最初の一筆

 出来れば閉じ込めて、誰の目にも触れさせたくない。判ってる。
其れは全くぼく等の我儘。それでも思わずにはいられない。あなた
が余りに綺麗だから。

 年が明けて、本当に最初に肌を重ねた時、ぼくと深春は目配せし
た。かねてから考えていた、ある行動を実行する為に。
 「京介、上に乗れよ」
 深春が屹立も露に寝そべって誘うのに、頬を染めながらも抵抗を
試みる。
 「恥ずかしいな。君が上の方に…」
 「しっかり味わえるんだけどな?いいのか?据え膳は食っておい
た方がいいぜ」
 誘い上手だな、深春。京介の『嫌』は『欲しい』と同じだって事、
判った上で挑発してる。京介もそうされるのが嬉しいって事、溢れ
方で判るもんね。
 「乗れば、いいんだね?」
 深春自身に手を添えて、ゆっくりと沈めて行く。満たされてゆく
歓びに、口元から知らず知らず唾液が一筋。そして唇を一舐めして
呟く。
 「確かに…深いね」
 そして、自分から腰をグラインドさせる。さっきの羞恥が嘘の様
に、淫らに、綺麗に。ぼくは其れを見て、少し胸が痛む。自分がそ
うなる様に演出したとは言え、本当は深春にさえもこんな綺麗な京
介は見せたくない。それなら深春が邪魔なのかと言えば決してそう
ではない。深春も又、ぼくにとっては恋愛対象。京介とは違う意味
でね。
 暗くなりそ。思考停止!そして佳境になった所で深春に目配せ。
京介の体は深春の腕でがっちりと固定された。
 「な…に…?」
 何が起こったか一瞬面喰う京介。そんな所も可愛いけどね。
 そしてぼくは、彼の背中に口付けていった。刻印を刻む為に。

 本当なら、彼の体に所有の刻印としてタトゥーを入れたいと言
うのがぼくと深春の共通見解。勿論ぼく等の名前でね。でも其れ
をせずに居るのは、其の事自体が京介を追い詰めるかも知れない
と恐れているから。
 だったら。
 せめてお正月だし、この方法ならいいよね?キスマークで所有
の刻印を刻む程度なら。消えるまで愛してあげればいいしさ。

 抜ける様に白い京介の肌を吸い上げて、ゆっくりと名前を刻ん
でゆく。先ずは深春からか。ローマ字でいこうかと思ったけど、
それでも字数は多いよね。
 「俺、イニシャルでいいぞ」
 「いいの?」
 「今の体位の礼だ。気を抜くとイっちまいそうだしな」
 自分が腰を回転させながら深春が言う。京介は快感に息も絶え
絶えだ。
 「じゃあ」
口付けで先ずMKと刻む。次いでAO。最後に其れを囲む様に
ハートマーク。刻んでいるのも相当快感なんだろうな。目付きは
完全に向こう側だ。
 刻み終えて、京介を口に含む。瞬間に溢れてきて、京介失神。

 「本当に刻んでくれて、いいよ」
 正気に返った京介の第一声。
 「浮かされて言うんじゃないぞ?本当にいいのか?」
 深春が思わぬ言葉に慌てている。
 「蒼と深春になら、縛られたい。重たさも、快感だし」
 嫣然とした微笑。でも、それだけでは済まなかった。
 「二人にも刻んで貰うよ。僕のイニシャルを、この先にね」
 この先に…って、こんな敏感な所に?!
 思わず顔を見合わせたぼく等に皮肉っぽく微笑む。
 「冗談だよ。一割は本気だけどね」
 其の晩、京介が休憩無しに精を吐き出したのは…もう、言う
までも無いよね?
《コメント》
そんな訳で、「書き初め」です^^;
随分作風が濃くなったよなー、我ながら。
タトゥーで、「ナニの先に…」というのは本当に難しいそうです。
先ず我慢が利かないそうですね。利かんでしょうなぁ、あれは。
さて、次は門松か…ふぅ…(頭の中を掻き回す)
                    

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