嘘つき。嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つきだけど愛してる。嘘つき。





fibber






「エンヴィー、次はいつ来るの?」





彼は、はぁ、と溜息をついて私を見た。 寝ていた私を起こさずに出て行こうとしていたのだろうけど、 玄関の彼を引きとめた。 瞳からは私を見下したようなものが見てとれた。彼はいつもこんな瞳で私を見る。 今はもうそれにも慣れた。



「明後日、また来るよ」





嘘つきな彼の言う明後日は一週間後という意味を持つ。 彼はどういうつもりでそんな言葉を言っているのだろうか。 「わかった」と答える私は捨てられるのを恐れ、彼の嘘を信じたふりをする。 馬鹿だ。捨てられると言っても最初から何も始まってはないのに。 ただ私が彼に依存してるだけの話。



「ねぇ、エンヴィー、」
「僕急いでるんだ。話は今度にしてくれない?」
「愛してる?」
「…、誰を」
「私を」





エンヴィーにとって人間とはどういう存在なのだろう。 そして私はどういう風に彼の中に存在しているのだろう。 彼は酷く面倒といった表情をして盛大に溜息をついた。そして私を見る目はいつもの目。 いつになったら進展があるのだろう。 いつになったら、私を酷く欲するのだろうか。



「そんなの今聞かなくてもいいじゃないか今度ゆっくり、」
「嫌い?」
「誰もそんな事言ってないだろ」
「じゃあ何、愛してる?」





ほらその顔。あなた少し苛々し始めている。何度も何度も溜息ばかりしなくていいじゃない。 単純に答えてくれればいいのに何でそんな顔するの。


ちゃんは僕を愛してるんだ?」




彼の口元が歪む理由がわからない。何で今更になってこんな事を彼は言っているの。 私の気持ちを分かっていたんでしょう。だからいつもあんな嘘をついて出て行っていたんでしょう。 何で私にそんな事を言わせるの。そんな目で見ないでよ。息が詰るの。 胃が痛むの。身体が震えるの。



「…何で、すぐに愛してるって言ってくれないの?」




また、彼は酷く面倒くさそうな顔をした。 彼はこういう女が嫌いだ。知っている。私だってそんな女好きじゃない。 言ってみるのは容易な事で、実際女とはみんなそういうモノなのだと私は思う。



「勿論、好きだよちゃんの事」




そう言って彼はいとも簡単に私を抱きしめた。 電子コードのような私の複雑な心とは裏腹に、ためらいも無く簡単に。 抱きしめられた身体は順応し、彼の背中に腕を回した。 馬鹿だ。私は馬鹿だ。彼の嘘はとても分かりやすい。



「しょうがないから、愛してあげる」





それも嘘なんでしょ?何でキスなんてしたの。 私がエンヴィーの背中に涙したのは嬉しいからじゃない。 エンヴィーのついた嘘が果てしなく残酷なものだったから。 何でキスなんてしたの。何で気があるフリなんてしたの。
期待してしまうじゃない。




















0403・終幕)騙されている、と分かっていても。

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