雪の中で対峙する二人を見て、違和感を感じた。
何かがおかしい。お互いの力を測って対峙している
訳では無さそうだ。それでも、奴と五代は対峙した
ままだ。
そして、俺の脳裏に響くかすかな悲鳴。
『助けて…薫…』
そして、聞き覚えのある甘い喘ぎ。
出来るかどうかは判らないが、精神感応を試みる
つもりになった。今五代…雄介を助けられるのは、
俺しかいないから。
『我慢しないで…本能に忠実になれば良いさ』
声にまで滲み出るあいつの残酷な無邪気さ。
『あなたの身体の方が正直だね。ほら、こんなに
滴って…ヒクヒクして誘ってる』
『止めろ!…其処は…』
『あの人に捧げるつもりだった?他人のものなら、
ますます欲しくなるね』
冷たい舌で開かれる蕾。違う!俺が欲しかったのは
そんなのじゃ無い!でも精神体の自由はすっかり
こいつに奪われて、俺はただ本能に翻弄されて2度
3度と吐き出していた。
『助けて…薫…』
あの人に届かないだろう心の叫び。でも、
叫ばずには居られなかった。
思わず目を瞑っていた俺の傍に懐かしい気配。
そして、あいつの倒れる気配。恐る恐る目を
開ける。
『待たせたな、雄介』
『薫…どうして…』
『来ようと思ったら来れた。それだけじゃ、不服か?』
返事の代わりにその胸に顔を埋める。そうだ。俺の
欲しかったのはこの身体だ。安堵すると同時に、
目の前に転がる奴に対する哀れみ。征服欲しかない
関係で、こいつは歪んだのか?それなら…?
『薫』
『協力、しようか?』
今までにない感覚で正気に戻った。僕の蕾に舌を
這わせているのはあの刑事。
『何を…している…ッ』
『恐怖を味あわせたいんじゃない…ただ、素直に
感じて欲しいだけだ』
僕の耳元で聞える五代の声。耳朶を舌でなぞられて、
初めての熱さが身体を走る。
そして、後から貫かれ、前を咥えられる。いつもなら
征服されたという感覚しかないのに…この甘い
感覚は、何?
…これが、愛という感覚?
そして、3人同時に弾けた。暖かな気持ちの中で。