ほーみたいと
締め付けたものがポーンと弾ける、あの瞬間が
癖になるんだよね。
物心ついた時から締め付ける衣装には憧れてい
たような気がする。具体的に言うとレオタード系。
レオタードの中身じゃなくてレオタード自体が好
きだった感じ。女子用のスク水に感心が行ったの
もその延長にしか過ぎない。だって、スク水の中
身に興味なかったもん。
強いて好きな中身を言うなら、自分と同じか一
寸上くらいのオトコがいいな、なんて思ってる。
オンナの裸は苦手だし、オヤジの体もグロくてや
だ。チョイ悪な兄貴なら良いかって?そう言う兄
貴なら競泳水着の方が似合うって。
でも、なかなか似合う奴ってのが回りにいなか
ったんで自分で着てみようかな、なんて思った訳。
そーすっと色々考えなきゃいけない事が出てきた
けどね。
プニるのは良いけどデブったら感じ悪いとか、
そのなんだハミ毛が出るのは一寸嫌かもって事で
スパッと剃ってみたりとか。毛は特に複雑な気分
だった。せっかく生えてきたんだから置いとこう
と思ってたんだけどさ、スク水と合わせるとなん
かこう美しくない。で、脇もチンも剃っちゃった。
スースーするし常に剃ってないと痒いんだけど、
その方がなんとなく綺麗だしさ。
で、着てみると見せびらかしたくなるんだな、
これが。マッパよりもスク水姿の方がやらしくて
綺麗だから。特に水に濡れた後なんかね。もうぎ
ゅっと締め付けが来てゾクッとする。
ま、いきなり人に見せるのもなんだから風呂場
の鏡や姿身の前でポーズとったりして先ずは研究。
折角見せるんだからそれなりに決めたいじゃない?
悪戯とかそう言うんじゃなくて魅せたい訳だしさ。
で、実際にポーズとってみる。
………こー言うのって、変に目立たせるんじゃ
なくてなんか可愛いってポーズの方がそそるんだ
な。自分でやってみて思った。
ブリッジしてチンの辺り目立たせるポーズやっ
てみたけどさ。俺、アレ駄目。自分でちっともウ
ヒってなんないもん。むしろ胸に手当ててチラッ
と流し目の方がぐっと来るかも。
チンとかケツとかは、チラッと見える方がいい
ね。思い切り日焼けした後にずらして見せる方が
そそるかもしんない。
そしてふっと思いつく。演出のために濡らすん
だったら、ただの水じゃない方が良いよね、と。
で、ネットで調べてみるといきなりガックリ。
ローションだけならまだしもその他も足してって
なると流石にオレの小遣いじゃ無理だ。買えても
親バレ必須。スク水は学校にそれなりのルートが
あるからなんとかなるんだけど…と、諦めかける。
そんなオレの視界の隅にある文字がひっかかる。
『昆布』?って、あの昆布だよなと思って検索詞
を変えて調べてみる。そうすると道がいきなり開
けた。
昆布を浸けた水をローション代わりにね。なる
ほどそれならごまかしも利くし安上がりだ。後調
べてみると卵の白身も良いらしい。良いね良いね。
どんどん安上がりになるしごまかし易くなるじゃ
ん。
じゃ、有り合わせの材料使って演出を一丁やっ
てみるかな。
で、今日はその決行日だったりする。
「似合ってる?」
「ばっちり!由一も似合ってるじゃん」
「そっかな?はみ出してない?」
「毛?玉?」
「ごまかせよ、一寸は」
由一の部屋の姿身の前でスク水来て並ぶ二人。
由一はオレより頭半分でかいけど、オレよりなん
かスク水が似合ってるんで悔しくなる。バランス
