森にそびえ立つ魔術師の塔4
森の木陰から光が漏れ、キラキラと光って見える。
「ふふっ」
手の上に乗ったリスは顔をクシクシさせてきょとんとあどけない顔を見せる。
その仕草にルックは機嫌よく微笑んだ。
実験は成功したらしい。
ファオたちの声を風が拾ってきてくれたのでテッドのあの言葉も笑える。
だからしっかり握ってっていったのに。
ルックがファオたちにしたのは転送といってもグループで送るようではなく、
あくまで一人一人を対象にして送ったのだ。
テッドはおそらく握っていた手を緩めたのだろう。
送る途中で巻き込まれた転送が切れてバランスを崩し
自分の番の転送でうまくたどり着けた。
でも、身体は位置がおかしいので着地は失敗にいたるわけだ。
無論嫌いなパーンはバランスの危うい場所に飛ばしておいた。
ふぅこんなにしゃべったのは何ヶ月ぶりだろう。
ルックはただそんな風に想いながら柔らかな鹿の背に身を任せた。
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動物との戯れは気持ちが落ち着きます。
もちろん人間以外ねっ。