しばらくして、親友が車に戻ってきた。



「いやー、混んでた」とニコニコしながらリストバンドやらTシャツやらを抱えている。
あたしは煙草を吐き出しながら親友がきゃっきゃと袋を開けてるのをぼんやり眺めてたら、
「はい、コレ。」とリストバンドを渡された。
「・・・・何?」
「何って、あんたもしてよ。やっぱりライブにはリストバンド!汗かくし。」
多分この子なりの気の利かせ方なんだろう、と無理やり解釈して、リストバンドを受け取ってポケットに入れた。
「で、これがチケット。」
渡されたチケットを見る。



BUMP OF CHICKEN ○月○日 ××ホール 整理番号0002・・・・



そこまで見てあたしは「んっ!?」ともう一回読み直した。
これ、確かに整理番号2番と書いてある。
いや、きっと印刷ミスだ。そう思って「ねぇ、この整理番号・・」と親友に声を掛けたら、
「これ、すごいでしょ!?1番と2番取れるなんて信じられない!!初めて最前列だよ!」
と興奮してまくしたてた。



と、いうことはあたしはあの最低ヤローを最前列で見なきゃいけない訳!?
さすがにガックシうな垂れた。何でこんなにツイてないのよ・・・。



ライブハウスの前は人がうじゃうじゃいて、クラクラとした。ただでさえ人ゴミは苦手なのに。
あたし達は係員にチケットを見せて羨望の眼差しで一番前に並んだ。
あぁ、出来ることなら一番最後の整理番号の子と変わってあげたい・・・・。



開場して、親友に手を引っ張られて走って、最前列のボーカルとベースの真ん中位を陣取った。
・・・ってこれじゃあ普通にあたしがいることバレるじゃない!!
「あの・・・あたし後ろに」あたしが親友に話しかけようとすると親友は目をキラキラさせてあたしの話なんか聞いちゃいなかった。
ひとつ大きな溜息をついてステージを見た。水色のベース。あれをアイツが弾いてるのか。



そんなことを考えながらぼんやりしていると、フッ、と照明が降りた。



どよめく会場、後ろから押してくる力。割れんばかりの歓声。
ビックリして思わず後ろを振り返った。色んなところでうねっている、海みたいだ。



何だ、このエネルギー?
このエネルギーが、昼間のアイツに注がれているなんて!





「世の中、間違ってる・・・・」





そうやってぽつりと呟いたことは聞こえるはずも無く、歓声にかき消される。



そう、出てきた。BUMP OF CHICKENが。






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とりあえず、ここで区切ります。
これは連載という形で、後半は次回!!




2005/02/02  裕美





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