今月の本    0611号 戦争のことを教えてください


今月ご紹介する本は、お医者さんが老人の患者さんや知り合いの 人に戦争の体験を聞いてまとめた本です。 いくつも本をだされている方からか、非常に読み易い本です。 また、文庫判は新しいのですが、元の単行本は10年以上前 に書かれていまして、まさに戦争の中核を担った方々の 証言が得られています。戦時中のことを知るには 貴重な資料となっています。

前にも書きましたが、戦争の実態を追体験するには、 当時その中にいた人達の体験記を読むのが一番早道です。 最近では、NHKで昭和20年というドキュメントが ありました。有名な芸能人が昭和20年に体験したことを しゃべるだけの番組でしたが、知っている人が話していると より実感が増しますし、日付順に整理されていて、 同じ事件を多様な立場から知ることができて、 とてもわかりやすいものでした。 ただ、残念なのは、撮影が最近のため、 兵隊さんや子供などの人達の体験が多くなっていました。 もっと中核を担った人達の体験があればと思って いたところこの本に出会いました。 年代的に下士官や少し上の人達の体験が多く、 あの戦争がどのように実行されたかを知ることが できます。 (最近100歳以上の人が相当増えているようですし、 自分史をつくると惚け防止になるようですから、 文章が得意な介護士の方が同様に昔のことを聞き出して 本にまとめたら、まだ戦時中のことがいろいろ わかるのではないでしょうか。)

最近の核論議などで気になるのは、核や戦争に対する アレルギーが、日本において薄れてきていることです。 最近でもTBSなどで原爆を体験できるドラマが放映されて いましたが、なかなか世代を超えて体験が伝わらない ようです。こういう本やドキュメントをうまく 利用して、あの戦争の体験を忘れないような しくみをつくってほしいものです。 現在北朝鮮は核を持ったと喜んでいるようですが、 むしろ世界の軍需産業に、核の新兵器の実験場 を提供してしまったように思われます。 どうかんがえても、むしろ安全保障上の危険性が 増しています。この状態で、 一度でも小型核などが使われたら、核の抑止力 の大部分が消失してしまい、核が使われ易い 世の中になり、より悲惨なテロや戦争がつづく ことになるでしょう。 そして、広島長崎の数桁多い被害者がでてはじめて、 もう一度抑止が効くようになるのでしょう。

つまり、核の記憶を失うということは 核の抑止力そのものを失うことになるのです。 そして、広島長崎の犠牲者の意味を無にする行為なのです。 これまで、60年以上核が戦争に使われなかったのは 広島長崎の貴い犠牲とその記憶をうけついだ人達の 働きかけによるものです。 ですから、ある意味日本が世界の核戦争を防いできた といってもいいのです。それを誇るどころか、 真逆の意見が散見されることは恐ろしいことです。

今は、核がそこら中で使われるか、 管理の中で少しずつ縮小されるかの歴史の分岐点にあります。 そして、日本の核に関するアレルギーが小さくなるほど、 数十年に一度どこかで使用されるような最悪のシナリオ へと歴史は転がっていくことになります。 歴史上の人物で合理的な判断をしなかった人は 山ほどいます。そして、そういう人に核がわたる 確率、そしてそのような人が核を使う確率と いうものは、一端歴史が悪い方向へ転がり出せば際限なく 大きくなっていきます。 (そういう判断をするためにも世界史の必修というのは 必要だと思います。核の問題について抑止力に頼った議論を 前提にコメントしている人が世界史なんて必要ないといっていました。 しかし、抑止力の危うさを知るには世界史の流れを知っておく 必要があります。)

今こそそのような未来から、明るい未来へと歴史の舵 をきるときです。

最近放映されたNHKの湯川博士のドキュメントでも、 核の抑止というものはありえないと、博士は明確に否定されて いました。結局は、核の機能アップによる垂直の拡散と 保有国や団体が増える横の拡散によって破綻を来すのです。 当時そのような発言はあまり目にしなかったのですが、 メディアももっと取り上げるべきだったのではないでしょうか。 そして、現在博士の言われた通りの現象がおきているのです。 今こそ、核の恐ろしさを再認識して、核の軍縮へ世界の 意識を転換すべき時です。そのために日本が率先して 行動すべきときです。

具体的には、核の恐ろしさを核の抑止力を信じている 人びとに教えることだと思います。 核を持とう、もしくは増やそうという国において、 TVや新聞の枠を買って、核のドキュメントを 流したらどうでしょうか。うまくいけば広島長崎 の体験を世界中の人々が受け継ぐことになると思います。 核兵器の実態を知るほど核を無くさねばならないと 考えるようになるはずです。平和運動も デモのような勢力の誇示ではなく, そういう実効性の高いものへの寄付を募るような行動をとるべきでしょう。 他の国の人にはお節介として嫌がられるかもしれませんが、 分岐点を過ぎるまでの時間はそれほど残されて いないように思われますので、やむをえないでしょう。。 (本来は、インドやパキスタンやイスラエルの国々が持とうと した時点でやればもっと楽だったのですが。 これらの国々に関しても国がもっとはっきりとした態度を とることが北朝鮮へのメッセージとなるのではないでしょうか?)

では、また来月に。

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