男の祭り
「おおっ!あった、あった。」 押し入れの中に身体をつっこみ衣装ケースから お目当ての物を探し出す。 見付けた頃には全身汗だくだった。ふう、夏の 午後に探し物なんかするもんじゃあないな。 「懐かしいなあ。」 押し入れから出た俺はひざの上にソレを広げて しばし感慨にふけった。 子供の頃、俺の住んでいた下町は夏を迎えると 町内が浮足だった。夏は祭りの季節だから。 揃いの祭り半纏、頭に鉢巻、白の褌に白足袋の 祭りの衣装は実に威勢のいい物だ。近所の店の おじさんがやけにかっこいい大人の人に見えた もんだ。大人になったら自分もああいうかっこ いい人になると誰もが信じていた。実際大人に なり自分も祭りの衣装を着てお神輿を担いだ時 は嬉しくて涙がでそうになった。 自分も大人の仲間入りが出来たんだなと。 もう何年も出していない祭りの衣装を出したの には理由がある。外出先で夏祭りを見たからだ。 昔と違い今の祭りには若者の姿が無い。いるの は子供と中年以上の大人だけ。お神輿の担ぎ手 も少なくて寂しい祭りを見てなんか胸に迫る物 を覚えた。 「それだけ俺も年を取ったってことか。」 つぶやきながらひざの上の衣装を撫でているう ちにムクムクとある思いが浮かんできた。 「仕舞ったままじゃかわいそうだしな。」 「ふん。俺もまだまだいけるじゃねえか。」 褌を締め祭り半纏を着た姿を鏡に映し独り言。 「せ、先生!何してるんですかあ」 突然の大声に振り向いた俺が見たものは大きな 西瓜をさげて廊下で固まっている深春の姿だっ た。あー…まずい奴に見られたもんだ。土産の 西瓜を受け取り冷蔵庫へ。 深春の奴には麦茶、いや麦酒でも振る舞うとするか。 冷蔵庫を開けて麦酒を探している俺の背後から 重たい物がおぶさってきた。何だ? 「先生、そんなかわいい姿誰に見せるんですか。 襲われても知りませんよ。」耳元に深春の吐息。 「ば、馬鹿。昼間からサカるんじゃあない。」 うわあ腰に当たる堅い物がやけにリアルだぞ。 振り向くともう深春の野郎は全裸で準備万端と いった臨戦態勢でいやがる。 「いいでしょ。昼間から男同士のお祭りも。」 馬鹿言ってやがる。厭だって言ってもやるくせに。 「ちゃんと脱がせろ!この半纏も褌も俺にとって は大事な物なんだ。」大きな熱い手が俺の身体を撫でる。 「くやしいなあ。先生のこんな姿誰にも見せたく ないのに。」 愚痴る深春。はんと鼻で笑うと俺の乳首をつまむ 指に力を入れやがった。 「いっ、痛いだろうが」 文句を言うと今度は手の腹で強くこする。 「こんないやらしい姿さらして。なんなら家にいる 時はいつもこれでいいですよ。脱がす手間はぶけて。」 深春の口の中にとらわれた俺の物。先端を舌でつつかれ 周囲を丁寧に嘗め回されて暴発寸前。 「はっ、ふぅっ、アン・・」 こんな声を出す日が来るなんて思いもしなかったなあ。 身体を裏返されて屈辱的な四つん這いのポーズをとらさ れるなんてなあ。しかも相手は自分の教え子だ。 「あぁっ」 「先生この格好の方が感じるでしょ。奥まで当たるから。」 ぐいっと体内に侵入する物。 それが俺を切り裂き、ぐちゃぐちゃにし、やがて解放 してくれることを俺は身をもって学んだ。 途方もない快楽の中へと俺をいざなうことを。 「うっ、いってえ・・」 気付けば布団の中。身体も拭かれて清潔になっている。 「先生、起きたの?西瓜一緒に食べよう!」 襖を開けて蒼が覗き込む。 「ああ、今行くからな。」 起き上がるものの関節はみしみし、身体のあちこちが 痛くてたまらない。あの熊の野郎め! 台所へ行くと京介、蒼、それに澄ました顔をした深春 が揃って西瓜にかぶりついていた。 「先生夏バテ大丈夫?ご飯食べてるの?」 蒼の心配そうな顔。 「お年を考えないから・・」 小声で嫌みを言う京介。深春は黙って西瓜を食っている。 「はん!年なもんか。俺はまだまだ元気だ!」 そう宣言をすると京介の目がキラリと輝いた。 「ご存じですか?海外では日本の祭りをゲイ パレードと思う人が多いことを。」 「えっ?」 「そんなおいしそうな格好で男性が大勢で身体をぶつけ あうんですから無理もないですよね。」 「おいしそう??」 俺は自分の格好を見て青ざめた。熊の野郎、また俺に 褌に祭り半纏なぞ着せたなあ。 「次は僕の番ですね。」 京介が椅子から立ち上がり近付いてくる。 「僕が褌ほどいてあげる〜」 蒼の声。 ああ、神様〜 その後、俺は3日間寝込んだ。寝込む俺の傍らには せっせと看病する3人の姿があった。 あまりに熱心な介護のおかげで俺は更に1週間床に 着くはめになったけどな。 《コメント》 えー…笑うに笑えません。 本筋の方では実際にお祭の写真もビデオも 取引されてるんですね。ええ、そう言う意味で。 もっと凄いのは子供から大人まで対象が 幅広い、って事なんですが。