今月の本   1303号  チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復20年の経験
チェルノブイリ・フォーラム専門家グループ「環境」(作成) 日本学術会議(翻訳)

(今回はメルマガ発行後の状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)


今回ご紹介する本は、日本人が常に読むべきものとして 選ばせていただきました。 海外では出版もしているようですが 日本学術会議が翻訳して学術会議のページから自由にダウンロード できますから日本人であれば、ダウンロードして常に 日本の現状はチェルノブイリのどの状況にあるのかを把握すべきでしょう。

ただ、注意すべきことは チェルノブイリの事故と今回は違うところもあるし まだ不明なこともいくつもあるということです。 ですから、あくまでも可能性を確認する資料として 使うべきでこう書いてあるから安全とはかぎらないという ことです。

たとえば、ストロンチウムの影響は遠距離には及ばなかったと ありますが、チェルノブイリ原発は固形のコンクリートなどで 固めましたが、福島では露天で水で冷やし続けていますから 水に溶けるストロンチウムが大気に放出されつづけていても 不思議はありません。さらに炉内部の水が海に流れ出して いましたから、海水への影響も相当あっても不思議はありません。 (最近でも海への放出はまだ続いているという推定が 研究者から発表されているようです。) にもかかわらず日本ではストロンチウムのベータ線をはかる検査が ほとんどなされていません。(この本を読むとチェルノブイリのときに ベータ線のエネルギースペクトルを測れる測定器を使ってベータ線を放射する 元素を特定することもやっているようです。日本ではそのような機器の存在すら 聞きません。) これでは安心して太平洋の魚介類など食べれるはずがありません。 (実際店ででてくる刺身などを携帯型のベータ線を測定できるGM管式の測定器 ではかるとたまに他の食材より多くでることがあります。 政府が検査体制をとっていないのですから流通業者やお店にはまったく責任は ありません。しかし安全に生き抜くためには、 とりあえず日本人は測定器を常時携帯しなければならない世の中になっています。 携帯型では基準を超えているかは難しいですし、 GM管のものでベータ線やガンマ線の切分けも大変ですが とりあえず他のものより多いか少ないかはわかります。 そして多いものは念の為避けることが必要です。 国の規制値もα線β線で測れるGM管を使った測定器で CPMがいくつ以下というように決めるべきです。 エネルギー源の元素や放射線を分離するのは難しいのですが、 人間への影響はまとめて受けるので 全体としてGM管内のどのくらいの原子を脱離できたかに比例します。 自然界の放射能があるからということでセシウムだけを測定しようとして 測定が難しくなっていますが、一度被爆したら 自然放射能であっても減らして放射能を生涯にうける積算値を 減らすようにすることも被爆の影響を少なくするために必要な行動です。 ですから国民の安全を守るための規制値として問題がありません。 実際ガンを防ぐために野菜をとりましょうとよくいわれますが 肉より野菜の方が自然界の放射能を含んでいないので、 まさに自然放射線を避ける行動であり、そういう行動を (自分たちは気がついていないかもしれませんが)厚生省などもよびかけているのです。 規制値が正確でなくなる問題よりも、 上記下記のようにアルファ線やベータ線の元素がほとんど調べられていない危険の方が大きいのです。)

もっともこの本には長期的にはα線をだすプルトニウムとアメリシウムが 問題となるとはっきりでているのに α線の測定できる機器はほとんどない上に それを理由にしてかα線の測定がほとんどされていません。 対策される方はこの本すら読んでいないのでしょう。 プルトニウムなどは肺に入ると危険なので 風が強いときはマスクをするように 気象庁が呼びかけるべきなのですが まったくされていません。 風が強い日には各地の空間線量が上がっていることからも 風が強いときやスライディングなど土煙が上がる競技をやる場合は 危険であることが推測されます。 PM2.5だけでなく放射能についても国が危険を国民に知らせて マスクなどで対応するように呼びかけるべきでしょう。

また、この本は環境グループがまとめたものなので 健康への影響についてはほとんど述べられていません。 放射能摂取の規制値なども天下り的に述べられている だけです。

私としてはこういう現状を認識していただいた上で311後に述べたような その認識では甘いですよということを議論したいのですが、 多くの方はこのようなチェルノブイリにおける認識すら 認識されていないので大問題です。 放射能の害は最近わかってきた印刷所での健康被害でも わかるように数年以上たってわかってくるものです。 現在はやりすぎなぐらい対策して10年くらいたって 問題ないようなら少しずつ緩和させるというのが 正しい放射能対策です。

現状の不明確な科学でわかっていることだけ対策していたら とんでもない被害があとからでききても不思議はありません。

では、また来月に。

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