「んっ、はぁ…うんっ」 月明りの中。温室に響く、くぐもった声。 「琥珀さん。なんですか…?」 嫌な雰囲気を肌で感じながらも、温室に入る。 |
【 蜜 】 |
you さん作 |
やっぱり琥珀さんだ。なにをして――― 夕食後、ふっといなくなった琥珀さんを探しに、彼女が世話する温室に来てみたけれど。 まさかこんなところを見てしまうなんて… 温室の片隅で地面に膝をつき、開いた裾から股の間に手を入れ、一人耽っている琥珀さん。 着物の襟は大きく開かれ、露出した胸が下腹部に差し入れた手の動きに合わせて、揺れている。 薄く開かれた艶かしい唇からは、温室に入ってからずっと聞こえていた、あの嬌声―――。 遠野屋敷の立地が丘の上で、町の喧騒から離れているから、やけに声が響く。 そして、その声に混じって微かに聞こえるのは、 ぴちゃり くちゅり という、粘りを帯びた水音。 どうやら、俺がここに居る事には気付いてないみたいだ。 声をかけるのも気まずい。 気付かれないうちに、ここで回れ右をして出よう。 そう考えるが――― どうしても、目が離せない 月明りの中、暗い温室に白く映える乳房。 手を動かす度に聞こえる。嬌声と水音のコンチェルト。 淫らな気持ちになったのは認めるが、それ以上に綺麗で、見とれてしまっていた。 ・ ・ ・ どのくらい時が経過しただろう。 三十分だったか、一分だったか。 ふと、琥珀さんの嬌声が途切れる。 俯いたまま、こちらを見ずに呟く。 「見ましたね…」 すっ と立ち上がって、 着物の襟を直しながら、ゆっくりと近付いて来る。 着崩れたままの裾がスリットの様になって、生足がちらちらと見える。 その脚線美とは対照的に、琥珀さんの顔は月明りを背にしているから影になって表情が読めない。 「…琥珀さん?」 「この子です」 そう言って、先程琥珀さんが後から出したのは、小ぶりな鉢。 鉢の真ん中には、ソフトボール大のたまねぎを赤くした様な、いかにも妖しい植物が…。 「琥珀さん。その、あからさまに『毒入ってます』って公言してるみたいな植物は何ですか」 「漢方薬の材料です」 きっぱりと即答&言い切りますね。あなたは… どうみても漢方薬じゃないでしょう、それ。 「この子ってば、普通の肥料じゃ駄目なんです」 あ、なんか展開読めてきた… 「もしかして、それの肥料って」 「はい。女の子の、えっちな蜜です」 えっちな蜜を吸って育つ植物。 なんてうらやまし―――じゃなくて、なんて怪しい…。 「さて、志貴さん。私の秘密を見たからには。二つの選択肢があります」 いきなり二者択一ですか… 「それ、どんな選択肢か教えてもらえる?」 人差し指を立てて、にっこりと笑う。 「共犯者になるか、目撃者として消されるか――」 「手伝わせてください」(即答) こんな何か企んでそうな琥珀さん相手に、第三の選択肢。「逃げ出す」を選んだ時は、あとが怖い…。 ぴちゃり、ぴちゃり 温室に、ねっとりとした粘液の音が響く。 指で琥珀さんをかき回し、舌で突起を舐める度に、 赤いたまねぎに琥珀さんから垂れた蜜が落ちる。 ぽたり――― ぽたり――― 「すごいよ。奥からあふれ出てくる」 「そん、なに、ひろげっ、あうんっ」 親指で左右に開くと、赤く充血した中で糸を引いた蜜が光を反射している。 そして、その奥から とろり と、濃い粘液が湧き出る。 「ほら、この植物も。