「優しい日々」



初めて王の寝所にわたくしが呼ばれたのは
産後の肥立ちが悪かった王妃が身罷られてからしばらく経った頃でした。
初めての夜はただただ痛いだけで快楽を感じる余裕など全くございませんでしたが
王が大変お優しかったので耐えられたのです。
そして、何より………。



「どうした?」
唇が離れ、目の前の王が気遣わしげにアイシスに問うた。
「ふふ、昔のことを思い出したのです。初めて陛下に愛して頂いた時のことを」
「………無理をさせてすまなかったな」
「え?」
「辛そうだった」
部下に対しすまなそうな顔をする王が愛おしくなり、アイシスは首に腕を回し顔を寄せた。
「何を仰います。わたくしは嬉しかったのですよ。とても………とても嬉しかったのです」
王が優しく微笑み、女の腰に手をまわしその柔らかい身体を抱き寄せる。
至近で見る王の顔は年相応に老けこんでいた。
肌の張りが衰え、皺が増えた。
ただ、穏やかなその瞳だけが変わらない。
そしてアイシスはその瞳がとても好きだった。

薄絹の上から王の手が豊かな胸を揉みしだく。
「あの頃からずいぶん成長したものだ」
「………ん…もう……!」
冗談交じりの軽口に、アイシスは軽く王を睨んだ。
白い薄布を剥ぎ取ると王の手がさらさらとアイシスの身体を撫でる。
豊かな弾力が王の手を楽しませた。
手に吸い付くようなその滑らかな感触。
その頂点を探るとアイシスは鋭い息を吐いた。
「………っ……ああ…」
乳首を指先でこねまわされるうちに身体が熱く火照りはじめる。
後ろからそっと王の手が脚の間に潜り込んだ。
ぬるぬると行き来する王の指によって高められていく。
「香油も用意してあったんだがいつも不要になってしまうな」
笑い混じりの王の軽口に反応が出来ない。
「ん、あ………や、ああ……」
王の指がアイシスの中についに入り、抜き差しを始めた。
滴るほどの愛液がぬちゅぬちゅと淫らな音を立てる。
寝台の敷布に顔を埋めるように悶絶するアイシスを気遣ってか王が、
「先にいっても構わんよ」
「……っ……くぅ!」
そのようなことを言われても王より先に達するなど出来ようはずがない。
出来ようはずがないのに王はアイシスを激しく責めたてる。
「あああ!そ、んな……!ああ………あああっ!!」
強引に頂点まで押しやられたアイシスは脱力し、圧し掛かっている王を睨む。
「睨むことはないだろう?気持ち良さそうだったじゃないか」
「………意地悪!」
王は面白そうに笑いつつ、アイシスを腕の中に抱き込んだ。
「わたしのもしてくれるか?」

指を根元の方から這わせて撫であげ、片手に握ってゆるゆると扱くと先走りが滲む。
その濡れた先端に誘われるように、完全な屹立には至っていない王の分身に
アイシスはそっと顔を寄せた。
王の肉棒は筋張っており、長大なため完全には口に入りきらないと思われた。
しかしアイシスは躊躇なく亀頭に吸いつき、丁寧にその濡れた先端を舐めまわし
喉を開いてぬるりと根元まで咥えこんだ。
アイシスの口内は温かく濡れ、弾力のある舌が反り返る勃起に圧を加える。
唇をきつくすぼめ吸い立てながら頭を上下させるのみならず、舌をちろちろと蠢かして摩擦する。
「む………」
王が苦しげに喘いだ。
先ほどの仕打ちの仕返しだと思うとちょっと小気味が良い。
それと同時にこれが自分の中に入ってくることを思うと自然と愛撫に熱がこもった。
「ア、イシス…!」
切迫したその声を聴き、アイシスは王を喉の奥深くまで受け入れる。
次の瞬間、王の屹立が弾けた。
喉奥に王の白濁を受け、アイシスは数度喉を鳴らして嚥下する。
王はアイシスの顔を上げさせ口元を拭ってやりながら、上気した顔で微笑んだ。
「全く………仕返しのつもりかね?年寄りをあまり虐めるな」
「何を仰いますか、ほら……」
アイシスが指先で達したばかりの王に刺激を加えると程なくして硬度が戻ってきた。

「アイシス、おいで」
「………っ」
横たわる王の上に跨り、アイシスは大きく脚を広げる羞恥に小さく喘いだ。
――――――――――見られている。
王の屹立に手を添え、おずおずとその上に腰を下ろしていく。
王が触れた途端、アイシスのそこはくちゅりと微かな音を立てた。
ヌクリと最初の太いところを何とか飲みこみ、
不規則に息を吐きながら奥へと王を受け入れていく。
「あ……あ…………あっ」
王が少しだけ眉根を絞る。
王がゆっくりと自分の奥へと受け入れるその悦びに、アイシスは満足感を覚えた。
全て収めきらぬうちに王がアイシスの腰を鷲掴み、強く引き寄せた。
「あ、ああっ!!」
王の怒張を最奥まで深く咥え込まされ、アイシスはアイシスは仰け反り震えた。
その感触に慣れさせるため、束の間呼吸を整えたあと腰を揺らめかせる。
その動きがじわじわと強い快感を生み出していく。

下から見上げるアイシスの顔は紅潮していて、薄く開いた口から舌が少しのぞいていた。
王がアイシスの顎をとり引き寄せ、深く口づけ舌を嬲った。
「んぅ……ん、ん、……ん」
王の手がアイシスの蕾を探る。
「ああっ」
無骨な指の上で滑らかに濡れた蕾が転がる。
アイシスが腰を動かすと、まるで王の指に自らそれを擦りつけているかのようだ。
恥知らずだと知りながらも揺れ動く腰を止めることが出来ない。
「いいか?アイシス」
「あ、ん、ああ……あ、あ、や……ん!」
舌の先が痺れるような悦楽に目が眩むようだ。
あまりの快感のため次第に動きが鈍くなったアイシスの代わりに王が下から突き上げた。
アイシスはもう身体を支えていることが出来ず、王に凭れ掛かった。
思いのままに強く揺さぶられてしまい最早しがみつくことしか出来ない。
ひたすら頂点を目指して駆け上がる。
「アイシス…!」
「あ………ああっ、だめ、だめ、……あ、あ、ああああっ!」
アイシスが身体を大きく痙攣させて狂おしく悶え、それを追うように、
王の怒張がアイシスの中で激しく脈打ち、熱い白濁が迸った。

「………もう戻るのか」
王が薄衣を羽織ったアイシスを抱き寄せる。
「皆が起きだす前に戻りませんと、……わたくしも一応神官なのですよ」
くすりと笑うアイシスに王はわざと渋面を返した。
「では、朝の謁見にてまた」
「ああ、ではな」



そうまどろみながら微笑む陛下のお顔が今でも鮮やかに思い出されます。
けれど、あの甘く、優しい日々はもう戻らない。
こんなに早く逝っておしまいになるなんて。
ああ、もうお目覚めになることはないのですね。
もうわたくしを抱きしめてはもらえないのですね。

もう陛下はお帰りにはならないから。

大喪を終えた今、王子がご即位なさる日が近づいております。
陛下に良く似ていらっしゃる王子は
必ずや国を良くお治めになり、民衆から慕われる賢王へとなることでしょう。
そのときまで、わたくしの力の全て、最後の一滴まで、
陛下に尽くせなかった分まで王に差し上げましょう。

さようなら。
あなたをお慕い申し上げておりました。
心から。


<完>

2004年9月13日うp

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