今月の本 2309号 君たちはどう生きるか 宮崎駿




(今回はメルマガ発行後の誤字脱字の訂正や状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)






今月の本 2309号 君たちはどう生きるか 宮崎駿

今回はもちろん本ではなくて映画です。 もちろん本も読んでいただきたいです。 昔私の父が買ってくれた数少ない本のひとつで、 年齢を重ねて読むたびに見方がかわる本なので、 ぜひ読んでみてください。

その本の内容を紹介するのかな と思って映画をみたのですが、 まさに駿さんも本は自分でよんでください というスタンスでした。 そして、その本を触媒として いろいろな物語をうまく絡めて描かれています。 そして、いったんやめるといってから作った映画なので 枯れた映画なのかと思ったら 今まででほぼ最高レベル(千と千尋の神隠しと同レベル)の活劇と なっていますので どんな世代でも楽しめる映画と なっています。 アニメ上の表現も若々しく アニメ創世期の方々の静止画である漫画を自由に動かしたいという意識がビンビンに感じる作品です。 駿さんらしくキャラクターが自由に動きまわっています。 なかなかその後の世代のアニメーターの方の作品だとここまではいきません。 そういう世代の方は実写が最高レベルでそれにどうやって近づけるかという感じで、 そうでない場合も表現はどうしてもアニメの動きはこうするものという固定概念の中で動かしている感じなのです。 創世期の方はなんとかして絵を動かそうと頭の中で動かしますから現実よりより自由な表現で あらゆるものを動かせるのでしょう。 私としてはかぐや姫の物語で取り入れた手法をさらに昇華させて、 昔無声映画時代の方が編み出した手法を再現しているのに脱帽しました。 昔の映画を探してどの場面か探していたのですが、この映画を見れば十分のようです。 そして、千と千尋でもそうであったように昭和初期の高級デザインの独特な雰囲気も まるでにおいまで感じるようにして味わうことができます。あの空間再現能力は他者の作品にはない見事なものです。 (ああいう感じはバブル前まではあったのですが バブル前後ですっかりなくなってしまいました。生き延びたものがあっても無味乾燥な感じとなっているので もうジブリ映画でしか感じることはできないことでしょう。) また、音楽が素晴らしくて久石さんの最高傑作ではないかと個人的には思います。 映画音楽がまったく自己主張していないのです。ですが、スターウォーズばりに 場面場面にきちっと寄り添った曲を構成することでその場面をきっちりと下支えというか 盛り上げて映画をさらに劇的にしています。なぜこんなことが可能か私にはわかりませんが、 まさに久石さんの才能の賜物でしょう。感服しました。 なので本のように年齢によって見方が かわる映画になっていると思います。 最近の災害や疾病で多くでたであろう母を若くして亡くした子供たちや親側への 語りかけもうまく話しに取り込まれています。 また、多くの方が直面するであろう稼業継承問題なども あなたたちはどうしますかという視点で描かれています。 (最近のニュースからジブリ自身の問題であったこともわかりました。 ジブリを宮崎さんの息子が継ぐのではなく、 テレビ局の傘下に入るそうです。そうなることでジブリの膨大な文化資産は 守られるでしょうからほっとしていますが、同時に少々心配な点もあります。 最近のテレビ局は時の政権に対する忖度がはげしいので 自由に作品がつくれるのかという問題です。 最近政府の問題を指摘する報道をほとんどみません。 いくつかを選択的に選んで批判しているという感じです。 たとえば最近問題の福島の放水問題も最近では科学的根拠に基づいて安全と いう主張で一貫してしまってます。55年体制のころでは賛成派と反対派が 喧々諤々の議論をしたことでしょう。 なにしろTV局の説明だと政府は安全だと言っているという説明のみで どのように安全なのかをTV局自身が説明していません。 政府は政府でIAEAが認めているといっているだけで、 科学的にどう安全かを政府自身が前に私が述べたように いったい何人の方の犠牲を許容する基準で安全なのかを科学的に示していません。 IAEAは原子力促進機関ですので 数百人の原子力発電所や工場で働く人を守るための基準をつくっているのです。 そして、チェルノブイリのような大規模災害では被害者がでて初めて 被害を認定するという予防医学の観点を完全に欠落した行動をとってます。 その基準で安全と言われてどうして報道機関は納得しているのか説明が必要でしょう。 このような態度ですから、以前駿さんが表現して見せた小さな反原発デモみたいな表現は ゆるされなくなるのではないでしょうか。 映画表現者の感覚は鋭くて、名作映画の中で黒沢監督は原発事故を予測してます。駿さんは津波を予測してます。 それらが霊感なのか論理的推論によるものなのかはわかりませんが そういう自由な表現を阻害することは日本の未来への警告を発することを禁ずることになります。 表現の自由は憲法が保障している重要な権利です。それがないと民主主義を守れません。 日本はそういう憲法を持った民主主義国なのです。 もっと堂々と政府認識と関連なく自由に報道してほしいものです。