今月の本   1002号 歴史を推理する 邦光史郎


今回ご紹介する本は、歴史に関するエッセイです。

最近歴史好きの方が増えてうれしいのですが、 そういう方の多くはゲームや小説から入られる ようで、まずは歴史上の人物に惹かれてとい う方が多いようです。

もちろん、そういう楽しみ方も歴史を楽しむ 王道ではあるのですが、歴史を楽しむ別の 道もあります。それが、謎解きとして歴史を 楽しむという楽しみ方です。

この本はまさに、そういう楽しみ方の入門書 となっています。特に昔ながらの 教科書的な歴史しかしらない方にお勧めです。

大抵の方は歴史は試験のための暗記ものという感じで、 歴史というものが出来上がっていて、 その干からびた事実の束を上から教わるのが歴史だと考えているものです。

しかし、現実には、そのような確実な事実などそうそう ありません。最近でも裁判での誤審が問題になりました。 我々はすべての記録をとっているわけではありません。 ですから当然ほとんどの情報には不確かさがあります。 まして、昔のことを扱う歴史の事実は不明確なことばかり なわけです。そこで、それらの情報を取捨選択して 事実を推理するという楽しみが生まれてくるわけです。 ちょうど推理小説の楽しみかたと同じです。 情報の評価をちょっとかえるだけで 歴史的事実が大きく変化してきます。 不確定な情報が多いほど、それがうまく組みあがった ときの快感は大きいものです。 そして、その推論の正確性を少しでも増す ために、心理学や社会学から工学や天文学まで動員して その正確性を競っている競技であるというのが、 歴史学のもう一面なのです。 放映されていたカーリングと似たものを感じました。 カーリングでは、氷の状況が刻一刻と変化する環境で、 なるべく高い確率で自分のチームに得点するように 石をコントロールします。そして、どちらのチーム がより確実に石をコントロールできたかで、 ゲームの結果が劇的に変わってきます。 歴史でも、情報をの評価が変わるような発見が あるたびに結論が劇的に変わるわけです。 例えば、この本にもかかれていますが(私も何度か述べましたが)、 聖徳太子の問題があります。あれほどの有名人なのに 調べるほど怪しい点がでてきます。 その結果現在の多くの教科書では、小さくしか 取り上げられていないようになっています。 これも小さな情報を丹念に掘り起こして 組み上げた方々の努力によるものです。 実は、調べるほど奈良時代以前では 文献と史料が一致しないのです。 そのため、歴史推理好きには より楽しい時代となっています。

さて、このような歴史推理の手法は メディアリテラシーにも有効ですので、 この本を読んで歴史の推理の仕方を 訓練してみてはどうでしょう。

なにしろ、現代の情報でも不確かなものばかりなのです。 (ですから、海外ではディベートといって 2つの正反対の意見をどちらからも弁護できるような 訓練をおこなっています。これも現実社会の情報に不正確性が 伴うことによりできる芸当です。一般の数学の世界では このようなことは特殊な条件下でなければできません。) (もっともなるべくいろいろな情報の正確性を増す努力も必要です。 以前にも述べましたがみなさん個人個人が日記やブログなどをつけて 出版して国会図書館に納品して、死後も情報が保存されるようにしましょう。 [残念ながらDVDやtapeやHDDの情報を中性紙より長く保存する技術や サービスがないのです。]) より正しい情報を取捨選択することは、 現代社会を生き抜くのに必須の技術です。歴史推理に興味を持って ぜひみなさんが独自の方法を編み出してください。 例えば私の方法はなるべく多くのより正確な情報源が あるものほど確度が高いというものです。 たとえば、歴史学上で大問題となった旧石器 の捏造事件も、常に同じ人が発掘しているのです。当然、 複数の情報がその事実を指示しているということに なりません。ですから、もともと確度は低かったということになるのです。 (本来歴史の教科書はそのような確度まで 記述して書いてあればあれほどの混乱はなかったでしょう。 なにもそのようなことを書かずに書いたがために それが絶対的な事実として世間に広まってしまったわけです。 そして、その程度の確度の低い歴史的事実は山ほどありますから、 そういうことを含めて教科書をつくることにより、 歴史が現代の人々の思考に支えられているダイナミックな ものであるということがより理解できるようになり、 ファンも増えるのではないでしょうか。) 最近、検察報道が問題となりましたが、そもそも 上記のような確度を検証しながら読んでいれば、 相当確度が低い情報だと認識すべきものです。 大抵検察関係者と思われる情報源からしか 確認がとれない情報です。立花さんの田中首相にたいする記事と異なり、 なにか新しい証拠をその記者が発見したという記事ではない のです。しかも、過去数十年の逮捕から起訴前後の報道を みていると、別に政治案件にかぎらず報道で騒がれる事件ほど その時期の記事は裁判での供述と大きく異なるというのが私の印象です。 (ちなみに経験的には米国が軍事行動を始める時期のニュースも なぜか正確度が低いです。) ですから、それらの情報源の確度も私は低く判断しています。 (そして、こういうやり方が過去の経験では比較的正しいのが困ったことです。 確度の低いニュースがでるたびにいちいち時系列で確度とともに記憶して それらと照らし合わせて新しいニュースを見たり 読んだりしなければならず、大変です。 もう少し報道の確度を上げて欲しいものです。) 実際には、どうなのかは今後裁判であきらかになることでしょう。 ですから、メディアの記者の方も、どうせ裁判に なればわかるようなどういう供述をしているかみたい な事実を手に入れるために一生懸命になるのではなく、 本来裁判すべき事件がそうでなくなったとか、 裁判で明らかにされなかった事実とか、 そういう時間がたってもわからない情報をとることに リソースを集中してほしいものです。 最近他社のそういうスクープはスルーされるか 報道してもスクープした社名を書かないようなのが 問題です。聖火の点火方法とかのどうせ時間が 立てばわかる情報など抜かれてもどうでも よいのです。もっと、国民に利する競争を 各社で行っていただきたいものです。 なにしろ、報道は民主主義の根幹なのです。 去年の行政刷新会議のすべての論点を 紹介するだけで数年間の紙面や放送時間が埋まるはずです。 ですが、7時のニュースまで、ここ数年間 予算シーズンになると上記の意味で確度が低く 必要性のない(本来なら週刊誌が扱うような)情報であふれています。 あまりに最近のマスコミは官僚の方々に 利用されすぎているのではないでしょうか。

関連リンク:http://yokutoku.y.ribbon.to/mm107.html

では、また来月に。






             
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