が良いんかなぁ。目立ち方もなんかそれなりに良
い感じでさ。
「昆布は?」
「ばっちり。卵も室温」
「さっすが!」
「後、風呂も部屋の鍵もOKね」
「パパママお出かけ中だろ?」
「不意の邪魔が来てもやだしさ」
「なるほどね」
で、更に補足しとくと風呂ってのは由一の部屋
専用の奴。体が伸ばせる風呂桶があって気持ち良
いんだよな。この部屋には専用の冷蔵庫もあるん
で色々しまって置く事も出来る。卵も昆布を浸け
た水も由一の部屋で仕込んだものだ。
あ、由一の家は金持ちだけど由一まで金持ちで
小遣いタップリって訳じゃない。むしろ由一の小
遣いってオレのより少ないのかも。だから道具を
揃えるのはあくまでオレの小遣い予算内ね。
で、由一とオレがどう言う関係かと言うと…女
装友達だったりする。
若い身空でなんて言われるかもしんない。オレ
達も他のそう言う事をやってる人達に一寸申し訳
ないかなと言う気持ちを持ってる。オレ達のやっ
てる女装と言うのは男な自分が嫌とかが理由じゃ
なくて、多分変装願望の一つに過ぎないだろうか
ら。いつも女装しようと言う覚悟、オレ達には無
いし。
そしていつからかオレが由一に対して抱えるよ
うになった秘密が一つ。
女装した由一を見ると興奮して、ケツがムズム
ズするって多分変だよね。由一の水着姿見て掘ら
れたいって考えちゃってるのはもうとっくに終わ
ってしまってるんだと思う。
「じゃ、そろそろ始めよっか」
「うん。いつも通り?」
「いつも通り」
最初は決まって抱き合ってキス。接触面積は最
大限を心がけて。お互いの興奮加減も知っておき
たいしさ。
布越しの体温が結構気持ち良い。直接感じるの
が嫌いな訳じゃない。むしろ好き。ただ、四六時
中肌を重ねてるって事に慣れてないだけ。濡れて
行くのは気にならないけどいきなり湿り気を移さ
れるのも嫌だし。
「元気じゃん」
「お互いね。篤史、乳首勃ってる?」
「判る?」
「最近こうすると判るかも」
「由一はそこまでキてない?」
「結構キてる。目立たないけど」
それじゃってんで胸を重心的に密着させて、擦
り合わせる。スク水の下で乳首が擦れて、一寸痛
いけど感じてしまう。
「ゆ…ちぃ…」
漏れる声に反応して耳たぶが噛まれる。あ、良
い。こういう時以心伝心出来てるって楽だ。欲し
い感触がすぐ貰える。
由一の手はオレの腰の前と後に。前のふくらみ
は水着ごと横にスライドされ、後は水着越しに指
を差し込まれる。布越しの感触と言うのが両方と
も又良い。
そして、不意に離れる由一の体。
「やァ…やめ」
「ないよ。用意したものを使わなくてどうする
の?」
ニイッとした由一の顔。背筋がゾクッとする。
由一、こう言うのを楽しめるようになったのか。
なら、オレがいつか抱く様になった希望も叶うか
も。
「篤史、寝なよ」
「う、うん」
由一に促されて横たわる。いつもオレの方がリ
ードしてる感じだからこう言うのは新鮮だ。こう
言う由一って格好が良いから、言う事聞けなきゃ
嘘だと思うし。
そして、横たわったオレの上にコップがかざさ
れる。昆布をつけた粘り気のある水。低価格で材
料隠滅も可能な内緒に優しい代理ローションだ。
「ベッドでやんの?」
「風呂場は後始末で良いじゃん。この方が気分
出ない?」
「出る。洗濯物も出るけど」
「あーもう、るっさい!気持ち良くなりたい?
