「人形遊び」



嗚呼――……身体が引っ張られる、いつもの感じ。
マスターが呼んでいる――召喚される――そんな浮遊感。

彼女が「場」に出た時、そこにはいつもと変わらず僕がいた。部屋の照明は落とされ、薄暗い。
しかし、僕はいつも彼女が見慣れているマスターではない。
僕は――そう、彼女にとってのいつものマスターが「宿主」と呼んでいる存在の方だ。
「こんばんは、ネクロフィア」
ニコニコと笑いながら、僕は彼女に語りかけた。
「………こんばんは…」
不思議そうに言葉を返す彼女――ダーク・ネクロフィアの目の前に、僕――獏良了はすっと千年リングを持ち上げて見せた。
リングの側に見えるのは、うっすらと透けて見える、お馴染みの彼女のマスターの姿。千年リングの意志。
心なしかばつの悪そうな顔をしているのは何故だろう。
「こいつから聞いたんだ。リングの力を借りれば、君は実体となってこの世界に召喚することが出来る。
 決闘盤のソリッドビジョンなんかじゃなくて、ちゃんと実体と自我を持った君に会える、ってね」
僕が軽くリングを振ると、リングの飾りがしゃらりと鳴った。
「…はぁ………」
僕が聞いたところによると、彼女は何度となく千年リングの力でこの「場」に呼び出されたことがある。
でも僕はそのことを知らなかった。なにせ、あいつが表に出ている時は、僕は心の奥底に押し込められていたから。
僕はこれ見よがしに小さく息を吐き、聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。
「酷いよ、今まで君とリングと、二人して僕に黙ってたなんてさ」


僕は手にしていたリングを、ネクロフィアが抱いている赤ん坊に架けた。
そしてそのまま赤ん坊を抱き上げるとソファの方へと運んでいく。
「あ……マスター…?」
ネクロフィアはおろおろと僕の後に着いていく。何せ僕が抱いているのは自分の大切な子供だ。
しかし仮にもマスターである人に返せと言えるわけがない。でも大丈夫、君の可愛い赤ちゃんに乱暴なんてしないから。
僕はそんな彼女の様子などお構いなしに赤ん坊をソファに寝かせると、今度は彼女に向き直った。
「ずるいよ、僕だけ除け者にしてさ。僕だって一応健全な男子高校生なわけだし、そういうことしたいんだよ?」
「………!?」
驚いたネクロフィアが思わず赤ん坊、正確にはリングの方を見ると、アイツは申し訳なさそうに彼女に謝った。
ただし、赤ん坊を媒介にしていたけれど。
「すまねえ…全部バレちまった。オレ様がお前とヤッてるのも……」
「そういうこと☆」
相変わらずニコニコと微笑みを絶やさぬまま、僕はネクロフィアの肩に手をかけた。
「だからさ、今日は趣向を変えて僕とやろう?」
呆然とした状態のネクロフィアにそう言い放ち、僕は彼女を押し倒した。


「ああ、ちなみにお前はそこでお預けだよ」
「あーっ! 宿主テメェ!! せっかく頑張って仕込んだオレ様のネクロフィアに!!」
「ねえ、ネクロフィア」
僕はアイツの言うことなど何処吹く風と無視し、ネクロフィアの手を取って自らの口元に寄せた。
「は…はい……」
「君をオカルトデッキのデッキリーダーに選んだのは何処の誰だったかな?」
たとえデッキがアイツによってカスタマイズされていようと、カードを購入して引き当てて、
ダーク・ネクロフィアをデッキリーダーにしたのは目の前の、僕。
「あ…貴方です……」
「だよね。だから、僕も君のマスターってことになるよね☆」
僕が喋る度に、口元に寄せられた手に彼の唇と吐息がかすれる。息がかすれる度に、ネクロフィアが
ピクンと反応しているのが何だか可愛かった。
「しもべはマスターの言うことには従わなくちゃね?」
顔を至近距離まで近付け、僕ネクロフィアにそう言った。
逆らうことは無理と悟ったか、ネクロフィアは力無く頷く。
その間も、リングはなにやらわめいていたけれど、僕は無視して黙々とネクロフィアを組み敷いていた。
ああ、僕がネクロフィアを抱く姿をアイツに見せつけるなんて、何だかとっても優越感に浸れて気分がいいや。


