今月の本   1306号 関西電力大飯原子力発電所3号機,4号機運転差止仮処分命令申立事件 判決文 
大阪地方裁判所第1民事部

(今回はメルマガ発行後の誤字脱字の訂正や状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)


最近の世情があまりに311のことをわすれさったように 動いているのでその象徴というべき文章を 今回も日本人が読むべきものとして 選びました。

311のころは日本全体が呆然としていて フィクション系のクリエータに奮起を願ったのですが、 現在は日本全体がまるで311はなかったかのような フィクションの中に逃げ込もうとしているように思われます。 福島の事故の十分な検証もなく再稼働することなどあっては ならないのに、大飯は再稼働して他の発電所も再稼働申請が相次ぐはずだ というとんでもない報道がされています。

まずやることは再稼働ではなく 福島原発の現状把握と収束です。 それこそ1、2、3、4号炉にそれぞれ4つの電力会社に収束を担当させて 現状把握及び事故原因の把握及び事故の収束がみえたところで はじめて再稼働を検討しますとするべきでしょう。 どうみても福島での放射能との戦いはとても収束しようとしていないのに 十分な安全を確保していない状態で日本中の原発を再稼働しようとしている のですから正気の沙汰とは思えません。日本を破滅させたいのでしょうか。 (プルサーマルまで実施するという報道まであります。 事故時により危険な情況になるプルサーマルをやるなら 当然フィルター付きベント設備は必須ですが 規制当局が数年後でいいといったからとして 当然のようにフィルターつけずに動かそうとしています。 ひとつ条件が変わると安全に必要なものは当然かわってくるのですが そういう広い目でもって安全を探求している人や部門は国にも電力会社にも ないことがうかがわれます。)

この判決文を読むと ほぼ電力会社側の言い分のみをとりいれていて 原発事故に対する法律家の態度はいまだに311以前とかわっていないことがわかります。 どこかの発電所の判決で発電所を差し止めていたら 電力会社ももっと安全よりの姿勢となって 福島の事故はおきなかったかもしれないのです。 法律家の責任は大きいのですが まったく認識していないようです。 小学生が原子力発電所の展示コーナーで 問い詰めていったら結局説明員がおこりだしたという 話が新聞にあったように、小学生でも安全ではないことは わかるのですからまして司法試験に合格した人たちが わからないわけはないのです。

司法がこのような情況になったのは 自衛隊裁判と角栄裁判であるようにみえます。 国にとって絶対にまけるわけにはいけないということで 猛烈な介入がおこなわれたのでしょう。 その後国に注文をつけるような判決自体がほとんどでなくなって 必要以上に国に配慮した判決ばかりがでるようになりました。 (でるのはたいがい退職前の裁判官のときだけだったりします。 本来はそういう人ほど出世させるべきなのです。) しかしそれでは三権分立の意味がありません。 法律の専門家が法体系のバランスをくずすような問題について はっきりと忠告することはきわめて重要なことです。 原子力はそもそも日本が壊滅するかもしれないものなのですから 法体系的にみても本当に国民の安全が保たれているか 細かく確認して、問題があれば提訴をまたずに警告するべきものなのです。 なぜならもしそうなら憲法違反になるからです。 (上記の歴史的問題のために憲法訴訟の要件が著しく 厳しくされてしまっているのも問題です。憲法には特にかかれていないのですから もっと自由に憲法判断を下せるように運用を変えるべきでしょう。)

この判決文でまずおかしいのは 現在の科学的知見において妥当という判断が 根拠もなくいくつもされていることです。 最近の地震においてほとんどが想定外のところで 地震がおきています。 たいがいおきてから断層がみつかっています。 こういう状況では現在の地質学や地震学を信用してはならないという立場が 現在の科学的知見において妥当な態度なのです。 ところがその不確実な現在の学問成果を積み上げたものが 現在の科学的知見だという態度なので、 それでは想定外の断層や地震源があったら簡単に福島のようになってしまいます。 まったく311の教訓を学んでいません。

