今月の本    1205号 科学 第81巻 第12号 特集ー核と原発
(今回はメルマガ発行後の状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)


今回ご紹介するのも雑誌です。 というのも原発事故について詳しい 分析がのっているためです。

最近再稼働の声が高いのですが、 今の状況で再稼働することは 堤防をつくらずに そのまま動かした福島の教訓を なにも学んでいないということになります。 安全を確保したうえでといいながら 肝心な対策はすべて後回しとなっています。 福島原発と同じ15mの津波がきたら 同じことになりますし、 柏崎原発のときの地震振動がきても 壊れるというのが 一次テストの結果です。 しかも実際にはそれ以上の被害があっても 不思議はないのです。 実際今回の震災では 40m以上の津波が観測されています。 過去の原子炉での観測結果のみを たよりとするのはおかしいです。 それがわかっているのか 一生懸命活断層の位置を特定して 原発に対する被害想定を減らそうとしていますが、 活断層とは最近に動いた断層というだけで 古い断層でも長周期の振動モードがあって 何百万年億年ごとに動いても不思議は ないのです。 すべての断層が動く可能性があるとして 対処しないとまた想定外の災害がおきて 事故になってしまうことでしょう。

にもかかわらず橋本さんまで 短期間ならというようなことを おっしゃっています。 しかし、地震がおきやすいのは 9月や2月など温度のピークのところです。 事故がおきやすい時期だけ動かすのは 結局安全よりも経済性を優先する判断が なされたようです。 やはり日本人には原子力技術を扱う能力がない のでしょう。 そして、それを咎めない海外の方も同様で (4号炉については声が上がっているようなのに なぜでしょう。同様に危険な情況にあるのです。 ちなみに大臣と報道陣が見学しましたが、 もっと東電に対してつっこむべきです。 問題の燃料プールがどのように 補強されたたかの映像もないようです。 そして、プールもなぜか白い布で被われていて なにもわかりませんでした。 きちんと補強されているかと ちゃんと燃料棒がプールにおさまっているか は最低限確認すべき重要事項です。 第三者が確認することで だいぶ安心感が増すことでしょう。 そもそも本当に水素爆発なのかの検証 も十分にはされていないのです。 ひとつひとつ事実を第三者が確認することは 重要なことです。 なにしろ報道によれば、事故前の検査では 何も知らない検査官に平気で嘘をついていた ようです。同じめにあってないとはいえません。 ブラタモリでつかっているカメラ程度のものがあれば 十分可能だったはずです。 ) 人類は原子力を扱う能力がないのでしょう。 国内のみならず海外の原子炉も即刻廃炉しないと 大変なことになるでしょう。

せめてこの雑誌のような詳しいレベルで 事故対応や事故対策を行ってもらわないと たとえ止めていても燃料棒が なんども爆発することでしょう。 (今度事故がおきたら 最低でも日本はおわりです。 何割かの確率でそうなってもかまわない というような政策がとられようとしている のが恐ろしいです。)

この雑誌の記事を読んで思ったのは 言語の定義にすらごまかしがある ということです。 よく原子炉に制御棒が入ると 原子炉が停止したといいますが それこそがごまかしです。 新幹線でいえばブレーキを かけた状態にすぎません。 実際に新幹線が止まるのは 4kmも先です。だから新幹線は 急停止するような事故がおきないように 線路などが設計されています。 原子炉の場合はそれが何万年もかかるのです。 (新幹線で言うとモーターがとまるまで何万年もかかるという感じになります。) 停止したとはいえません。 よく聞く冷温停止という定義も 新幹線で例えれば、機関車が反対方向に 引っ張って新幹線を止めているにすぎないのです。 なんらかの故障で機関車が止まってしまったら 新幹線はまた動いていってしまいます。 (これがメルトダウンです。) ですからマスコミもシャットダウンや緊急停止などという さも安全そうな言葉は他の言葉にかえて 原子炉は一旦動かしたら 何万年も注意しないと危険だということが 直感できるようにするべきです。 (この中の記事でおどろいたのは 緊急停止装置が動いたら 人が圧力をコントロールしなければ ならないというような設計になっていることです。 それでは火事や毒ガスや放射能などで 人が動けなかったらどうするのでしょうか。 緊急冷却装置のような緊急時のものは 一旦動いたらあとは人間がほっといても かってに動くようでないと役にはたちません。 こういう設計ノウハウが国内海外とわず 報道されてこなかったことこそが 大問題です。 今後はオープンソフトのように 公開して万人の監視下におかないと とても安全を維持できないことでしょう。 そしてそれができないなら さっさと廃炉すべきです。 (当然廃炉作業も公開しなければなりませんが。)