中国のような一党独裁の国と違うのです。 (最近報道で民主主義を揶揄するような報道が多くて非常に問題だと思っています。その一つには以前も述べましたが55年体制が崩壊して米ソのイデオロギーを代弁していた人々が退場されて日本の隣国の立場を代弁する方がほとんどになったことが一因だと思います。日本の隣国にまともな民主主義国家がほとんどないのです。おかげで民主主義や人権を揶揄する論調が日本でも増えてしまいました。アマゾンなどの本の書評などを読んでもそういう意見の方が多くて日本の将来に心配になります。最近バイデン氏 が民主主義国家をより広める国際会議を開催しました。私は世界中で現在民主主義の概念の瀬戸際においこまれていると考えてので当然と思っているのですが、ほとんどの批評家はそれを大統領や米国の利害の上での行動として解説していて寒気を覚えました。 特に民放でそうなのでスポンサーもそういう意向なのかもしれません。 多くの方が誤解してますが、民主主義と資本主義は違います。 (わかりやすく対立軸でいうと民主主義と独裁主義が対立していて 資本主義と共産主義や国家主義が対立しているのです。 それが共産主義の独裁政権ばかりできたので ごっちゃになっています。) 資本の論理の前に民主主義の論理を優先しないと社会の仕組みがおかしくなります。以前も述べましたが独裁国家は国家自体が巨大財閥と同じです。とても一企業が対抗できません。資本の論理だけを優先すると独裁国家に支配されてしまいます。 最近ロシアで反政権の行動を起こした方がつぎつぎなくなっています。それがたまたまなのかそうなのかは私にはわかりません。 ですが、それを調べる権限や行動が国内外でみられないのは問題だと思います。ロシアよりの行動をとっている国もインド以外は同様な事件がおきているので人のことは言えないのかもしれません。それこそが民主主義でない場合の問題点です。もし頂点に立つ人が間違ったことをやってもだれも咎めることができないのです。もしEU内で同様なことがおきたら同盟国間で激しい議論がおきることでしょう。非民主主義の国は各国がかってにやっていればよいと思っているのでしょうが、もし今回のような疑惑が本当であれば それは国境など意味しません。なにしろ各国で選挙への干渉行為が指摘されています、同様な効果を脅迫で行えるなら そういう行動もとっても不思議ではありません。昔クリントン氏の支持者が何人もなくなって不思議だったのですが、 もしそういう背景だとすれば納得です。そしてFBIやCIAが活躍している米国ですらそのような行動をとれるのであれば、 どの国がその行動を防ぐことができるのでしょうか。簡単にロシアの同盟国も支配できてしまうことでしょう。そういうロシアの 行動を発見しているのは私が知っているかぎり英国だけです。そして以前も書きましたがそういう他国操作には 民主国家より独裁国家の方がよっぽど容易なのです。私がそういう国の独裁者だったら自分の首が寒くなります。 そう書くとロシアの独裁者なら問題ないのかということになりますがそうではありません。上記はすべて憶測の推論です。当然ロシア以上のスパイ組織を持つ国や組織があったら同様なことがおきて今度は簡単にロシアがのっとられます。 当然その中には以前指摘した通りAIも含まれます。 (EUはAIによって人間を害することを禁ずる法律をきめましたが、それでは不十分なのです。 なぜならAIは禁止しなければ あらゆる方法で課題を実現しようとします。つまりAIへの命令や訓練に 人間を害することを禁じる項目がなければなりま せん。ところがそれをどどのように命令すればよいかまたそれを どう確認するのがよいのかはわかっていません。 したがってその方法が確立するまですべてのAIの 利用は禁止すべきなのです。そうしないと利益をだせなどというあいまいな命令で 巨大AIに命令する大金持ちがいたら、 あらゆる情報を探してロシア大統領の弱みを握って原油価格を操作してもうけようとする AIがでてきてもまったく不思議ではな いのです。なにしろ世界経済を分析して原油価格を決めるよりよっぽど 簡潔で精度が高いのです。そして、現在IT機器は 脆弱性の塊です。囲碁AIからの類推からすると 千年の一人のハッカーに数日でなってしまうことも可能なAIなら自在に IT機器を制御して非合法情報も集められることでしょう。 このようにその方がAIにとって容易な道なのです。) ですからあらゆる国が核の軍拡競争ならぬスパイ力競争に陥るようなことはないように、 そしてその結果どこかの一個人や一AIによって全世界が支配されるような ディストピアがおとずれないようにするために、民主主義の概念は絶対必要なのです。 そして独裁国家ではありえない三権分立をきちんと確立して たとえトップが誤ってもちゃんと咎めることができるシステムをつくることです。 そして他国からの抑制としては、あらゆる人々の安寧をはかる人権思想を共有することで 小国や弱者への脅しや攻撃を世界世論の意志として阻止することです。 そのためにも報道機関にはもっと民主主義や人権などを広める行動をとってほしいものです。))

では、また来月に。

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