琥珀さんから垂れた蜜で濡れて、光ってるよ」 そう言いながら、もう一度鉢を見ると―――― かぱぁっ、 赤いたまねぎが、開花するように四方へひらく。 「こっ、琥珀さん!?」 開いたたまねぎの中には、細めのアスパラガスの様な触手が、うねうねと蠢いている。 たまねぎの型に纏まっていた触手は、垂れ落ちてくる琥珀さんの蜜に誘われる様に、塊からほどけて上へ上へと伸びる。 つん、つん。 うねりながら伸びた触手が、琥珀さんの濡れた入口をノックする。 「ん、はあっ、あ、あ…」 琥珀さんから溢れた蜜が、触手を伝わり鉢に落ちる。 ぬるり、 触手は、さらに蜜を求めて一本、また一本と粘液の源泉―――琥珀さんへと入ってゆく。 お互いと琥珀さんの内側を擦りながら、奥へ奥へと。 「やあぁっ、はぁ、奥っまで」 甘い、匂い。 これは、この植物の香り…。 この匂いを嗅いじゃ駄目だ、この鉢を、鉢を、は、 なんだ、頭がボーっとして、考えがまとまらない… それに、なんだか身体が、股間が、熱い… もう、耐えられない… 微かに残る意識の中、身体は自分の意思とは関係なくズボンのベルトを外し、熱くたぎる誇張を掴むと、すでに何本もの触手が蠢いている琥珀さんにあてがい、一気に突き入れる。 「うああっ」 めいっぱいに広げられて、琥珀さんが声を上げる。 ずりゅっ、ずりゅっ。 本能のままに、奥深く突き入れ、引き抜く。 「あうっ、ふあうっ、ひゃうんっ」 琥珀さん、すごい溢れ方だ。 一突きする度に、押し出された蜜があふれ出してくる。 「ひうっ、動いてる。中で、動いてる…」 俺のものでいっぱいに広げられた琥珀さんの中を、触手が動いているのだ。 「くうぅぅっ」 こっちも気持ちいい。 こんなにたくさん入って狭くなってる所で動いてるんだ、刺激が、強すぎ、もう―――― どくっ、どくっ、どくっ 耐え切れず、琥珀さんの中で果てる。 「やあぁっ、熱い、熱いのが、奥にぃっ」 大量の精が琥珀さんの中に収まりきらず、琥珀さんとの間から垂れ落ちる。 どくっ、どくっ、どくっ まだ出てる。 心地よい射精感を感じながら、違和感を覚える。 なにかがおかしい。 確かに心地よい射精感はあるが、まだ足りない… 大量に精を吐き出しているのにもかかわらず、もっと犯したいという本能が消えないのだ。 しだいに大きくなる飢えにも似た渇望に、触手蠢く琥珀さんの中を擦り上げる。 ずりゅ、ごぷっ。ずりゅ、ごぷっ。 突き入れる度に、尋常ない量の精が結合部から溢れ出る。 「ああっ。枯れてる…」 琥珀さんの蜜と、白濁液が混ざった粘液にまみれて、ぐんにゃりと萎れるたまねぎの鉢を拾い上げる。 「もしかして。女性の蜜で育つから、逆に男のは駄目とか…」 「志ー貴ーさーん。どうしてくれるんですかー。溢れるくらいに出すからですよ」 わなわなと震える琥珀さんの背中を見ながら、抜き足差し足と後退する。 「どうしてくれるんですか、私がどれだけ苦労して株分けを成功させたと思ってるんですか」 「琥珀さん。これは不可抗力―――」 そう反論しかけて、気が付く。 まて。琥珀さん、今なんて言った? 『株分け』って、たしか植物の根を分けて増やす 方 法 … ずるり 足首に、何かが絡みついた。 下を見ると、どこかで見た事のある、だが記憶にあるソレより、はるかに太い蔦が… 「志貴さん。責任。とってもらいますからね」 琥珀さんの言葉に呼応するように、足首の圧迫感が増した… 「いやだぁぁぁ。たすけてくれー!」 ――― 終わっとけ! ――― |