蘭世を追いつめる。
そんな蘭世の表情をカルロは愛しげに目を細め・・・そう、愉しんでいるようだった。
「うんっ・・うんっ・・ああぁっ・・」
やがて指の動きに合わせてびくん、びくんと身体を振るわせ始めた蘭世の耳にカルロは囁く。
「そう・・そうだ・・いってしまいなさい・・」
その言葉が蘭世の心にさらに火をつけたようだった。
「ゃあああっ・・!」
意識が・・・スパークする。
そして・・・髪を振り乱し背中から崩れ落ちる蘭世の細い身体を、カルロは腕を廻し抱き止めた。


・・やがて蘭世が意識を取り戻したとき・・・二人はベッドの上に横たわっていた。
カルロは優しく蘭世の黒髪をなで梳いている。
蘭世は はっ、と思いだし自分の手を見ると・・・まだ、それは蘭世の手首に絡みついたままであった。
「カルロ様っ・・・もう、ほどいて・・怖いの・・・」
蘭世は涙を一杯にためて彼に抗議した。
だが、カルロはにっこりと笑うだけでそれには応じない。
「ランゼ・・・」
カルロは愛しげな優しい眼差しで蘭世の頬に触れる。
「ランゼ・・とても、いい表情をしていた・・・」
「!・・・カルロ様ったら」
蘭世はもう真っ赤だ。もごもごと口の中でつぶやくように答えていた。
「・・は、はずかしいよぉそんなこと・・」
髪をなでていたカルロの手が、しだいに肩にうつり・・腰へ、そして・・
まだ熱を帯びている潤みの敏感な芽に触れた。
「・・っん!」
再びの刺激に蘭世は切ない表情を浮かべる。
「・・ランゼ。私は、お前のその悩ましい表情を見るのが好きだ・・」
「え・・・!?」
カルロは蘭世の耳元で囁きながら指先で芽を転がすようになで、蘭世を楽園へと導く。
「ふう・・うぅ・・あぁんっ」
「そう・・その表情・・・。情熱的だ・・」
カルロは快楽に溺れる蘭世の頬にキスをした。
「お前が積極的になってくれるのは嬉しい。だが・・私はおまえがこんな表情を見せてくれる方が
もっと嬉しいのだよ。・・・だから、何も、気にすることはないんだ・・」
「カルロ様・・!」
吹き飛びそうな意識の中で、蘭世はその言葉を聞いていた。
「私の手の中で・・・もっと、溺れてみればいい・・・」
カルロは蘭世から指を離すとベッドの上で身を起こし、蘭世の身体も抱き上げた。
そして・・自分にまたがらせるようにして・・・その身をつないだ。
「えっ・・ぁあああっ!」
ずぶずぶ・・という感覚で深くそれは蘭世の胎内へ食い込んでいく。
カルロはじっと蘭世の苦しげとも思える表情を見つめている。
「ランゼ。自分で・・動いて、みなさい」
「えっ・・!?」
驚いたような、一瞬で我に帰った蘭世の顔に、カルロはいたずらっぽい表情で答えた。
「積極的に、なりたいのだろう?」
「・・・」
蘭世はまた恥ずかしそうに顔を赤らめ、それでもおそるおそる、自分の腰を上下させ始めた。
「あっ・・・あぁっ・・」
自分で動けばすぐにどの部分が快楽をもたらすのかが解る。そして・・次第にその動きに夢中になっていく。
また抱きつきたいのにネクタイに縛られた両手はそれを阻む。
蘭世はカルロの首筋にもたれ頬を寄せ、さらに切なく腰を動かす。
「そう・・上手だ・・・」
カルロも次第に想いが張りつめ、蘭世の腰の動きに合わせ突き上げ始める。
次第に、次第に激しく・・。
乱れる呼吸。散らかる吐息・・・
「あぁんっ・・・やあんっ・・!!」
「・・っ!!」
ふたりは共に登り詰め、カルロは・・・蘭世の胎内に自身を放出した。



ふたりはベッドに横になり、寄り添い語り合っている。
蘭世の手の戒めは・・・やっと解かれていた。
カルロは寄り添っている蘭世の黒髪をゆっくりと手で梳かしている。
蘭世は・・やっと解放されたその両腕をカルロの身体にまわして抱きついていた。
「・・本当に、今のままでいいの?」
「そうさ。・・・勿論、大胆になってくれるのは構わないが・・。
今日は私の思っていることを知って欲しかったから敢えてこうしたんだ」
そういいながら・・蘭世の細い両手首を掴んでみせた。それに蘭世は再びドキッとする。
「・・・私の、表情が・・見たいって・・?」
「そう。とても、官能的で、情熱的で・・・素敵だ」
まだ蘭世は照れながらも少し半信半疑・・といった顔だった。
カルロはにっこり笑って・・蘭世の頬にキスをする。
「それじゃあ、さっきは私の前に座り込んで、ランゼは何をする気だったのかい?」
「!・・・それは・・・」
蘭世の顔が一瞬で真っ赤に茹で上がった。
「・・・そんな恥ずかしそうな表情もかわいい。」
「もうっ!・・カルロ様、私をからかってるのっ!?」
「ははは」
カルロは笑いながら蘭世を腕にきゅっと包み込み、耳元に口を寄せる。
「・・今から、やってみるかい?」
「!」

カルロは再び、驚いた顔の蘭世の唇を塞ぎ・・押し倒す。
二人の熱い夜は、まだまだ続くようである・・・。



了。




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