森にそびえ立つ魔術師の塔2

ただページを捲る音だけが響くこの空間。
ルックはとてもこのときが好きだった。
人間の皮を被ったものに出会う心配もなく、安穏として暮らせる。
あの忌々しい鎖の音も痺れるようなけだるさもここにいれば無縁だ。
「ルック話は終わりました。送って差し上げなさい」
ルックは師匠の言葉今まで読んでいた本を閉じ重い腰をあげた。
「レックナート様、何を言ってあげたんです?」
うっすらと笑って尋ねるとお師匠様もやはりにっこりと返す。
「ロウソクに火を灯したまでですよ」
そうすべては運命のままに
  
「ファオどうしたんだ」
どうもあの部屋から戻ってからファオの様子がおかしい。
「なんでもないよ。テッドそれより、帰りは送ってくれるって」
「送る?」
不思議そうにパーンがいうと
丁度ルックが階段から現れ挑発するように言葉を紡ぎだした。
「そう。仕方ないから送ってあげる。レックナート様の命令だからね」
どういいように捕らえてもこの小さい魔術師は何かを仕掛けてきそうだった。
あの女も食えないけど、こっちもなかなか。
「テッドだっけ」
ギックッ!!透き通るエメラルドの瞳が目前に迫る。
テッドは考えていたことがバレやしないかと後ずさむ。
「なんだ」
「後悔しない」
ルックの呟いた言葉は意味深だった。
そうあっさりと返せるものではない。
テッドはしばらく俯いて考えた。
後悔?
あの船から下りたこと?運命に抵抗しようとしたこと?
後悔しているか……?
代わりに得たものは酷く大切なものだ。
テッドはさっきから無口な親友を慈しむかのように見た。
「俺は、どういうことがあっても後悔しない」 
したくないのかも知れないけどな。
これまでも、そうこれからも決して。
例えどんなことがあろうとも。

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文章書くのが楽しい……テスト中だからか。

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