今回ご紹介する本は、 ハード宇宙SFです。 本当は別の本を紹介しようと思っていたのですが、 あとがきを読んで作者の志に感銘して選びました。 なぜなら、ハードとついているように、少々とっつきにくいですし、 どうせなら量子論相対論宇宙論を知っていていた方がおもしろい という、敷居の高い本なのです。
ただ、さすが谷さんだけあって、 その宇宙感と壮大感は本当に体験しているように感じてさすがです。 たいがい最初はなんの話かわからない というところから始まりますので、 あとがきは後から読んだほうがよいでしょう。
こういう硬質感のある宇宙SFも好きなのですが、 最近なかなかみあたりません。 そう思っていたら、後書きでこの短篇集をつくるのに いかに(20年前でも)苦労したかを読んで、いつの世でも こういう小説を書くこと自体大変であることがわかり、 こういう作品を応援したくなり、今回御紹介しました。 ぜひ、本編を読んだ後であとがきを読んでみてください。
こういう科学的な知識があるほどおもしろい という本を読むのに、文系の方にその知識を 仕入れる適当な手段をご紹介できないのが いつも残念です。 一番のおすすめは何度か紹介している 虚数の情緒で、これが私のしるかぎり 一番の早道で、これのあとに 学部生向けの入門書などを読めば この本を楽しむのに十分な知識を 得ることができることでしょう。 それでもお手軽にたどりつけるとは とてもいえません。 あまりおすすめできないのが式を使わない で説明しようとしている本です。 前にも翻訳には訳す前と訳す後の言語の文章について 極めて高いスキルが必要となるということを 述べましたが、それと同じことが理工系の式を 使わない本にも言えるのです。結局数学という言語を 日本語という言語に翻訳するのと同じなので、 当然数学にもまた日本語の表現にも高いスキルが 要求されます。理工学者の何人の方が 読者が食べたことのない味を的確に表現できる でしょうか。読者が経験してないことを的確に 表現することは、本職の文学者でもできる人は 少ないように思われます。そういうスキルが要求されますから うまくいっている本にほとんどあたりません。 (ファインマンさんの電磁量子力学の本くらいでしょうか。) ですから、式を理解することの方が早いというのが現時点での私の結論です。 (ちなみに、この小説群に膨大な注を入れて式を含めて解説すると、 この本は量子論相対論宇宙論のよい参考書となるように思われます。 どなたか腕に自身のある方は挑んでみてはどうでしょうか。 そういう本がでてくると楽しみながら知識も えることができるようになるなるのではないでしょうか?) ぜひこういう本を楽しむためにも理学の知識も増やすことに 挑戦してみてください。そういう方が増えると こういう小説も出しやすくなるのではないでしょうか?
では、また来月に。
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では、また来月に。
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