今月の本     1405号 初秋の剣 大江戸定年組 風野真知雄 著
(今回はメルマガ発行後の誤字脱字の訂正や状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)




今月は時代小説です。 隠居した江戸の仲間が隠居を楽しみながら 軽く謎を解くという大変のどかなお話です。 特にこの本は導入部分になっていて 物語の設定がゆっくりできあがっていく のにものどかさが感じられて なるほど物語を始めるのにこういうやりかたもあるのかと感心しました。

実際の江戸時代の隠居生活は私の感覚では それほど長いものではないように感じています。 (特に武士の場合記録を見るとお役御免のあとに 数年以内になくなっている方が多いように感じています。) 飢饉や疫病があるからでしょうか?

そうはいっても、日本地図を作った 伊能忠敬のように50歳で隠居して それから専門家に弟子入りして 日本を測量して地図をつくってしまう ような人もいますから この小説のような方も多くいらっしゃったのでしょう。 実際、歌舞伎のような演劇はもとより ほうずき市や朝顔市という植物の楽しみ方さらには盆栽という高度な 文化が生み出されたのも ご隠居という生活にあくせくしない分厚い層があったためでしょう。

日本の現在も高齢化社会といわれていて こういう豊かな社会をめざすべきだと 311前までは思っていました。

ただ、現状はこれまでも何度ものべているように 日本全体が放射能との戦争状態にあります。 粋な文化を創っている余裕はないのです。 退職された方はぜひほとんど測られていない ベータ線やアルファ線が測定できる測定器を 購入して忠敬のように放射線の地図をつくるような 作業に余命はつかうべきでしょう。(ついでに自分たちの 食事も測定してそれを何万人単位で公表すればより安全になります。) 放射線は若い人ほどききます。 (そうはいっても、老人の方も耐性が若い人より少ないので 決して安全ではないので、マスクはして出歩くべきでしょう。) いまだに放射能は福島原発から放出されていますし、 トリチウムを含んでいても排水してしまっていますから、 雨などで環境放射能が増える可能性もあります。 もっと影響がおおきいのは拡散で 高い線量の地域から 低いところへ放射性物質が拡散してきます。 (だから除染は無意味だという意見をよく目にしますが その拡散を食い止めるために必要なのです。 とにかく今後放射能の自然減は少なくなるので 除染を何度も行なって放射性物質の拡散を食い止める ことが国民の被害を最小限にするために必要なのです。) ですから日々いたるところを測定する必要があるのです。 (事故時のシミュレーションなどをみていると北半球全体に 放射性物質が広がっていることがわかります。 すべて原子単位で一様に薄まるわけではないので 日本中どこに致死性の高い放射性物質があっても不思議ではないのです。) それには膨大な人数が必要で退職後のご隠居方にお願いするのが 一番効率的であるように思われます。 (このように日本人全体が協力して取り組まねば日本がどうなってしまうかわからないほど それだけ今回の原発事故の影響は大きいのです。 国土の大きいソ連ですらチェルノブイリのあと崩壊してしまいました。 政府東電は資金や手間をかけずに気の持ちようでのり切ろうとしているように みえますが、 これまでも述べましたがでてくる統計情報はチェルノブイリと同じかより 悪いものばかりです。今からでも広く細かく測定して少しでも危険なものは 除去すべきでしょう。 こんな事故は経験がないので あらゆる可能性を考えて行動する必要があります。 例えば下水処理場でヨウ素がいまだに検出されています。 医療用ということになっていますが、 事故でウランも撒き散らされた可能性があります。 もしそのウランやプルトニウムが崩壊して生成されているとすると 中性子がそこら中からでていることになります。 念の為常時中性子線量も常に測定しておくべきなのですが、 まったくといっていいほど測定されていません。 茨城の事故のときは別の場所にある研究所で 中性子線がでていることがわかったくらいです。 そのくらい長距離に届く上に測定器はほとんどありません。 通常の放射線測定器では宇宙線などのバックグラウンドと思ってしまいます。 弱い中性子爆弾の中に長期間に日本人が住んでるよう な状況になっていないことを祈るばかりです。 日本は豊かで科学技術を持っているのですから こういうリスクをひとつひとつ丁寧に測定して危険を抑えこむ べきなのです。政府側の専門家は甲状腺がんも他の地域と大差ない というチェルノブイリと同じ論理で説明しています。 そもそも日本より広い空間を汚染物質が通っているので 日本中で増加してもおかしくない (チェルノブイリではいろんな団体が被害をまとめていますが、 測定範囲を広げるほど大きな被害がみえてくるという特徴があります。 なぜか政府など公式な専門家がいまだに一番狭い範囲でしらべた結果を 使って大した被害がないとしているのが不思議です。 WHOの報告書ですらはるかに大きな被害が 見えているのです。人口統計でみるとモンゴルなども影響をうけている ようですし、日本ですらわずかに平均寿命の変動がみられます。 (もちろん公式にはそれぞれ別の要因として説明されていますが 人口統計の変動の理由を証明することなどよっぽどのことがないかぎり 難しい(死者全員の生活態度などを調べてより詳しい死亡原因を特定 しなければなりません。)のですから、憶測にすぎません。 チェルノブイリと今回の事故で連動性がみえてきたら 原発の影響とみたほうが自然でしょう。)) のですが、 他の地域のデータでは一人しか病気と確定されたひとはいないようです。 それでは統計誤差が多すぎて比較してなにか言える状況ではありません。 病気の確定人数こそ一番正確な値ですから、 むしろ擬似認定から確定する割合からみて福島近傍の発生数が多い可能性は十分高いです。 検査人数を日本中で増やして危険な地域があれば それを割り出せるようにすべきでしょう。福島の状況が異常でないのであれば、 調査対象者を増やせば各地域ごとにどこがなり易いとかなりにくいか はっきりわかるはずです。 そして染色体異常などすべての病気についてそれを行ったら ようやく原発事故の被害の全容がみえてくることでしょう。 (PM2.5の影響などもみえてくるはずなので。国民全体の健康増進に役に立つはずです。)) そしてご隠居方がそういう作業につかれたら この本のシリーズでもよんで 311がなかった場合の粋な生活を夢想しつつ 鋭気を養うのはどうでしょうか。

では、また来月に。

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