幸福

「ササ〜」
金茶の髪の少年が僕にぎっとしがみつく。
「お前!!」
ササライは耐えられず低くうなり声を上げていた。
だがルックはそんなことをものともせずに抱きついていた。
いや抱きついていたからササライの憤怒の顔は見えなかった。
「ササってば何でそんなに怒ってるの?」
ルックは首にしがみつきながら甘えた様子で見上げてきた。
これは誰だ?
「もしかしてさっきテレポ―ト失敗したの見てたの?」
ばつが悪そうに下を向いていた。
「ちゃんとやったつもりなんだけど、風景も何も変わらなかったんだ。
どうしてかな?ササわかる?」
ルックはこんなこと聞いたりしない。
だいたいササなんて誰にも呼ばれたことはない。
これはルックじゃない。
「すいませんが、人違いですよ」
ササライは乱された服をなおしながらいった。
「えっ」
とたんにルックの瞳の色は沈殿した。
何にも感情をなさない唯の人形。
ササライはこれからどうしようかと悩んだ。
おいておくわけにもいかない。
―あんた。なにやってんの―
必死に動かしにかかっていた時ルックに声をかけられた。
あっこちが本物だ。
「よかった。君がルックか」
―あの子もルックだよ。だいたい安心って。―
「お兄ちゃん誰?」
その少年にはルックの姿が確認できたようだ。
―大丈夫。敵じゃない。―
ルックは安心させるように呟く。
「もしかしてお兄ちゃんも?」
―時期がくれば、いずれわかるよ。
それより戻りなよ。君の本当のお兄ちゃんがいるところに。―
「ササ?」
―そうだね。ここは君がいるべきところじゃないんだ。―
「戻りかたわかんないよ」
少年は泣きそうな顔をしていた。
僕にはどうすることもできなかった。
―簡単だよ。ほら、目をつぶって。幸せなことを考えて。うん、そうだね。
15数えてそして目を開けてごらん。―
ルックがそういうと少年はいなくなっていた。
「あれは何なんですか?」
ササライがそう聞くとルックは嫌そうに眉を潜める。
―転移失敗だよ。時空を間違えてる。そうそう。
君にいつものプレゼントだ。
私はもうすぐ復活する。お前の前にもう一度現れるだろう。
体とは何なのか?魂とは?それは僕らに存在するのかな?
兄さん―
「嫌な話ですね。慣れましたよ」
ルックはその言葉に薄く笑う。まだ慣れてないくせにと。
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人間の怖い慣れです。
タイトル意味なし

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