ほっとらいん

 
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 16和音で「きよしこの夜」が響いた。
 「急に御免ね。時間、良いかしら?」
 「何よ、改まって」
 「和人と直哉君の事なんだけど」
 「ああ、あの二人?」
 「その口調…さては判ってたわね?」
 「そりゃね。一応親ですもの」
 余裕と、ほんの少し名状しがたい感情の混じった声が返る。
 「ああいうのは、自分でもどうしようもないのよね。悩むのは自分自身なんだけど」
 「一つ良いかしら?」
 「なに?」
 「若すぎない?」
 一瞬の間の後に双方の通話口から聞こえる笑いに噎せた声。
 「……悩むポイントがずれてるわね、相変わらず」
 「ずらしてるのよ。まさか自分の息子を萌えの素材には出来ないでしょ?」
 「無理かもね」
 「あたしは見守るわ。貴女どうするの?」
 「私も見守り。一応本人に思う所あるみたいだし」
 「安心してね。恋愛に寄生する様な真似だけはさせないから」
 「こっちも雄々しく育てとくわ」
 「じゃ、又普通にね」
 「ええ、また」

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 今日、母さんに強請ってケータイを買った。
 無駄遣いの嫌いな母さんの事だから
 『あんたにはまだ早いわよ』って言って無視されるかと思ったけど、
 いざ強請ってみると意外な展開だった。
 「ケータイにはお金がかかるって判って言ってるのね?」
 「うん」
 「じゃ、良いわ」
 「良いの?!」
 「条件が2つあるけど、それでも良いわね?」
 「あ、お小遣いカット?」
 うーん、背に腹は変えられない、かな?
 「ダウンで良いわ。月3000円から1500円電話代、で良いわね?」
 「そんなに安いの?」
 「安いから条件その2があるのよ。
  条件その2、携帯電話の会社はあたし達と同じ所にする事。家族割引効くしね」
 「端末は選べるの?」
 「あんまりごてごてしたのは駄目よ」
 「やったね!」

 何で携帯電話が欲しいのか聞かれなかったのはラッキーかな?
 でも、母さんの事だからもしかしてお見通しかも。
 直哉の声、いつでも聞きたいんだもの。
 欲しいのは声だけじゃ無いけどね。
 キスから先のやり方は母さんの本棚に隠してあった本で自習済み。
 時々布団の中でマッパになって確認してるけど、
 もう一寸で出来るような感じになるかも。
 あ…カメラ付携帯ってやばいかも。
 『俺って今こんなだよ』って写真とって直哉に送っちゃいそうで、
 ワクワクも有るけど何か怖い。
 普通に一緒に居るだけで満足だったのが、
 四六時中一緒に居ないと満足できなくなっちゃってる。
 まだ中学生でさ、いーのかなーと自分でも時々思ったりして。

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 和人からおそろでケイタイ持とうと言われた時、
 一瞬嬉しいと思ってすぐに恥ずかしくなった。
 だってさ、ペアルックじゃ無い?今時ペアルックなんてバカップルしかしないよ。
 僕達バカップルじゃ無いし。
 和人の事だから、きっと好き好きメールを日に10回は送ってくるんだろうな。
 一々言わなきゃ僕の気持ちって判んないかな?

 結構冷静に思っちゃうけど、多分ちっちゃな頃から男の体の方が好きだった。
 下半身がむずむずしたきっかけも同級生のマッパを正面から見た事だったし。
 和人のマッパ姿を覚えてて色々やってる、なんてあいつは知らないんだろうな。
 口じゃ随分大人ぶってるけど、そう言う部分は多分僕の方がしっかり知ってるかも。
 母さん、なんて言うかなぁ…。

 「ケイタイ?良いわよ」
 石橋を叩きすぎて壊した気分。
 「お金かかるんだよ?」
 「家族割引にすればいいじゃ無いの。
  第一キミの支払能力なんて当てにしてないわよ」
 「さりげなく馬鹿にしてない?」
 「馬鹿でしょ?同級生の男の子好きになってるんだから」
 真正面の母さんの顔目掛けてココア噴出して、思い切りむせちゃった。
 「…っけほっ。な」
 「んで知ってるかなんて今更聞くの?親に対して」
 何で平然と顔を拭いながら言うかなぁ。
 「隠してたんだけどな」
 「キミは自分で思うほど隠し事が上手じゃ無いの。で、ケイタイどうするの?」
 「持って良いの?」
 「良いけど、いけない事は彼氏限定でおやんなさいね」
 「ねぇ。甘えついでに」
 「なぁに?」
 「ゴム一つ、頂戴?」

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 『メリークリスマス』のメールが遊びの合図。
 prrrrrrr.....
 「はい」
 「俺。今、何やってた?」
 「ベッドの中でパンツ脱いでた」
 「やーらし」
 「和人だって脱いでるでしょ?先っぽべちゃべちゃで」
 「べちゃべちゃじゃ無いって。ぬ・る・ぬ・る」
 お互いに忍び笑い。僕の母さんにばれてるのはこの際内緒にしておこう。
 「ねえ」
 「ん?」
 「来年のクリスマスは、電話じゃ嫌だ」
 「そか?俺、興奮するけど」
 やらしい俺を見られるのって、なんか気恥ずかしいし。
 「じゃ、せめて写真交換」
 「……マッパ?」
 「当然」
 「うーん」
 「生えてないのみられるのが嫌?」
 「生えてるよ、ばーか」
 「僕もちょろちょろ」
 「んじゃ、交換な」
 「うん。待ってるね」

 そして、お互いの携帯電話に残る写真。
 ゴムを装着した直哉の写真と、油性ペンをお尻から覗かせた和人の写真と。

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     ※筆者注
       *〜*の4つの段落を入れ替えて新しい部分を見つけるのも、
       又一興かと。

 見えなくて細いけど熱い糸

                      2003.12.15 葡萄瓜XQO
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