ネクロフィアは諦めたのか、特に抵抗することもなく、僕の顔をじっと見つめる。
不安そうな目をしているその瞼に、僕はそっと唇を落とした。
「ん……」
少しくすぐったそうに目を閉じるネクロフィア。
反対側の瞼、額、頬、そして唇……僕は色々なところにキスをしていった。
だんだんその気になったのか、ネクロフィアはきゅっと僕の服の袖を掴んだ。
僕は彼女の右腕に着いていた肩当てと、左腕の手袋を器用に取り除く。
手袋を外した手にもチュッとキスをして、そのまま彼女の指を軽くくわえた。
球体関節人形みたいな外見をしたネクロフィアの指には、関節部分に球体がはめ込んである。
僕は何となく好奇心に駆られて関節部分の球体を舌でそっとなぞるように舐めた。
するとその瞬間、ネクロフィアはビックリしたように僕の口から指を引っ込めようとする。
「す……すいません……」
ネクロフィアは恥ずかしそうに俯く。その時、ふとあることが頭に閃いた。


僕の予想が正しいかどうか、確かめるついでに、肘の球体関節をそっとなぞる。
案の定、彼女はビクリと身体を震わせる。
「ネクロフィア、ひょっとして関節弱い?」
僕はそう言いながら、再び彼女の手を取って指に、とりわけ関節に舌を這わせる。
同時に、反対の手で逆の腕の手首の関節を愛撫しながら。
ネクロフィアはひくひくと震えながら、小さく頷く。
いいことを聞いた。
僕はゆっくりと彼女の指一本一本を丁寧にねぶっていった。関節を舐めると、彼女は一際ピクリと反応する。
「あ……あぅ……ん……」
ネクロの口から熱っぽい声が漏れる。手首を愛撫していた手は手首から肘、肘から肩へと進めていく。
そしてそのまま、僕は胸当てをはずして彼女の胸を直に触った。


遊戯君の所のブラック・マジシャン・ガール程ではないけれど、片手で包むには余ってしまう乳房。
下から押し上げるように掴んでは離し、その弾力を楽しむためにやわやわと揉みしだく。
敏感なところには触れないように気をつけて、その周辺はあくまで指でなぞるだけ。
僕は今まで散々指をねぶっていた手を解放し、そちらを掴んでいた手も胸の方へと這わせる。
両手を使って二つの胸を寄せる、押し上げる、掴むようにして指を食い込ませる……。
張りのあるネクロフィアの胸は僕が弄ると面白いように形を変形させた。
「は……ぁん……、マスタ……ァ」
僕の耳元で、掠れるような声で喘ぐネクロフィアの腕が僕の首に絡み付く。
唾液で塗れた指は空気に冷やされ、ひやりとした感触を僕のうなじに伝えた。


僕は舌は首筋から鎖骨へと這わせていった。
首筋へ舌を這わすと、首と胴体の縫い目にたどり着く。太い糸で縫いつけられたネクロフィアの首。
ちょっと痛々しいそこにもそっと舌を這わすと、彼女がピクリと身体を震わせた。
「……痛い?」
「いえ……」
それを聞いて安心し、僕は更に下方へと舌を移動させる。
やがて、愛撫している胸へ。
一旦舌を這わすのを止めて、僕はネクロフィアの左胸を、歯を立てないようにしてかぶりついた。
確かに僕の咥内にネクロフィアの胸の突起がある。だけど決して触れはしない。その周囲を甘噛みするだけ。
露出している右側の突起は、荒い息継ぎで上下する胸と共に微かに揺れる。
愛撫を続ける僕の手も、それには決して触れない。
「あ……マスター……」
無言でねだるように、ネクロフィアは僕の胸をまさぐっていた。
「ネクロフィア……此処、触って欲しい?」
ネクロフィアの胸から口を離し、そっと、触れるか触れないかの位置で僕は彼女の胸の突起を指で触れた。


