モ ク バ 覚 醒


今日も兄の後ろをついてゆく。デュラルミンケースを持って…。
「モクバ。デッキを調整したい。カードを渡してくれ。」
「あ、うん…兄サマ。」
何かためらっているようだ。
「どうした。」
不審に思い、瀬人が近づいた。
「あ、あのっ、あのさ、兄サマ。」
デュラルミンケースをモクバから奪うと、モクバはすぐ後ろをむいた。
硬く張り詰め重力から逆らおうとする股間を抑えながら。

「あ…あ、兄サマっ…。オレ病気なんだ。」
瀬人がふぅっと息をつく。
「副社長ともあろうお前が、そんな知識もなくてどーする。」
「えっ?」
「で、いつからだ?」
「…今さっき。…デュミナスの画像処理をしてた時、何かオレ変な気分になって。」
「…あの下の胸をさらけ出したデュミナスヴァルキリアか。
 フン、最初にしては上出来か。
 モクバ。オレは青眼のカードで何度もいけるぞ。ワハハハ。」
「…兄サマ……。」
そこには喜んではいけないようなモクバの苦笑いがあった。

「おい、磯野ォ―!!! 赤飯だ。赤飯を用意しろ――!!!」




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