今月の本   0904号 最後の将軍 司馬遼太郎(著)




今回は、司馬さんの幕末ものではあまり知られていない 最後の将軍慶喜を主人公にした小説です。

有名な竜馬がゆくのすぐあとに書かれた だけあって、ちょうど竜馬がゆくと表裏一体となる 作品となっています。 去年の大河ドラマで篤姫で幕末に興味を 持った方は、この本を読むことにより あのニヒルな慶喜側からの幕末も眺めてみたらいかがでしょうか。 ひとつの時代に興味をもったら なるべく多方向からの小説を 読んでみることです。 そうするとその時代がどのように 動いていたかよくわかります。 たとえば、司馬さんの小説は それぞれの主人公すべてが 偉人として活動しています。 ですから、読了感がさわやかなのです。 この本も篤姫でしかこの時代を知らない人にとっては 慶喜がいかに偉大な人物か知って驚かれるでしょう。 ただ、実際を知りたい場合には物足りないことがあります。 そういう司馬さんの小説でも多方面からの小説をいくつも読むことにより その時代の実状を知ることができるのです。

さて、そのような幕末ものの小説を読んでいて、 物足りないなあと思うのは、アヘン戦争の扱いです。 なぜあれほど攘夷に熱心だったのか、なぜそれだけ 熱心だったのに途中から開国派になって、空前絶後の スピードで海外のものを吸収したのか。 なぜ、幕府があれだけ弱腰であったのか。 そのすべての原因の発端はアヘン戦争で 秀吉でも勝てなかった中国があっさり負けた ことにあるのです。しかも、戦争の要因もいいがかり に近いもので、いいがかりで戦争をしかけられて 領土をとられてしまうというのは日本にとってとてつもない 衝撃だったのです。 そのため、当時の有識者には何かしなければという 焦燥感をつよくもったのですが、いったい何をすればよいかは わからなかったわけです。そこで上記の右往左往がおきる わけです。結果的に開国になるのも目的がいいがかりを つけられて攻め込まれないようにしようという恐怖心からです。 そういう流れからすると、幕府側の要人の動きなども読めてきます。 そのような重要なアヘン戦争ですが、幕末物の話の中ではさらりとかかれていて その有識者に巻き起こった恐怖心の大きさが十分描かれていないように 思われます。ガリレオの地球が動いているという主張や地球が丸いという主張 による衝撃以上の知識のコペルニクス的転換が生じたことでしょう。 南蛮として卑下していたものが実は当時の世界の中心と思われていた中国より 優れていて、隙があればあればせめてくるという実害を伴っていたわけですから。(そういうことは、秀吉や家康のころは知る人は知っていたのですが、 その後鎖国して南蛮関連の知識がほとんど禁じられててしまったことも 問題を大きくしたのでしょう。) そして、アヘン戦争の号砲で走り出した日本は、明治維新から 日清日露戦争へと突っ走ります。問題はそこで、謙信とおなじように アジア諸国の混乱を治める 盟主としての立場をとればその後日本の立場をより高い場所に 持ち上げ、アジアの盟主的な地位にいまでもいることができたと思いますが、 列強と同じ道に進みました。そして次の世代は前の世代と 同じ方向へ何も疑問を持つことなく進み先の大戦までひきおこしました。 それだけ大事なものなので、その衝撃をうまく描けば よりわかりやすくダイナミックな流れとして描写できる と思うのです。そして、そのダイナミックスの中で当時の歴史 を考えることにより初めて、日本がどうすべきであったか 今後どうすべきかがみえてくるのです。 (大きなポイントは上記のように日露戦争後の 朝鮮や台湾に対する態度でした。 そこである程度軍事的に成功したと思ったがために その後もなんの考えもなしに大陸へと進んでいきます。 秀吉の中国征伐というのもジンギスカンに触発された あまり考えのないものだったと思いますが、 あのころの日本もいったい何のために植民地が必要であったのか いまだにわかりません。強国はみなもっているからというのが 正解のような気がしますが、不平等条約は日露戦争で 直されましたから、もはや強国の真似をする必要もありませんでした。 そして、経済界は経済成長のために領土拡張を推していくのですが、 よくみると経済的にも特に利点があるわけではないのです。 ちょうど現在の公共事業と同じで、以前日清戦争のときに 賠償金がとれて経済が活況になった過去の経験から、 夢よもう一度ということで要求しているだけで、 深く分析して行動しているようではないようです。 [そして、おいだそうとしている人たちが イラクにおける米軍と同様に、日本を引きずりこんでいき 破局へと向かいます。] 日本人は一度走り出すと深く考えずに走るようで、 戦後の復興からバブルへの時もそうでした。 自分たちが食えるために輸出立国を目指したのに、 途中から輸出量を増やすことが目標になってしまい。 せっかく復興を助けてくれた米国にとって、 ソ連より脅威といわしめるまでにいたりました。 もし、各企業が輸出した分他のものを買うように 行動したら、あんな摩擦はおきず、 日本復興の戦士である製造業のみなさんが 円高で苦しむことはなかったことでしょう。 経済はいかに資金を循環させるかが重要なのです。 そして、そのひずみのためにバブルが発生して 崩壊していまだにその混乱の中にいるのです。 その点商社はそういう感覚に優れていて 去年のようなときでも黒字を出しています。 製造業も輸出したらその分別のものを かってきて商売するようなしくみをつくるように すべきでしょう。どうせ輸出物をのせた船はからなのです。 そうすれば松下さんが願ったように 世界に幸せを輸出できることでしょう。 そして、日本ももっと豊かになって生活水準も上がる ことでしょう。いまは日本人は寝る間もおしんで ものをつくって輸出しているだけで、 つくったもので豊かな生活を送っているわけではないのです。 上の人はもっと全体を眺める習慣をつけて、 極端はよくないということを よく考えるべきでしょう。)

では、また来月に。

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