突起には、本当にごく僅かな刺激を与えるのみ。
「ねえ……欲しい?」
今度は突起の周囲を半円ほど指でなぞる。
ネクロフィアは小さく頷き、消え入りそうな声でねだった。
「欲しい……です。触って……下さい……」
僕は答える代わりに、ネクロフィアの突起をぺろりと舐めた。舌で感じる凹凸感。彼女の身体はぴくんと大きく撥ねた。
右の胸は手で、左の胸は口で、それぞれ愛撫を繰り返す。
今まで散々じらした突起を重点的に攻めるとネクロフィアの身体はびくびくと弓なりに反応する。
左胸を甘噛みする。右胸をねじるように揉みしだく。舌で、指で、ネクロフィアの胸の突起をこりこりと弄りまわす。
「あぁ……ふぁ……あっ……だ、駄目です……」
不意に、ネクロフィアの身体が僕から逃げるように動いた。


僕は逃がすまいと空いている手を彼女の腰にがっちりと回す。
逃げようともがきながら僕の背中をかりかりとひっかくネクロフィアにはお構いなしに、僕は彼女の胸を強く吸った。
「んん……マスタぁ……やっ……」
不意に、じわりと舌の上に甘い味が広がった。
少し生臭い、懐かしいような、そんな味。
僕は驚いてネクロフィアの胸から顔を離す。彼女を見ると、少し恥ずかしそうに目を逸らす。
ポツポツと、彼女の胸からは白い液体が滲み出ていた。そっと、僕はソレを舌で舐め取った。
「そっか……ネクロフィア、お母さんだもんね」
僕は納得したように作業を再開した。
赤ちゃんがいるのだから、胸に刺激を与えたら母乳が出るなんて当たり前のことだ。
彼女の子供に少し悪い気もしたけれど、僕は彼女のミルクを少し戴くことにした。


まるで赤ん坊のように、僕はネクロフィアの胸に吸い付く。今度は口の中いっぱいに広がる乳の味。
ネクロフィアも諦めたのか、抵抗すること無しに僕の頭や背中を子供にするように優しく撫でた。
髪の隙間に入り込んでくる指や、背骨をなぞる指がくすぐったくて心地良い。
僕が胸から顔を離すと、ネクロフィアは口の端にこぼれたミルクを自分の舌で舐め取り、そのまま僕の口の中に侵入した。
互いの舌が絡み付いて、咥内で蠢く。僕がネクロフィアの歯列を舌でなぞると、彼女は僕の口蓋を舌でくすぐる。
「んっ……んふ……んぅ……」
ぴちゃぴちゃという唾液の音と、鼻に掛かったようなネクロフィアの声が薄暗い部屋に響いた。
息が苦しくなってきたので、僕たちはキスをやめた。は、と息を吐くと二人の涎が糸を引いてお互いの舌を結ぶ。
窓から見える月光に反射して光る唾液は何だかとってもいやらしい。
ネクロフィアを見ると、とろんとした目で僕を見ている。
普段は殆ど無表情なくせに、そんな表情(かお)をしているネクロフィアが可愛くて、僕は小さく笑った。


僕はそっとネクロフィアの太股に手を這わせる。
彼女の身体がぴくんと跳ね、僕の首に回された手に力が入った。
太股から脚の付け根へとゆっくり秘部に向かって撫でていくと、彼女の身体がびくびくと小さく震えるのが分かる。
脚と骨盤の繋ぎ目にたどり着き、僕はそこで手を前進させるのを止めた。そのまま、繋ぎ目を人差し指でなぞる。
人差し指で繋ぎ目を、他の指で太股の部分を行き来させながら焦らす。時折親指が秘部を僅かにこする。
「あ……あん……マスター……」
ネクロフィアは堪えきれないといった様子で僕の腕を両脚で挟み込み、僕の手に秘部を擦り付けるように腰を動かした。
「………何?」
だけど僕は敢えて知らないふりをする。ネクロフィアが動くと僕はぴたりと手を止めた。
ネクロフィアはというと、もじもじと恥ずかしそうに僕を見上げたり、何もないはずの天井や壁の方を向いたり、
ちらりとソファに転がって身悶えしているリング(はっきり言って僕は殆ど忘れてた)を見たりしていた。
「ねえ……どうして欲しいの?」
言ってくれなきゃしてあげないよ、とほのめかすように言って、僕はネクロフィアの顔に自分の顔を近付ける。
やがて覚悟を決めたように、ネクロフィアは大きく息を吐いた。


