お兄ちゃんは辛いよ 「お兄ちゃん・・・」 平和な日曜の朝。今日はたっぷり昼ご飯まで寝てやる と思っていたのに〜。 でも弟のただならぬ声に何事かと起き出してみれば。 弟はパジャマ姿のまま僕のベッドの脇に立ってなにか モゾモゾしている様子。 「どうした。まさかおまえチビったのか?」 頭の中でシュミレーションする。 母親に見付からないようにシーツを洗濯機に放りこみ 次にこいつを風呂場で洗う。ベッドのマットを乾かし 替えのマットを出す。うん大丈夫! こんな不測の事態でもきちんと乗りこえることが出来 なければこいつの兄は勤まらないし。 「違うよおー!おねしょなんてもう卒業したもん」 って、卒業したのはほんの数箇月前だと思うけど。。 「違うの。朝なんか変な感じがして見たらねえ」 もじもじしながらパジャマのズボンとパンツを勢いよ くおろす。現れたものは・・・ 「ウーン・・・」 「ネエ、これ病気? 僕病気なの?」 涙でウルウルした目でみあげられては答えにくい。 いや、病気では無いけど、そのお・・・ なんて説明したらいいんだ? これは大人の男になったってことで病気じゃあなくて 駄目だ!説明出来ないよお どうしよう でも弟の目は『お兄ちゃんならなんとか してくれる』って信じきっているし。。。 「うーん…腫れてるな」 「でしょう。でも痛くはないの。」 「う、ううん・・」 「虫にさされたのかなあ?」 「そ、そうだよ。虫にさされたんだ、きっと。」 「じゃあ、お兄ちゃん塗って。」 「エッ!」 「いつもみたく薬塗ってフーッってやって。」 そう、いつもこいつが怪我したり虫にさされたりした 時は僕が薬を塗ってやる。 薬を塗って「フーッ」って息をかけてやるんだ。 息をかけるのはおまじないみたいなもんで。 仕方ない。 元気良くぴょこんと立っているソレに薬を塗る。 「後で痒くなるといやだから全部塗ってね。」 そう言われて全体にまんべんなく薬を塗る。 最後に息をフーッとかけて治療完了。 「ありがとう。お兄ちゃん。」 それで満足したのか弟は部屋を出ていった。 「ハー…疲れた。。」 僕はもうぐったり。こんな朝がその後も延々と続くな んてその時は思いもしなかったけど。 「そうやって兄貴は2年も俺を騙したんだよなあ。」 「ば、馬鹿。こんな時になんでそんなことを。」 「今はこうやって治療して貰ってるし。」 「は、は」 「兄貴には本当俺頭あがらないよ、一生ね。」 僕は毎朝こうして弟を治療している。 自分の身体を使って弟を治療するなんて兄の鏡だな。 身体の奥に弟を感じながら僕はそう思った。。。。