今月ご紹介するのは、短編集の中の倭寇に関する一編です。
倭寇は、世界史的に(中華史的に)日本がでてくる 珍しい事項です。倭寇と秀吉の朝鮮出兵が明の寿命を短くしたと 言われています。それだけの大事件なのですが、 海賊というあまり褒められた ものではないせいか、ほとんど日本で小説の形で倭寇に 出会うことはありません。 しかし、さすが日中双方に詳しい陳さんであって 大変おもしろい小説となっています。 大河ドラマなどにすると日中間の相互理解が深まる のではないでしょうか。(もっとも、雰囲気としては 韓国の歴史ドラマに近いですが。)
この小説を読むと、倭寇というものが 日本の戦国時代を海外に輸出したものだ ということがよくわかります。 時代的に、謙信が家督を継いだころに 始まり天下統一とともに縮小しています。 他の国はえらい迷惑だったことでしょう。 (現在戦国ブームですが、本当の戦国時代は 現代人にはとても耐えられない恐ろしい時代です。 なにしろ、恩賞をもらうには首が必要ですから みんな首をぶら下げて戦っています。 その他にも串刺しや火あぶりは当たり前です。 江戸時代になってだいぶ形式化された切腹ですら、 被害者の西洋人が耐えられなくなってやめさせようと したほどです。合戦の様子を描写するだけでR指定のスプラッタ 映画となることでしょう。[ただ教育上そういう映像も実態を知る上で 必要だと思います。R指定をとって博物館などで公開す べきではないでしょうか。]他国からすると、首狩り賊なのです。 そんな人種が攻めてくるのです。どれだけ恐怖だったことでしょうか。 [もっとも中国では鼻や耳を証拠とします。その映像もそれはそれで 恐ろしいですが。いつの時代も戦争は恐ろしいのです。世界的にそういう 描写がされていないのがさらに恐ろしいです。 プライベートライアンぐらいでしょうか。])
ただ、同時に、倭寇の実態は武装商人であり、 契約がうまくいかない場合に暴れるのです。 そして中国で主に商売しているのは中国人ですから 倭寇といいつつ多くは中国人に 率いられていたということも、 この小説から学ぶべきことでしょう。 日本人にしては被害の範囲が広すぎます。 時代劇風に言えば中国の悪徳商人がうまく倭寇を使って 利益を上げていたということのようです。 まあ、そうはいっても本拠地は中国の官警のいない 日本にあったので、そこの領主(特に九州地方)にも 多額の上納金があったことでしょう。 このような、細部のこみいった利害関係を利用すれば なかなかおもしろいドラマがつくれると思うのです。 そして、この時代を正確に理解することができるように なると思います。
ちなみに、この小説を読むと海賊を退治するには もとをたたねばならないこともわかります。 ですから、ソマリアの海賊も現在国が無政府状態で あるために問題となっているのですから、国連で 共同統治してみたらどうでしょうか? 外交防衛治安だけを無料で行う施設をつくって、 あとはスイス方式で村々で直接民主主義を行い 物事をきめるようにすればそれほど反対する人が いるように思えません。 そして、すべての村が国民投票の必要性を 可決したら、選挙を行い、議会に国政を まかせればよいわけです。このような手順を 前もって示せば侵略されるという恐怖や圧迫感は なくなることでしょう。そして、 内線するより選挙で争うようになれば平和になり、 海賊もいなくなることでしょう。 本来部族ごとに生活していたのですから、 強力な政府が必要であるとは思えません。 今のままでは、延々と海賊防御をしなければ ならなくなります。
では、また来月に。
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