ぐっ、と僕の頭を手で抱え込んだネクロフィアは自分の唇を僕の耳元に持っていった。
「お願い……です。……触って……入れて……下さい……」
ネクロフィアが喋る度に僕の耳朶に唇と吐息が掠れる。
恥ずかしそうに、途切れ途切れに言葉を紡ぐその熱っぽい声と息遣いは僕をその気にさせるのには十分だった。
「よくできました」
僕がそう言って余っていた片手をネクロフィアの膝にやって脚を割ると、
人形特有のつるりとした――筋を引いただけのような割れ目のある――秘部が露わになった。
それでも奥は人間の女性そのもの。指で秘部を割ってみると、ひくひくと動くものが見えた。
一見すると内臓のようにも見える其処をそっと指で撫で上げると、割れ目がぱくぱくと開閉した。
「うん、濡れてる……ね」
月明かりに照らされてぬらりと光る其処に、僕は人差し指を入れた。くちゅり、といやらしい音がする。
きゅうきゅうと僕の指を締め付ける、ネクロフィアの胎(なか)は生暖かい。
もう一本、今度は中指を入れてみる。くちゅり。
さっきよりもぐっと圧迫感が加わった。僕がゆっくりと指を出し入れすると、ぐちゅぐちゅと濡れた音が部屋に響く。
だんだんと動きを早くしていくと、粘っこい愛液が外に零れだした。


付け根までべたべたに濡れた二本の指で秘部を開いてみると、ひくひくと喘ぐように其処は動いていた。
なんだかまだまだ余裕がありそうだ。
ネクロフィアの秘部にくちゅり、くちゅりと指を増やしていく。
「ネクロフィア……指、何本入ってる?」
僕は分かりやすいように、ゆっくりと指を一本一本、彼女の胎で折り曲げていった。
「あ…あっ……4ほ…ん……です…」
「うん、4本も、入ってるんだよ。こんなに狭いのに、僕の指が、4本も、君の中に」
ゆっくりと、言い含めるように言いながら僕はネクロフィアの胎で指を動かした。
愛液はどろどろと溢れて、ネクロフィアの太股を伝っていく。
濡れれば濡れるほど、指の動きは滑らかになっていった。
「あぁん……っ……マスター…ふぁ…親指もぉ……ぅん…お願……」
喘ぎ声混じりにお願いをするネクロフィアは、僕の親指を秘部の上にあてがう。
そこにはぷっくりとした小さな豆のようなモノがあった。
ああそうだ。これ、クリトリス……だっけ。


僕は親指をクリトリスにあてて、そっと押し潰した。思っていたよりも芯があって堅い。
「ひぁ…あ……んっ!」
僕がそれを触ると、ネクロフィアの身体が一際大きく跳ねた。
僕は親指でクリトリスを刺激しながら他の指で彼女の胎をぐちゃぐちゃと掻き回した。
指の動きに合わせて、ネクロフィアも身体を上下させたり、僕の身体に擦り付けたりと動く。
動いて喘ぐ度にちろちろと見える舌が僕を誘っているようでとても扇情的だった。
僕の身体に絡み付いた彼女の脚は、ブーツのヒールで僕の背中を刺激してゾクゾクとさせる。
いい加減、僕の方も限界が近かった。
「ネクロフィア……そろそろ、入れてもいい?」
僕がそう言うとネクロフィアは頷いて、僕の身体に絡めていた脚をほどいた。
「どうぞ……マスター……」
そして僕が入れやすいようにとおずおずと脚を開き、自分の手で自らの秘部を開いてみせた。


ごくり、と粘っこい生唾を飲み込んで僕の喉が鳴る。
それでも僕はいそいそとズボンのチャックを外し、自分のモノを取り出した。
今までの行為のせいで、興奮して衣服の下でパンパンに圧迫されていたソレは解放されて屹立する。
「いくよ……」
「はい……」
僕が念押しすると、ネクロフィアはゆっくり頷いて僕の肩に片足を乗せた。
足を大きく開いたことでぱっくりと割れたネクロフィアの秘部は僕をくらくらさせた。
彼女は恥じらっているようなのに、思わぬところで大胆になる。
……これも、アイツが頑張って仕込んだのかな?
引っかけられたネクロフィアの片足を持ち上げて、夜気に触れてもなお熱いソレの先端を、僕は彼女の秘部にあてがった。
ぐっと押し込むとまるで吸い込まれるようにネクロフィアの胎内に入る。
「…ふ……………」
亀頭部分が埋め込まれただけ僕のモノを、浅く息を吐いたネクロフィアは指でツツッとなぞる。
僕は電気を通されたようなゾクゾクとした快感が背中に這い上っていくのを感じた。


