低気圧






・・・・ぉ。





ベッドから起きようとしたら変な重力で布団に引き戻された。
長めの自分の前髪が一瞬遅れて自分の顔にさらりとかかる。
頭の上にある窓から空を見ると、綺麗な青空、薄い白い雲。



頭、重ぇ。今日は低気圧だな。



俺は気圧に弱い。
気圧が低いと頭が重い、というかフラフラする。
立ちくらみがずっと続くような感じ。
・・・・今日は水曜日か。
学校も午前授業だし、行っても大丈夫か。



「あ、藤、おっはよ」
「おはよー、藤」
あー、うーん、おー、なんて適当な相槌を声をかけて来るクラスメイトに返しながら、ふらふら自分の席に座る。
窓際一番後ろ。教室のはじっこ。
昼寝には絶好のスペース。
俺は早速寝に入るが、前の席にうるせぇ奴が座りやがった。
「今日は低気圧なの??」
「・・・・うん。」
子供っぽい笑顔、何か意味ありげな、意地悪そうな顔をして机に突っ伏している俺を見ている。
「・・・チャマ君、君がいると眠れないんだがね。」
俺が顔を上げて言うと、チャマが笑って逃げてった。このやろ、後で覚えてろ・・・・。



はぁ、やっと寝れ・・・・



「おー、藤。低気圧だって??」





升、お願いだから。



眠れねぇ。





冷え冷えする階段を下りて、校内の一番端の保健室へ向かう。
ドアノブに手をかけて30センチ程開けると、目の前にあるソファにだらしなく座ってる女のスカートの端が見えた。
あ、ヤベ。アイツか。
「・・・んだ、テメェもか。」
保健室に入ってソファの前に立つと腰を曲げてその女の顔を見る。
「あー・・・、やっぱり藤原も?」
顔を半分隠していた腕をずらして、弱りきった大きな黒目がちな目で俺を見る。あぁ・・・そんな目で俺を見るな。
コイツは保健室仲間。俺と同じで気圧に弱い。
そんでもって、ちょっと、いや、かなり可愛いなとか思ってる奴。
「久しぶりに来たよー、ヤバイよ、気圧め・・・・」
ずっ、ずっ・・・とだらしなく背中をずらして、寝転がる。スカートのはだけた白い太腿。
おい、俺はオトコだぞ・・・。



「センセェは??」
その太腿から目を逸らして、誰も座っていないデスクを見た。
「あー、出張?でも担任に言ったらここ、開けてくれた。」
ふーん、なんて気のない返事をしながら、流石にこれはまずいだろう、なんて考えて。



だって俺、男だぜ?



そんな訳でポケットにある冷たいモノを指先で確認して、出て行こうとした。
「あれ?どこ行くの??」
茶色い長い髪を翻して、俺の方に振り向く。
「あー・・・・・・。」
俺はしばらく考えてポケットに突っ込んでいた手を出して、上を指差した。





「そういうことは早く言いなさいよ。」
ニコニコしながら着いてくる、何で屋上に俺が行こうと思ったと思ってるんだ・・・。



君に気を使ってだよ?わかってる?君。



口には出さすに小さく溜息をひとつつくと、持っていた鍵で屋上へ通じるドアを開けた。
「藤原、何で立ち入り禁止の屋上の合鍵を持ってるわけ?」
「そりゃ、職員室から失敬して・・・」
そうなのだ。職員室に教頭しか居ないことを確認して、見張りに升とヒロを立たせ、
俺が教頭を呼び出してにこやかに雑談をしている間にチャマが鍵のストックの場所へ忍び込んで屋上への鍵を奪う。
そのままミスターミニットへ直行。



そんな感じで生徒立ち入り禁止の屋上への合鍵を俺ら4人は全員持ってる。
その鍵を使ってよく授業をサボってるという訳だ。



コンクリートの上に直接座って、冬真っ盛りにしては緩い風を顔に受ける。
「わー!!あたし屋上初めて入ったよ!?」
はいしゃいでる隣の彼女に目を細めて、胸ポケットから煙草を取り出す。
クラクラとした頭に煙草を吸い込んで、目の前が一瞬真っ白になる。
煙草の匂いと一緒に彼女の香りもして、何だかそわそわして隣の彼女を見た、ら。



仰向けに天下泰平。スー・・・と寝息を立てて眠っていた。
思わず拍子抜けした俺、と、どこかほっとしている俺。
ふ、と微笑んで口に煙草を咥えたまま自分も寝転がった。綺麗な青空、薄い白い雲。



起きたら、その綺麗な茶色い髪に触れてみよう。
ついでに、愛の言葉も吐いてみようか。
あぁ、でもそんなことしたらそれだけじゃ済まねぇかもな。





だって僕、男の子ですから。







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リハビリ第一作。
うわー、なんだこれよぉ!!(笑)ごめんなさぁい!!



2005/02/01  裕美

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