01、選ばれたという事実
咲き誇る花々
人々の朗らかな顔に
微笑みあう声
これらが消えた日はいつだっただろうか?
もう遠く昔のことのように思える。
「ほんとうについて来てはくれないのね」
雨の音がぽたぽたと地をたたく。
俺は後ろを向く気になれず、相変わらず雨の流れを見ていた。
「ねぇプレア……」
ゆっくりとプレアは振り向き、まっすぐと姉であるセレスティーナを見た。
「セレス……俺は行く気になれない。なぜ行く必要がある。やりたい奴にやらせればいい」
セレスは傷付いたように俯いた。
「だって……私は、」
「セレスのいうことは聞きたくない。選ばれたのはセレスだ。俺に関係ない」
うんざりしたようにプレアは髪をかきあげた。
耳元を飾る星型のピアスがきらりと現れる。
「どうしても貴方が必要なの。お願いプレア。
私が安心して任せられる剣士は貴方ぐらいしかいないの」
それはプレアも知っていた。
だが行く気にはなれない。
頭に一瞬暗い影が差し、プレアは知らずのうちに我が身を抱えた。
とても、嫌な予感がする。
関わってはいけないとどこからか警鐘が鳴っているようだ。
「私からも頼むよ」
その声が聞こえたときプレアはギュッとこぶしを握り締めた。
「何故お師匠様が?」
振り向かずとも分かる、
きっといつものように肩につかないぐらいの赤銅色の髪で金のピアスを揺らしてるに違いない。
「やだなぁ。私は困っているセレスがかわいそうなだけだよ」
女のようにほっそりした肢体を壁にもたれさせていつもの飄々とした顔で師匠はいった。
ぞくっと何かが背筋をなで上げる。
何なんだ。この予感は
逃げようとしても絡め捕られてしまう気がする。
「俺はいけない」
「いけない?それはなんで」
俺は師匠であるソードの声ではっとなり口元を押さえた。
俺は何を言ってるんだ。
いけないだなんて。
「どうしたの?理由がないならいってもいいじゃない」
ソードはクスリと笑い俺を見据える。
「俺は……くっさっきもいったやりたくない、やりたい奴がやれば言いと思うからだ」
「命令だよ。行っておいで、というか僕も行ってあ・げ・る」
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お題の第1弾、連載(予定)
書き上げた瞬間からソードがお気に入りになったかも、なんか彼みたいな人割と好き。
この小説の目標は、人物の背景をちゃんと見て書くこと。
つまり個性を豊かにする、前面に押すこと。
以上