今回紹介する本は、漢の武帝の解説書です。
漢の武帝は、漢の皇帝達の中では一番有名といってもいい皇帝で、その治世の ときに、数々の遠征を行い、版図は最大になりますし、かずかずの事業を行い ます。有名な将軍の挿話もいくつもあり、そのなかのいくつかは国語や漢文の 教科書にも載っています。
本当は、このような武帝の小説を読んでみたいのですが読みやすくおもしろい ものはまだないようです。この本は、解説書ですがとても読みやすいので、そ れほど苦労せず読めると思います。ただ、この時代のことを知っていた方がい いと思いますので、司馬さんの項羽と劉邦などを読んでおくといいと思います 。
そして、この本を読んだあとにお勧めなのが、宮城谷さんの花の歳月です。こ の本は、武帝のおばあさんがでてくる話しです。派手で儒学を好む武帝に対し て、おばあさんは、地味で道教を好みますので、いろいろ対立します。ですか ら、武帝は最初はやりたいことがほとんどできませんでした。やりたいことを 自由にできるようになったのは、おばあさんが亡くなってからなのです。この 本を読むと彼女がなぜそのような考えをもち行動するようになったのかがよく わかります。
それにしても武帝のような比較的うまくいったと思われる皇帝でも、治世を細 かくみていくと絶えず問題が発生していて、対応に追われています。そして、 間違いも幾つかおかしているのがよくわかります。なかなか名帝になるのはむ ずかしいものなのです。(ちなみに漢の最高の名帝といわれる人はおばあさん の夫である文帝なのですが、小説はほとんどありません。どなたか が読みやすくすばらしい小説を書いてほしいものです。)
では、また来月に。
では、また来月に。
関連リンク:http://yokutoku.y.ribbon.to/mm36.html
============================================================
このマガジンを登録/解約したい場合は、 http://yokutoku.y.ribbon.to/
でできます。
翼徳 email:f4s2016@gmail.com
============================================================
----------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して
発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000067241)
----------------------------------------------------------------------
==============================関連リンク==============================
漢の武帝岩波新書 青版 (24)
武帝は、歴史好きには大変おもしろい活動をいくつも行っています。
たとえば、軍事行動を活発にして漢の国を大きく拡げます。それまで悩まされていた遊牧民族を遠く駆逐し、ペルシャ周辺まで軍隊を派遣します。ですから、中国においてはそれ以後長期間にわたって遊牧民族に悩まされることはなくなります。(漢の時代の後の三国志の時代のさらに後の晋の時代のあとの南北朝時代まで、遊牧民の侵入はないようです。)そして、そのとき駆逐した部族は、500年後ヨーロッパに現れてゲルマン民族の大移動を引き起こしたという説があります。ですから、今ヨーロッパに住んでいる人たちは武帝のおかげで今の場所に住んでいると考えられなくもありません。武帝のような地球的な大きさの行動をする人がいるときは、地球規模の視点から歴史をみるといろいろおもしろい仮説をたてることができます。それを検証するのも歴史の醍醐味です。
----------------------<吉川幸次郎さんの本>
----------------------
----------------------その他----------------------
項羽と劉邦
これは、漢の国がつくられた頃の話しです。初代の劉邦がそうとうおもしろい人であることがわかります。また、遊牧民族がいかに強かったかもわかると思います。
花の歳月
もっとも、漢の国では、この武帝の時を境に少しずつ衰えていきます。国というのは、外より中から壊れることがよくわかります。はたしてこの本の主人公の武帝のおばあさんとどちらが正しかったのかを考えながら、その後の漢の歴史を読むとより歴史のおもしろさを実感できると思います。