お帰り!
家に戻り郵便受を覗く時に何かを期待している自分が厭だ。 期待してはいけない、あいつは篭の中で静かに暮らすような タイプじゃないのは知っているはず。 それを知っていたから笑顔で送り出した自分なのに。
でも月日がたつにつ会いたい気持ちは膨らんでしまいせめて 葉書だけでもと期待してしまう。
そんな自分が最近厭でたまらない・・・
風呂から出て缶ビールを片手に思うことは1つ。
あいつは今頃どこにいるんだろう。。
そんな時、突然電話が鳴った。
仕事の呼び出しかと思い慌てて取ると電話の向こうからは懐 かしい声。
「一条さん、久し振りです!お元気ですか?」
「ご、五代・・・」
「冒険もいいけど限界です。早く薫に会いたくて戻って きちゃいました。」
「雄介、今どこにいるんだ?」
「すぐそばです。とりあえず玄関開けてくれません」
玄関までのわずかな距離が数百キロにも思える。
震える足で玄関まで走り、俺は急いで扉を開けた。
扉の向こうには懐かしい顔。
「お帰り、雄介!」
「ただいま、薫。」
もう言葉は出ない。愛しい人は俺の腕の中。
そう、これは夢ではないのだから。。。