著者による注★意★書
今から約三年ほど前と仮定。
パラレル苦手な方はスルーするのが吉。



「海の上のデュエリスト」



人形のように整ったその顔にあどけなさを残しているくせに、
サファイヤのように冷ややかなその眼差しは、汚い大人の世界を見知った目だった。
政財界の大物が集うこの豪華客船のカジノルームで彼の居場所だけが異質な空間となっている。
これ見よがしにブランド物の時計やらタイピンやらを光らせる中年連中を相手に、
一人カードを切る女ディーラーは退屈そうにテーブルの端にいる少年を盗み見ていた。
「お嬢さん、自分のカードは見んでいいのかね?」
自分の手札を見ようとしない彼女にそう言う客を尻目に、彼女は妖艶に微笑んでみせる。
「フフ…アタシがこれから自分のカードを言い当ててあげましょうか?
 アタシがカードを当てて勝負に勝てばベット額は更に倍、なんてどぉ?」
「いくら凄腕のディーラーだからといって、カードを見ないでゲームをするなんて無茶では?
 貴女が負けたら…私達の方に倍額返ってくるのですか?」
「それでもいいし、倍額分はアタシの身体で払ってもいいワ」
挑戦的に微笑み、豊かに波打つ亜麻色の髪を掻き上げると彼女から香水の香りが漂った。
このゲームの親、つまり女ディーラーが負ければ彼女の身体を好きに出来る。
突然転がり込んできたそんなオプションに、テーブルの男達は色めき立った。
服越しからでも分かるその柔らかそうな豊満な胸に白く滑らかな肌、
蠱惑的な気の強そうな瞳は自分の勝利を確信している。
そんな彼女を負かし、今宵一晩掛けてその女王然とした態度を崩したい。
男達は皆一様に自らの征服本能に従いそう願った。
「さあ、皆さんのカードはそろって?」
「私はこれ一枚を」
「ぬぅ……儂は全部交換じゃ」
「…オレはこのままでいい」
「じゃあ……アタシはコレとコレを交換」
女ディーラーは裏に伏せたままの自分のカードを差し、二枚抜き取って山札から更に二枚を加えた。
彼女は目を瞑り、その後カードに手を触れることすらしない。
「アタシのカードの役は、フルハウスよ」
そして迷うことなくそう言うと、彼女は自分のカードをオープンした。


一同がオープンされたテーブルの上の札を見て凍り付く。
其処には、彼女の宣告通りの役が揃ったカードが広げられていたのだった。
「貴方達のも当ててあげましょうか? 左の貴方から、ストレート、ワンペア…………」
まだオープンされていないカードの役を彼女は次々と当てていった。
客は次々と肩を落として重い溜息を吐き、投げるようにテーブルにカードをオープンする。
フフ……ちょろいもんだわ。
次々とカードの役を言い当てられ、がくりと肩を落としていく客達を見て彼女は一人ほくそ笑んだ。
誰もアタシの香水戦術<アロマ・タクティクス>に気付きなんてしない。
金で何でも出来ると思ってる色ボケ親父なんてこの程度のモンよ。
と、テーブルの隅にいた少年が言い当てられる前にばさりとカードを広げて見せた。
彼のカードに、テーブルに着いていた者は皆アッと息をのむ。
しかし、一番驚いていたのは女ディーラーだった。
「嘘……スペードのロイヤルストレートフラッシュですって!?」
皆の狼狽など何処吹く風、少年は彼女に不敵な笑みを見せた。
「くだらん策など労せずとも幸運の女神は常に決まった者に微笑む。
 ……倍額分は、貴様自身が払ってくれるんだったな?」
「……分かったわ……約束は約束。貴方の部屋に案内して頂戴」
カウンターから出た彼女は少年の隣に歩み寄る。
近くに寄ってみると、長身な上ヒールを履いている所為もあってか彼女の方が頭一つ分高かった。
が、薄く笑いながら睨め付ける彼の表情はそんなことを感じさせぬほどにサディスティックで冷たい。
「それでは失礼……行くぞ」
唖然とその様子を見ていた他の客達にそう言い放つと、彼はさっさとカジノルームを後にした。