また、それでも安全当局では 最初はそういう態度で原子炉の安全対策にとりくんでいたようで 世界的にみて過去におきた大きな災害がおきても耐えられるようにするという 方針でした、それが規制案になるとなぜか 福島の事故をおこしたものと同等な地震津波にも耐えられるという 文章に変更され、 実際に計算する段階ではいままでどうりに みつかっている断層でおきる最大津波に耐えられるかで 判断しているのです。 あきらかに曲解をかさねて基準をゆるめている勢力があります。 そして裁判官もだまされてその判断基準で津波に耐えられると してしまっています。 そのため安全面で穴があいてしまっています。 みつかっていない断層があったらどうするのでしょうか。 福島並の津波は平均20mで最大45mまで駆け上がります。 そんな津波がきたら大飯原発だと結局消防車や電源車まで 流されてしまうことでしょう。 しかも、世界記録は崖崩れによる数百mなのです。 宇宙から隕石が落ちてきたらさらに大きな波がきます。 それでも安全かが問われているのです。 (ところが崖崩れや隕石落下という文字は規制案の中にはみあたらないようで 想定していないように思われます。) そんなの無理だから対策しないということでは 日本は滅びてしまいます。(技術的にはいくらでも可能なのですから 対策をいくらでもうって少しでもリスクを下げるべきなのです。 そういう科学的態度がとれないのであれば そもそも原子力などというあぶないものは 扱うべきではないのです。 (ちなみに来月からBSE検査がなくなるという報道がされています。 以前述べたように打ちきるどころか全世界的に全頭検査を行って BSE病原体の増殖を止めねばならないのですが、 逆に全世界的に緩めています。 現在の日本でも5%以下の確率では存在する 可能性があります。そして全頭検査をやめると今後年々その確率は増えていきます。 (TPPをやるなら日本の生産物の品質を向上させるのが 国力をあげようとする国のやりかたです。それを わざわざ品質を下げようとするのですから どうして海外に輸出できると思うのでしょうか。 (なぜ生産者は反対しないのでしょうか。) むしろ全頭検査を継続して日本が一番安全だということを アピールすべきなのです。そしてそれをしないということは それでは困ると考えている国があるということで すなわちBSE問題が収束していないことがわかってしまうと 困るということなのでしょう。そういう国の圧力に負けて しまうのでは、TPPをやる意味がありませんそして、その国にも全人類にとっても 最悪の結末しかまっていません。そういう圧力があるのならば なおさら全頭検査をやめるべきではないのです。 むしろ同調してやる国をどんどん増やすべきなのです。 それが人類社会全体の幸福を考える国のとるべき立場です。) そうなると人類の知能程度は低下しますから 原子力のような危ないものは扱えなくなります。 まるで原子力事故をおこして日本や世界を滅亡させるように 政策決定がなされています。おそらく100年200年といった長期的 視野にたって政策決定をしていないためでしょう。 明治のときは砲撃されるからとして 東海道線に軍は反対しました。そういう感覚こそが ただしい安全保障感覚です。 ご丁寧にも日本中の主要都市を壊滅できる位置に原子炉を配置していて 世界中のどの国でも戦闘機程度の火力や機動力があれば 日本を壊滅させられる情況になっています。いったいだれが発案したのでしょうかそして 安全保障会議はいったいなにをしていたのでしょうか。 今からでも全原子炉を廃炉にして防衛力を高めるべきでしょう。 それまではすべての原子炉と放射能廃棄物保管施設に ミサイル防衛部隊を配備して 隕石や飛行機が飛来したり 日本に害意のある組織がミサイルのようなものをうってきて 熱や猛毒や放射能などで人間がちかづけないような情況になるのを防ぐべきです。 (なにしろ最近の福島原子炉の火災でも人が配線をしなおして対処しているのです。 近づけなくなったらおそらく311よりさらに激しい事故となることでしょう。) 当然その料金は電力会社が原子力発電のコストとして負担して、一時的に 国から資金を借りるにしても最終的には利益からかえすべきです。 このように原子力のコストは本当は高いのです。) )

また、この判決文では なぜか政府事故調査委員会の 事故報告書しか採用せず、他の国会事故調査委員会などの報告書は無視して 地震でこわれなかったと裁判官がかってに判断してしまっています。 どの報告書もさらに調査が必要としているにもかかわらずです。 文系の方に忠告したいのは 今後前提条件のXXについてより検討が必要だというような報告書が あったら、結論がどうであれその結論を利用して政策決定には 使うことはできないということです。 なぜならさらに検討したら結論が真逆になることはよくあるからです。 (法律家が詳しい3段論法でいえば前提は第一段にあたります。 第一段が変わってしまったら当然3段めの結論もかわってしまうのは当然です。) つまりそういう報告書は政策的にはなにもいっていないに等しいのです。 ところが原子力問題でも被曝問題でもBSE問題でもそういう怪しげな文書を 根拠に政策が決められています。 この習慣をやめないと日本はいつまでたっても立ち直れないことでしょう。 実際、今回の事故では地震で原子炉はこわれなかったとすると 地下水はどこから入ってきたのかという話になります。 そうなると、炉心がコンクリートを突き抜けたと考えざるをえません。 そうなると地下水の汚染を食い止めるために 日本中のゼネコンを結集して海側に堤防をつくるべきでしょう。 (実際最近の報道では地下水濃度が上がっていて 上記の場合もありうるとして 緊急工事をただちに行わねば 太平洋側の漁業はさらに壊滅的な被害をうけることでしょう。 また、地下水を海に流したいとしていますが 汲み上げる位置は少し前に漏れた地下貯水槽より海側で、シュミレーションでも そのうち漏れた放射能が海にながれでることになっていますから いずれ放射能濃度が上がることでしょう。 汲み上げるのなら汚染水が漏れる可能性のある 貯水槽よりも陸側から汲み上げるべきです。 それでも広範囲に放射能がまき散らされているので 安全は保証できませんが。) 逆に炉心はまだ大丈夫なら 地震で地下室が壊れて地下水が流入してきたことになります。 これはこれで一大事で地震だけで(津波がこなくても) 地下水が流入してきて原子炉が止まる可能性を示唆しています。 ですから地下水位が地下構造物よりも低くなければ ならないという規則が必要になってくるはずですが、 地下水の水位に言及した規制文書をみていませんから おそらく想定外になっているのでしょう。 このように論理的に考えるとどちらにころんでも危険な情況なのに それを認識していない想像力や論理推定能力の欠如こそ 日本人が原子炉を動かす能力がないことを露呈しているので 本来なら裁判所が即時全炉廃炉を命じるべきなのです。