なりたくない?」
「……良くなりたいです」
「正直でよろしい」
満面笑みの由一がオレの体の上に昆布ローショ
ンを注いでゆく。一瞬の冷たさと浸透してゆく感
触。そして、肌の上に生まれる何か滑る感触。
「スケベ」
「んだよ、いきなり」
「ローション掛かった瞬間の篤史、ものすごく
やらしい顔してた」
「うん。気持ち良かったし」
「そうなんだ」
「由一も一緒に擦ってくれたらもっと気持ち良
いかも」
「こう?」
重なる由一の体。そして緩やかに、徐々に激し
くなるグラインド。布越しプラスローションのヌ
ルヌルはさっきとは違う快感を生み出す。
「いーね、これ」
「だろ?痛くならないし」
「音もやらしい」
「ばか」
もう後は言葉も要らないとばかりにひたすら体
を擦り合わせ続ける。前を擦り合わせるだけでも
うイきそうになる。いや、イってしまった方が良
いんだろうか。
由一の表情をうかがうと、彼も迷っていた。で
も、視線が絡まった瞬間二人の気持ちは決まった。
よりいっそう激しくなるスライド。お互いを強
く抱きしめる腕。オレは由一の腰をがっちりと脚
で絡めとり、そして頭の後ろを促す様に押す。
一瞬、きょとんとする由一。でも、すぐに察し
たのかオレの口にむしゃぶりついて来た。流れ込
んでくる由一の唾と汗。オレは全部を飲み干して
由一の舌を抜き取ってしまう勢いで吸ってゆく。
由一もそれに応える様に深く深く口を重ねてくる。
そして訪れるより激しい一瞬。
オレと由一は、スク水の中で激しくイき、自前
のローションをこれでもかと言う程滴らせていた。
布越しのチン同士の熱い存在感。立ち上る匂い。
オレの中に生まれる新しい欲望。由一のチンを舐
めて吸い尽くしたいという欲望。
同じ欲望を由一も抱いたんじゃないか、と言う
のは目を見れば判る。でも由一は、予想とは違う
行動をとった。
オレのスク水の両肩をずらして、胸をあらわに
させたのだ。
どう反応すれば良いか戸惑うオレを見て再びニ
イッと笑う由一。そして、オレの胸は由一に吸わ
れた。
「あぃ…っ…はぁっ…んぅ…」
右の乳首を舌で転がされながら左の乳首をつま
まれ、撫でられ軽く押しつぶされる。ローション
で適当に滑っているのでさっき布越しに擦れたの
とは違う快感が生まれている。声を抑える必要が
ないので感じるままに声を漏らす。そうしている
自分を思い描いて更に興奮が高まる。
そして由一も胸をあらわにして今度は卵の白身
を俺の胸に広げてきた。これも良い感触だ。どろ
りとした感覚が良い。
そして、再び合わさるオレ達の胸。ローション
で滑って気持ち良いのもあるが、何よりも乳首同
士が直接擦り合わさる感覚が良い。最近大きくな
ったとはっきり判るオレの乳首と大きくなりかけ
ている由一の乳首。チン同士の擦り合わせよりも
やらしく感じるのはオレだけなんだろうか。
なんて考えている暇はないのかも。由一の口が
又オレの口に吸い付いてきた。一々邪魔臭いなん
て考えない。一々口を吸いあうから気持ち良いん
だと思う。
口を最大限重ね合わせて舌を絡め合わせて。粘
液まみれになってベッドの上に大の字になって重
なる。
「……ふぅ………」
「足りた?」
「まだ一寸欲しい」
「でも、一寸タンマ」
由一を手で制して、丸めたスク水を脚から抜き
取る。チンの辺りにはオレの出した精液が都合二
回分。ゆっくりと舐めとってゆく。自分の出した
もんだと思うと一寸まずい。でも、舐めとらなき
ゃ次で使えないから。
オレの一挙一動を見ている由一が生唾を飲む音
がしっかり聞こえる。色っぽく見えてるかな。オ
レに挿れたいと思う程に、オレに欲情してるのか
な。
そして、すっかり精液を舐め取ったオレ。標的
は由一の唇。
由一は、オレの精液つきのキスをしっかり受け
止めてくれた。舌をしっかり絡めて。
「篤史」
「ん?」
「入れられたい?」
「挿れてくれる?」
「うん、良いローションあるし」
そして由一も自分の来ていたスク水をぬいで、
オレと同じ様に精液をすっかり舐め取った。でも、
由一の標的はオレのケツ穴だった。
ねじ込まれる舌。舌に沿って注ぎ込まれる精液。
匂いと熱さで気が変になる。声を我慢してみよう
かと思ったけど、駄目。だから思い切ってあえぐ
事にする。
「気持ちいいの?」
「ゆ…ち…からぁ…」
「後で僕にもしてね?」
由一に返事が出来たかどうかは覚えていない。
由一に挿れられて、飛んでしまったから。
これでオレの秘密は消えた。由一も一つ秘密を
持ってるらしいから、シャワー浴びた後に炙り出
してやろうかな。
(了)
2007.2.10脱稿 2007.3.17up
雑誌投稿を想定して書いた話。
男の子らしさを残しつつの女装と言う感じで。
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