豪華客船で上流の客しか乗せていないといっても、少年の部屋はさらに別格の一等船室だった。
部屋の入り口で突っ立っている彼女を余所に、彼は馴れた様子で上質のスーツをソファに脱ぎ捨て、
窮屈そうにネクタイを緩める。
「おい女……貴様の名前は?」
部屋の鍵を掛けながらそう問うた彼は、鍵を掛けた手をそのまま上に滑らせ、
彼女を扉に押しつけるように迫る。互いの呼吸が触れるほど、距離が近い。
「どうせ今夜限りの余興にしか過ぎんが、名も知らん相手を抱こうとは思わん。
 クク……処女でもあるまいし、まさか緊張しているのか?」
何処までもからかうように、高圧的な彼にそう言われ、彼女はカッとして答えた。
「バカにしてんじゃないよ! アタシは孔雀舞、アンタみたいなガキに緊張するわけないでしょ!」
眉尻をつり上げ、少年の手を払い除けようとした手を掴まれた舞は放るようにベッドに投げられた。
「フン、少しは楽しめそうだな。
 オレは海馬瀬人。二度とこんな下らんゲームを持ち掛けんよう、その名を覚えておけ」
瀬人はそう言うと、自分のネクタイで舞の手を彼女の頭上で拘束した。
「ちょ……っ! 何すん……んぅ!」
暴れる舞を組み敷き、瀬人は素早く彼女の口を塞いだ。歯列をなぞり、舌を絡ませ、唇を甘噛みする。
自分よりもずっと年下の少年に口腔内を犯されながら、舞の抵抗は次第に大人しくなっていった。


どうして…このアタシがこんなガキに良い様にされてるのよッ!
思いっきり舌を噛んでしまえばいい、そう思いながらも舞は実行することが出来なかった。
元来プライドの高い舞にとってそれは屈辱以外の何者でもなかった。
しかし、いいように舌を吸われ、唇が触れる角度を変え、口付けはより深くなっていく。
その度に舞は体の芯が痺れ、背筋がぞくぞくと震える様な気持ちだった。
唯一自由な足を動かし弱々しく抵抗するも瀬人は逆にその足を掴み、するりと股の間に割って入る。
短いスカートは簡単にめくれ、舞の脚線美を誇示させた。
「じたばたするな」
「んふ……んんぅ……」
褐色のストッキングを破り、舞の素肌に触れながらも瀬人は口付けをやめようとはしない。
執拗な口付けから解放され、意識が朦朧とする中舞が見たのは口の端から唾液を零した瀬人だった。
馬乗りになって見下す瀬人は舞のシャツのボタンを引きちぎり、肌を露わにさせる。
「ククク……随分負け犬に相応しい姿になったようだな?」
舞の口紅で真っ赤になった唇を歪め、にやりと笑う少年の姿はひどくアンバランスで淫靡に映る。
そう言われて舞はハタと自分の今の姿を思い出す。
腕を縛り上げられ、ストッキングとシャツは無惨に破れて素肌を晒している。
まだ幼い少年に、ゲームに負けた自分は組み敷かれて見下されているのだ。
ふ……っと耳元に吐息がかかる。
耳朶を甘噛され、少年期特有の少し掠れた低い声が近くで響いた。
「どうした……震えているぞ」
耳をねぶられて、熱い息遣いと唾液の水音が舞の聴覚を刺激した。
瀬人に抱きすくめられ、びくり、びくりと身体が撥ねる。
「それとも感じているのか?」
続けざまに胸を鷲掴みされ、舞の豊かな乳房は瀬人の指に弄られ柔らかく変形した。


「……っあ…ああ……!」
それまで必死で声を漏らすまいと歯を食いしばっていた舞が甲高い声を上げた。
白い喉を仰け反らせ、反射的に膝を閉じようとする。
しかしそこには瀬人が割り込んでおり、逆に彼の身体をがっちりと挟み込む格好になってしまった。
瀬人は嘲笑の笑みを浮かべ、舞の胸の突起を抓るように弄る。
「い……つっ! はぁ……あっ!」
柔らかな乳房をパン生地の様にこね回され、その頂点は弾いたり押しつぶすように指の腹で刺激される。
次第に突起は痛々しいほどに勃ち上がり、固くなっていった。
それと共に舞の声も熱を帯び、拒絶の響きは薄れていく。
躊躇いがちな嬌声に比例するように彼女の腰は瀬人の腰へと密着していった。
「フン……浅ましい。負け犬というよりも、牝犬だな。」
途端に瀬人が舞の身体から離れた。
身体の奥でまだ燻る疼きを持ったまま、宙ぶらりんの状態で少年に冷ややかに睨め付けられる。
腕を拘束していたネクタイを解き、彼は一言短く言った。
「自分でしてみろ、好きなだけな」
そう言って口紅で汚れた自分の口元を拭い、ベッドから降りた瀬人は椅子を引き寄せてゆっくりと座った。