こういう危険性をだれも指摘していないのは 恐ろしいことです。原子力は現代のバベルの塔 のようなきがします。

(さらについでにいうと会計や経営の専門家にも もっと報道や他の分野のひとがつっこん でほしいものです。 報道をみていると 今回の再稼働を後押ししている 原動力は電力会社のバランスシート を劣化させて債務超過にしたくない という経営陣と融資元の 思いであるように思われます。 (それにしてもそのような勢力はいまだに各方面に強い影響力があるように思われてしかたありません。 以前も原発反対の町長を害しようとしたということがあったという報道もありましたが、 もし以下のようなことをしているなら そのリソースを原発事故の原因究明と安全対策にむけたらどれだけ安全になることでしょう。 最近JASRACの一括徴収の方式が無罪という判断が公取委でなされたそうですが、 原発に反対しているJASRAC以外の仕組みを推進してきた坂本龍一氏へのいやがらせではと邪推してしまいます。 時期的なものもありますし、記事をみてもある放送局ではあきらかに影響があったようなのに 他の放送局では問題がなかったからというのはおかしなことです。一つの放送局でも問題がでたら そうならないようにするのが公取委の役割です。そうしないと競争の公平性が 保てないはずです。 また以前ものべましたが、正確度の高い情報をだしている番組ほど いつのまにかなくなったり内容がかわっていたりします。 (放送局は政府ではなく独立の委員会で管理すべきですし 資本制限をさらに厳しくするとと同様に広告料などもひとつのところから 数%以下しかうけつけないというようにしないと 日本の言論は成り立たない、ひいては民主主義は成り立たない ように思われます。) さらに事故後、新聞の訃報欄に東電を厳しく追求してりして より正確な情報をあつめたりひろめたり発言されたりしている方の 名前を数名見ました。単純に本当に病気ならよいのですが、 以前ものべたように日本では環境問題に熱心な方ほど 早死にする傾向がみられると感じています。以前ものべましたが 何らかの仕事人のような闇の組織が日本で活動していないと安心 するためにも、毎年の健康診断で血液を保存して、死後はかならず 病理解剖して毒殺のようなことがおきてないか調べるようにすべきです。 そうなれば、逆に疑いをかけられた方も疑いが晴れることになりますから、 企業も個人も反対することはないと思うのですが、実際にはAI導入すら 大変なようで不思議です。) なんでも原発設備を 動かして資産にしないと負債になってしまう ということに問題意識をもっているようです。 しかしそれはバランスシートの役割を誤解した考え方です。 バランスシートは資金の貸し手が資金を貸しても大丈夫な 資産をもっているかを確認することが目的です。 ですからバブルのときに盛んにバランスシート ぎりぎりまで借りるように金融機関が営業をかけましたが その後景気が悪くなることで、本来必要な資産をとられる 人が続出しました。借りる余裕があるからといって 借りる必要はないのです。 同時にもう借りてしまっているのなら バランスシートが債務超過になっていても 問題ありません。あくまでも貸すときの目安なのです。 (昔は資産はあまり変化しないので 資産に対する負債の量で貸し出せるかの評価をしていたのですが、 最近は資産自体も景気に応じて大きく変動するので 金融機関にとってもあまり役に立たない基準になっています。 なにしろ普通に経営していても バブル崩壊時やリーマンショックのときのように突然債務超過になるのです。 現金ですら為替変動やインフレでどうなるかわからないというのが 現在の状況です。普通の企業であればむしろキャッシュフローの方が よっぽど安定しています。貸し出す基準もそろそろ 利子や負債を返せる利益が上がるかどうかで判断するように すべきです。そうしないと、優良企業が事業がいきずまったわけでもないのに なんらかの資産変動で倒産してしまいまし、 それをねらってファンドなどが資産価格の乱高下をおこすので 経済が安定しません。) 債務超過となっていても借りられているのなら問題ないのです。 つまり国や原子力賠償機構が融資を続けているかぎり 会社は存続できます。 会社の存続可能性は、負債+利息をきちんと返済できるだけの 利益があるかどうかで判断すべきなのです。 (逆に日本の国家予算は返済する収入がなくて時間とともに 負債が増えていますから持続不可能な状況にあります。) 電力会社は今後とも利益はだせますから あとはその利益で原子炉関連費用を返済していけば よいのです。核燃料処理は数万年必要ですから 相当長期間かけて返済してもよいはずです。 つまり、原子炉が大事故をおこして 他の原発も同様な欠点があることが分かった以上、 そのような原発をつくった経営陣には大きな責任があります。 当然すべてを負債に計上して、経営責任をとるべきなのです。 経営責任を明確化しないために 不完全な原子炉をむりやり動かそうとしていることこそ大問題です。 今回そのようなことが認められたら経営者により安全にするという インセンティブが働かなくなるので 再度にたような事故はおきることでしょう。 私には経営者がそういう責任をとらないために バランスシートのことをいって さも動かさねばならないような雰囲気をつくっているように思われます。 もっと、会計担当や経営者にマスコミや他の人がつっこむ べきなのです。 (ただ、このような間違いは日本の倒産事例でよくみうけられます。 会計担当や官庁の認識が上記のような金融機関の視点となっていて 不必要な倒産が多かったり逆に清算すべき会社が 長生きしたりしています。 (たとえば山一のような証券会社は 自社の株価が0になっても顧客の資産で株をかっているだけなので 銀行と違いとりつけ騒ぎはおきえません。 使い込んでいないかぎりはあのように無理やり倒産させることはなかったのです。) 借りて側にたった金融会計理論とエコノミストをつくる必要が あるのではないでしょうか。) このような会計知識の不足から不完全な原発が再稼働されて 事故がおきて日本が滅びたら後世の人はわれわれのことを何ということでしょう。 ハイテクを動かすにはアリストテレスのような広い統合された知識が必要なのに、 今は専門分野で知識が分断されていて伝言ゲームのような意志の疎通が不完全な状況です。  その状況にきがつかすに平気で危険なシステムをうごかしています。恐ろしいことです。

人類には(特に日本人には)こんな複雑なシステムを運用する能力は ないというのが今回の再稼働騒ぎで証明された事だと思います。 ) ) )

では、また来月に。

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