まるで自分の中に僕が入っているのを確かめるように、結合部にそっと指を這わせるネクロフィア。
それだけで絶頂に達してしまいそうな欲求を堪えて、僕は彼女の中へと更に入り込んでいった。
やがて根本まで入り、僕は深く息を吐く。
「ネクロフィア、動くよ」
僕はそう宣言して小刻みに身体を揺らす。一気に動かすと、すぐにでも達してしまいそうだったから。
しかしそんな僕の動きに満足しないのか、僕の動きに合わせてネクロフィアも腰を動かす。
「ん、ぅん……んん……っ」
「すごい……君の中が僕の方からよく見えるよ」
ネクロフィアが足を僕の肩に乗せているために、僕からは結合部がよく見える。
僕が動くたびに結合部から僕のモノが出入りし、ぐちゅぐちゅと粘液が溢れ出てきた。
ともすればグロテスクなその光景に僕は今まで感じたことのない興奮を覚えた。
恍惚感にくらくらとしながら、僕は更に動きを加速させた。


ネクロフィアの奥に出入りする度に、始めは浅くゆるゆるとしていた締め付けが、
今や僕自身がぎちぎちと締め付けられていくまでになっていた。
ネクロフィアはと言うと、僕の動きに合わせて喘ぎ混じりの呼吸を繰り返している。
今までに散々乱れて、こんないやらしい格好までしているのに、まだ少し恥じらっているのか声を殺す彼女がいじらしい。
「ネクロフィア、ちゃんと声聞かせて……ね?」
いい加減我慢をするのも難しくなってきた僕は、ネクロフィアの膣口ぎりぎりまで自身を抜きかけて一気に突いた。
「や……っ! あっ、あっ…あん…はぁん……!」
ネクロフィアの嬌声が一際高くなり、締め付けが一層きつくなる。


ネクロフィアの身体が弓のようにしなり、がくがくと揺れた。
「んぁあ…っ、マスタァ……私…もう……駄目ぇ…ん!」
彼女もそろそろ限界近いのだろう。でも、僕だってもう限界だった。
僕は自分の腰をネクロフィアの腰に打ち付けるように激しく動く。
ざわざわと身体中に広がる震えに、目の前が真っ白になる。
「く……あっ!」
「い…ぃ…っ……あ、あ…ンぁあ……っ!」
僕はそのまま快感に逆らうことなく、ネクロフィアの胎内奥深くに射精した。
彼女も達したのだろうか、ネクロフィアの中がびくびくと大きく痙攣し、最後まで僕を締め付ける。
全て放ってしまった後、僕は物凄い開放感と脱力感に襲われた。
ネクロフィアの上にそのまま覆い被さると、彼女は僕の頭を自分の胸に埋めさせるようにして僕を抱きしめた。
そしてまるで幼い子にするように、頭や背中を優しく撫でる。
ミルクと精と汗の混じった匂いに包まれて、僕はとろとろと微睡みかけていた。


翌朝僕が目を覚ますと、其処にネクロフィアの姿は無かった。
千年リングはソファの上に無造作に転がっており、カーテンを閉めていなかった窓からは朝日が射し込む。
ただ、それだけだった。
一瞬、昨夜の出来事は夢なのかと思った。
だけど僕の服ははだけているし、ズボンもだらしなくチャックを開けたままだった。
心なしか、身体もなんだかすっきりしているような、疲れているような、不思議な心地がする。
床には知らぬ間に僕の身体にかけられていた毛布と、デッキに入れてあったはずのダーク・ネクロフィアのカード。
それだけが、僕の意識と昨夜の出来事を繋ぐもの。
時計を見ると7時30分、そろそろ学校へ行く支度をしなければいけない。
着替えてから簡単に朝食を済ませ、戸締まりをする。
「……いってきます」
部屋を出る前に、僕はダーク・ネクロフィアのカードにキスをした。



2004年5月8日うp

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