椅子に座って悠々と腕を組んで自分を見下ろす瀬人を、舞はぼんやりと見上げた。
「じ……自分で……?」
上気した顔で惚けたように呟く彼女に、瀬人はフン、と小さく鼻を鳴らす。
そしておもむろに舞の腿に自らの指を這わせ、脚の付け根へとゆっくりと撫で上げた。
「は……ぁ!」
今まで執拗に愛撫された身体は瀬人の手に敏感に反応し、不意をつかれた舞は思わず声を上げる。
しかし瀬人はそんな舞の様子にはお構いなしに、付け根まで這わせた指をグッと曲げた。
柔らかな肉に爪を立てられ、瀬人の指と舞の太股の間にあったストッキングはあっさり破れる。
ストッキングの破れた部分から指を更に侵入させ、太股を直に触りながら瀬人は呟いた。
「自慰の経験ぐらい有るだろう?」
「……っな…!?」
侮蔑の表情で投げかけられたその言葉に、舞はカァッと体温が上昇するのを感じた。
要は今此処で、この少年が見ている前で、自分に自慰を強要しているのだ。
先程までの行為も十分舞のプライドを傷つける行為ではあったが、今の命令はその比ではない。
そんなことは出来るわけがない。
そう一喝してしまえばいい。
しかし、自分が拒絶したところでこの少年は許してくれるだろうか?
恐らくは今のまま、自分の身体を弄びながら一笑に付すのみだろう。
「貴様自身……もう準備は整っているようだが?」
「きゃ……んっ……」
目まぐるしく思考を巡らせていたことなど知る由もなく、瀬人は彼女のショーツの上から指をなぞらせた。
十分に湿り気を帯びた小さな布は、くっきりとした亀裂を浮かび上がらせる。
触れるか触れないか、ゆっくりと、上から下へ、下から上へ、亀裂に指を這わせてスライドさせる。
強弱をつけずに機械的に繰り返されるその行為は劣情を煽るだけで大きな快感を煽りはしなかった。
「……ん、う……ん、ん……っ」
「どうした? 声が漏れているぞ?」
からかうように指を離し、意地悪く笑みを含んだ声は言外に自慰を強要させている。
もっと快感が欲しいのならば「自分でしてみろ、好きなだけ」、彼はそう言っていたではないか。


貪欲に訪れる快感への欲望に勝つことが出来ず、舞はそっと目を閉じた。
おずおずと手を伸ばし、十分に敏感になっている部分に指を這わせる。
ストッキングは既にずたずたに伝線しており、脱がずとも簡単に地肌に触れられる。
「ふぁ……んん……」
太股から脚の付け根、脚の付け根からショーツの上へと徐々に指が動く。
自らの指が自身の湿り気を感じたとき、舞は僅かに身震いした。
布越しの亀裂に指を這わせ、染みを広げるかのようにぐいぐいと亀裂をこね回す。
湿り気はやがてぬめりに変わり、押しつけた指は布ごと舞の亀裂にめり込む。
「んん……んあっ……!」
一度行為に没頭してしまえば後は止まることが出来ない。
小さく円を描くように指を動かすと、ショーツからじゅくじゅくと蜜があふれる。
めり込んだ指を僅かに上に移動させ、舞は自らの肉芽をそっと押し潰した。
「はぁ……ん!」
堅さに比例して、肉芽は敏感になる。触れたところから電流が走ったように、舞はびくりと震えた。
もどかしさに耐えきれず、舞はショーツの下へと手を滑り込ませる。
既に亀裂はぱっくりと食虫植物のような淫靡な花弁を開かせ、
とろとろと脚の付け根まで濡らさせた蜜壺は簡単に舞の指を付け根まで受け入れた。
「う……ん…はぁ…はぁ…あ…あっ…」
舞の指が細やかに動く度にとめどなく蜜が溢れる。
溢れた蜜を肉芽に擦り付け、親指の腹でそれを擦り上げた。
「ああっ! はっ…はぅ……ん!」
秘部を弄る手はべたべたに濡れ、余った片手は自らの豊満な乳房を揉みしだく。
紅色の突起を軽く引っ張るように捻ると僅かに痛みを伴った快感がジンジンと押し寄せる。
あと少し……あと少し……。
目の前が霞みそうな熱に浮かされ、もっと、もっと……と舞は自分の胎内をかき回した。


2004年7月17日うp

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