またこの判決文では ストレステストをやっていることも 安全の根拠のひとつとしていますが、 肝心の二次テストがいっさい行われていません。 二次テストは複合災害時の影響を見積もるもので それで安全が確認されないと 2つの災害が同時におきただけで 福島のようになる可能性があるということを意味しています。 つまり二次テスト結果がでないかぎり 安全と言う根拠はなにもないのです。 (そして、規制庁になってからどの原発もまったく二次テストをやって いないように見えます。すなわち複合災害がおきたらあきらめる という態度をすべての電力会社が示しているわけで これだけとっても即時全炉廃炉しか日本が助かる道は ないことがわかります。)

さらにこの判決文では、 規制当局が敷地内の断層を活断層だと断定していないことをもって 安全だとしています。 しかし私が議論をおったかぎりでは 断層の可能性は高いですし かりに崩れたあとだとしてもそこに あれば断層と同じ動きをする 可能性は極めてたかいです。 だからこそより詳しい調査を命じているのです。 当然安全と確認されるまでは止めるべきでしょう。 賛成の人数だけで内容を考慮せずに安全と決めるなどあきらかに バイアスがかかっているように思われます。 (いったいだれが裁判官に圧力をかけたのでしょう? 電力業界なのか原子力業界なのかはわかりませんが いまだに原子力村や電力村が力を持っていることは 最近の国会の閉会騒ぎでもうかがわれます。 結局なぜか電力改革の法案が廃案となってしまいました。 その原因をつくった決議案を提案した党やそれに流された 民主党そして賛成した党はもちろんのこと 選挙区の法案のように再可決することも 他の法案のように当日採決することも(さらにいえばもっと早く採決)できたのに 採決しなかった与党もそういう電力村の影響下に あるとしかみえません。以前公務員改革の法案がでるたびに 国会が混乱して廃案になるのをみて その責任の一端をもっている民主党は本当に 公務員改革をやる気があるのかなと思っていたら 案の定政権をとっても公務員改革はほとんどすすみませんでした。 このように国会会期末の混乱は政党の本音がかいまみれるのです。 そして今回の騒動からわかることはどの党も電力業界のコントロール から抜け出ていないというところです。 ですから党は信用できないようなので 自分の地域の議員個人がその騒動のなかで どういう行動をとっていたかを調べて 少しでも自由化法案をとうそうとした人に 投票するようにするべきでしょう。 自由化されていないので 再生エネルギーの導入がおくらされて なぜか原発再稼働にむけての準備だけ進む状況になってしまっています。 再生可能エネルギーは高いとされていますが 家庭用電気料金よりは安いのです。 すなわち家庭用電気は再生エネルギーで 工業用は火力でまかなえば (火力の原料を市場価格で購入できれば) 電力は現状より高くなることはありません。 すなわち家庭用電力をすべてまかなうところまで 一気に再生エネルギーを導入することは可能なのです。 ところがそういうエネルギーを分離した計算 処理を電力会社自身が拒否しているのです。 そして電力があがるあがるとばかり主張しています。 こういうことは競争原理がはらたかないためにおきています。 そして独占しているからこそ 上記のような強力な政治力ももっているのです。 電力会社の都合で日本が滅ぼされてはかないません。)

そもそも 判決をまつまでもなく規制当局が 大飯原発を止めないことをもってしても 日本が原子力をもつ能力がない国であることが よくわかります。 ブレーキが摩擦力をもっていなければ 自転車であっても簡単に事故になります。 まして原子炉であれば日本や世界の存亡 をかけた大惨事となってしまうのは当然です。

クリエータの方はようやく平常心になったように みえるのでこういう問題がより明確にわかる 表現や作品を考案して 日本の方向を正しい方向へ向かわせる努力を すべきでではないでしょうか。 今の日本は仮想空間のゲームなどやっている場合ではないのです。 東北の実空間での復興を競うゲームなどをつくって (三国志や戦国時代の武将全員を覚えるくらいなら 東北の議員や首長や役人や企業の名前や能力を把握して どういう作戦で復興すべきか競うべきでしょう。) そういうパワーを実際の現実につぎ込むことができるようにするべきですし、 避難民や被災者にとってどういうサービスが用意されていて どういうことができるかがわかりやすくわかる 本マンガWebや映画なども必要です。 まだ福島原発からの高濃度汚染地域からの放射能物質の拡散も進んでいますし、 そもそも事故時のものも十分に除せんできていないのに、 最近では公的機関がほとんど測っていないので ホットスポットや放射能の高い食品や製品ををゲーム感覚で 探すゲームなども必要かもしれません。 (そもそも政治家や役人自身がどこにどう予算がついて どう執行されているのかを把握していないように感じます。)

では、また来月に。

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