「そろそろお年頃だしよ。俺って男じゃないか?もっと意識してくんねーの?」   



甘党な彼、彼女の悪戯(はちみつ編)

































































俺と同じ彼女の金色の髪は日光によってより光沢を増す。 なんで同色なのにこんなにも彼女の髪を美しいと思ったんだろう。


は今年で13歳になる女の子で、昔俺の家の隣りに住んでいた。 彼女は幼い頃に病気で父親を亡くし、母親と二人暮しをしている。その母親は今仕事に出ていて、 この家はと俺の二人だけだった。






「なーあ、。本ばっか読んでないで俺の相手しろよー」
「やーよ。今この本が最優先なのー」
「ちぇ。あー暇」






二人っきりだというのに、何なんだこの緊張感のなさは。 少しぐらい相手してくれてもいいじゃないか。変な意味じゃなく。
さっきの俺の言葉に例えば裏があるとしてもこの鈍感で子供なにはわかりゃしねぇ。 純粋なのは良い事だけど少し寂しい。やっぱは俺の事を男として認識していないのだろうか。






「なぁ、、俺の相手しよーや」
「きゃ、くすぐったいよ」






耳の裏辺りの髪の毛を触ると、普通に手で払われた。 だけど、なんだか面白くて、また繰り返す。段々のってきて、互いに床に転がって擽りあった。 すると俺の胴体の上にが馬乗りになって横腹を集中的に擽られた。 笑い声が家に響く。






「ちょ、お前っ、くすぐったいっつの…!反撃ぃ!!」
「…ひ、やっ!」
「うりゃっ、どうだ!」






は顔を真っ赤にさせて大声で笑う。逆に俺が馬乗りになってさっきやられた横腹を 集中的に擽る。近づく顔にいつもならドキドキしてるんだろうけど、この時ばかりは違った。






「き、きっつ…。のせいだかんな!俺は悪くない」
「あー、もう。くすぐったかったー。死ぬかと思ったよ」






擽るのをやめると、距離が近い彼女に反応してこの心臓が早鐘を打つ。 俺はこの鼓動がに聞こえないんじゃないかと思うほど、それは響いていた。

ふいに黙り込んだ俺を見て、は不思議そうな表情で顔を覗き込んだ。 すると空気を読んだは気まずそうな 表情になった。
彼女の頬の熱は冷え、先刻の盛り上がった空気はどんどん下がっていき、 変な方向へと進む。






「あ、ごめ…、乗っかったままだったな…」
「あ、ああ、うん、そだね」






俺はいつになったら心臓が早鐘を打たずに、 平常心を保ったまま彼女とこうゆう状況になれるのだろうか。 自分との距離が縮まった彼女に、鼓動は早くなっていく。

長い沈黙が続いた。こうゆうのに慣れていないからどう言葉を交わせばいいのかが いまいちよく分からない。
こうゆう時にさり気なく、告白でもするのだろうか。いいや、俺には到底無理だ。 さり気なくだなんて、まるで大佐だ。

いや、俺は確かに彼女と好き合う関係になりたいけど、 それが全てだとは思わない。
だから、ずっとこうやって傍に居たんだ俺は。






「…?」






寝てる?
おいおいおい、なんて早さで夢の中に居るんだよ。 は気持ちよさそうな寝息をたてていた。
あーあ、また俺は一人かってんだ。
二人で居る時くらいは何か話してくれてもいいじゃないか。


俺と同じの金色の髪。それはまるでパンの上に付けるはちみつのように 透き通っていて、今にも壊れそうなくらいの儚い美しさ。
日光を反射させて、存在を俺の目に焼き付ける。






「あーあ、暇だ。…俺も寝るかなぁ」






ふわりと香る彼女の匂い。
彼女の頬に口付けするとほのかに香る。 それははちみつのように甘いものではなく、さわやかな花の香だった。


そして俺は、の隣りで夢の中に行った。
















「……エドの馬鹿」





はちみつ色の髪を持った彼女が、頬を赤に染めてそう呟いたのを、
夢の中の当の本人は知らない。



























050320*はちみつ編,終幕
寝たふりだなんて、やるな。(もはや甘党なんて関係ない。)

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