メールマガジン　今月の本 0508号大法輪まんだら（創刊60年秀作選、秀作選第2集） <

今月の本　0508号大法輪まんだら（創刊60年秀作選、秀作選第2集）

今回紹介する本は、仏教系の雑誌の秀れた随筆を集めた本です。仏教系というと辛気臭い本なのではと、思われるかもしれませんが、編集者が優秀なのか、宗派にとらわれない雑誌からなのか、多様な題材が選ばれています。ですから、読んでいて飽きません。

秀れた随筆を読むと、書いている著者の高潔な人格に自分もなれたような気になるものです。ですから、そのような随筆が並んでいると、いろいろな人の人格というものを楽しむことができます。そのような随筆がずらりと並んでいますから、この本を読むと、とても得した気分になります。

しかも、歴史のある雑誌であるだけあって書いている方は多方面の一流の著名人ばかりです。一部を挙げるだけでも、金田一京助、平塚らいてう、内田百聞、鈴木梅太郎、武者小路実篤、柳宗悦、正力松太郎、堤康次郎、川上哲治、瀬戸内寂聴、棟方志功、徳川夢声、笠智衆、林武、岡本太郎、永井路子、升田幸三、というように多様な分野において教科書にでてくるような著名人ばかりです。こういう人達は、普段は教科書的な無味乾燥な文章で知識としてしか知ることができないのですが、この本を読むことによって、その肉声(人格)に触れることができ、より身近に感じることができます。(たとえば、堤さんの商売感も最近報道されていたものと大分違っていることもわかります。)

また、当然仏教の雑誌ですから、仏教界の偉い方々の文章も載っています。ですが、仏教書とちがい、とてもおもしろくわかりやすいものばかりです。私が一番興味深かったものは、御焼香について書かれたものです。現代でも悩む御焼香のしきたりですが、戦前でも悩んでいるようで共感できましたし、私がハウツー本から仕入れた知識である3回行うというのは仏教本来の考え方からは誤りで、一回でよいらしく、驚きました。

同時に、多様な人達の仏教に対する考え方がわかりますから、仏教とはなにかわからない方への入門書ともなるように思われます。こういう本が各宗教ごとにあって、お互いにそのような本を読み合うと、お互いの宗教を感覚的に知ることができますから、ずっと紛争が減るのではないでしょうか。

では、また来月に。

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