カーテンの隙間から洩れる光に目を醒ます。若さに
任せての暴走…にも程がある、か。苦笑いしながら
傍らを見ると、愛しの薫の寝顔。その無心な顔を
見ると思わず呟いてしまう。
「詐欺、だよなぁ」
そして、後から流れ出た名残の感触に、頬が
赤らんでしまう。何時も以上に欲しがってしまった。
余りにも欲望に忠実な、浅ましい姿を曝してしまった
事が恥ずかしい。
「俺も、ああなのかな…?」
戦いの日々、薫を満たしたのは雄介。戦いで疲れ
果てていたのに、無性に薫が欲しくて、強請って、
肌を重ねた。
最初は少し嫌がる素振り。それが開花して行くに
従って鮮やかな色付きを見せる。言葉ではなく
仕草の誘い。それは余りにも強烈だった。
でも、薫が与えてくれたのは情欲の満足だけでは
なかった。一抹の安堵感であり、自分が
「五代雄介」であると言う、人間としての存在感。
思えば、薫を抱きながら雄介は、薫に抱かれて
いたのだ。
そして、戦いが終ったあの夜以来。
雄介は、薫に満たして貰う事が多くなった。そして
改めて知る薫の力強さ。この美しい恋人が、
こんな荒々しい愛情表現をする事もあるのだと。
「何、人の寝顔を見ているんだ?」
「綺麗だな、と思って」
「そうか?雄介の方が…いや、いいか」
「俺の方が?続き、聞きたい、な」
赤くなってそっぽを向く耳朶をそっと噛む。ここは、
彼の弱い部分。
「や、め…雄…す…け…っ、ん…」
「言ってくれなきゃ、止めない」
前にも手を伸ばす。雄介を散々満たした雄々しさが
立ち上がってくる。片方の手で蕾を解しに掛かる。
こんな可愛い顔をされては、久し振りに欲しくなって
しまう。
そしたらいきなり形勢逆転されて、口を思い切り
吸われる。頭の芯まで廻ってしまいそうに、
強烈な口付け。それだけで息が上がってくる。
「フフ」
「…なんですかぁ、一体」
「最近の雄介は、可愛いな、と思って」
「俺?可愛い?」
「そう、可愛い。それが本来のお前なのかもな。
あの荒々しさに泣いたのが嘘みたいだ」
「負担、だった?」
「かもな。でも、結局愉しんでたし、愛しかった。
だからいいや」
俺自身に手を伸ばして、巧みに立ち上がらせる。
全身が心臓になった感じがして、何も考え
られなくなる。
「もう、いいかな?」
そのまま俺の中に…と思ったら、俺に手を添えて、
ゆっくりと腰を落としてくる。やがて、全て
呑込まれた感触。ひっくり返したTの様な俺達。
「雄介も動け、よ」
朝だと言うのに、満たし合う事に夢中の俺達。
マグカップには、また半分程度しかミルクが
入っていないらしい。