世の煩悩の種はつきない

いつのことだったろう。弟に見下ろされるようになったのは。
昔はチビでガリガリで目ばかりでかいやつだったのに、ある日
気付いたら自分より身長が高く見下ろされるようになっていた。
それでもこいつは「兄ちゃん」と大きな図体してまとわりつくのを
やめようとしない。
みかけは大人のくせに中身はてんでお子様。
俺が家に帰ってくればずっとそばを離れようとしないから
困ってしまう。
いつになれば兄離れするんだろうかこいつは。
それが最近の俺の悩み事。はあ〜

ある日まじめな顔をして弟が俺に相談してきた。
休みの日に買い物につきあえとでもいうかと思ったら
とんでもない!こいつが電車で痴漢にあってるだと!
普通痴漢っていうもんはかわいい女の子が被害にあう
もんだろうが。なんでこんなでかい男を狙う奴がいるんだ?
気のせいだろうとが乗る電車を替えたり車両を変えても
痴漢にあうという。
話す内に落ち込んだ弟の目がウルウルしてきた。
やばい!俺はこいつの涙には昔から弱いんだった。。

仕方がない。翌日から弟と同じ電車に乗ることにしてみた。
会社がフレックスで出社時間が融通が利く事にこれほど
感謝したことはない。
いつもの時間より遅い電車は殺人的に混んでいる。
そんな中、弟に離れないようにするのは至難の技。
まあ少し位離れても無駄にでかい図体してるおかげで
あいつの居場所はすぐ判るけど。 
人の山から1つ頭が飛び出ているしな。
揺れる車内、よろけた弟の手を慌ててつかむ。
電気が走ったように感じたのは気のせいか?
あいつが手を不安げに握る。ぎゅっと握り返すと俺を見て
ほほ笑む。ああ、この笑顔は子供の頃と同じ。。
いつ見ても俺をとろけさせる罪つくりな笑顔・・

俺が一緒に電車に乗ることにして痴漢はぴったり
止まったそうだ。
弟は「やっぱり兄ちゃんはすごい。」と感心しきり。
ふっ…こいつから見ると俺は敵など無い最強の人間のようだ。
悩み事もなくいつでも自信にあふれた男。
それがこいつから見た俺らしい。
冗談じゃあないぜ。
俺は悩み多き弱い人間だ。自分の事は自分が一番
よく知っているよ。
なにせ一番の悩みがこのでかい弟に対する欲望という
禁断のものだしな。。。
                            (続く?)

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