綱吉


たったそれだけでで脳内が、その言葉に支配される














unreasonable












トントン、と扉が軽快な音を立てたその後に愛しい人の声


「ひ、雲雀さん・・・・いらっしゃいます、か・・?」
「うん居るよ、入っておいで」


僕らの間にあった扉という名の壁が小さく軋み開かれた
おどおどしながら部屋に入る姿はまるで小動物
椅子から立ち上がりそんな彼に歩み寄って髪を撫でると小さな肩がびくりと震える
可愛いね。
ものすごく、加虐心を掻き立てられる
君はそんなこと微塵にも思っていないだろうけど


「ー・・・ッ!」


ネクタイを掴んで引き寄せ、噛み付くように口付けてやると
驚きと苦しみに顔を歪められる
舌を絡めとって更にきつくネクタイを握り締めてやる


「ひ、ばりさ・・・ッ・・・」


力の無い腕で数回胸を叩かれる
あぁ、苦しかった?ごめんね。
ネクタイを緩めてからほどき、きっちりと第一まで閉じたシャツのボタンを
そっと外してやると彼は苦しそうに息をしながら不思議そうに僕を見た


「・・・・何だい?」
「いや、あ・・の・・・・・・・優しいんですね・・・・」
「失礼だね、君にはいつも優しくしているつもりだったんだけど」


クスリと笑い今度は柔らかくキスを落とすと綱吉は覚束ない手つきで僕の制服を掴んだ。
少し震えたその小さな手がとても可愛くて、愛しくて。
抱き上げそっとソファにおろしてやり、僕は方膝をソファに埋めて彼に覆い被さるように。
何度も何度も唇を啄ばむ まるで鳥のように
首筋に顔を埋めるとふとあの、僕の嫌いな匂いが鼻を掠める


煙草。


あの犬の匂いがついてるなんて、どうにも腹が立って仕方が無い
あぁ、苛々する。
次の瞬間、細く白い綱吉の首に噛み付いていた
ガリ、という生々しい音
にじむ赤い血
何も考えていなかった。まるで本能のように
獲物を捕らえたライオンのように


「ッ!!」
「・・あぁ・・・ごめんね。それより犬の匂い、嫌いなんだけど」
「・・・・・え・・・?」
目を白黒させ、自分の首に触る綱吉
色白に君には、赤が似合う


「わからない?」
「・・・ごめんな・・さい・・・・」
「いつも一緒に居る駄犬の煙草の匂いがするんだけど」


はっとした顔をして。今更遅いよ
僕の匂いと、僕のつけた傷でいっぱいにしてあげる


「ムカつくなぁ・・・僕以外の男に触らせるなんてさ」


信じられない。
冷ややかに言うと泣きそうな顔をして
ああもう


「ご、めんなさ・・・・っ・・・」
「・・・・自覚が足りないみたいだね、君は僕のものなのに」
「本当になにもっ・・・ないです・・・!」
「じゃぁどうして」


あの匂いがするの?凄く不快だよ綱吉


「今日・・・その・・・」


びくびくと怯えながら話し出した内容とはこうだ
昼休みに屋上で寝ていて、起きたら真横で”犬”が煙草を吸っていた・・・
というものだった。簡単に言うとだけど
本当にそれだけかと問うと、はいと言った。
まっすぐな、嘘をつけない君だから疑う訳じゃないけど聞くしかなかった


「次にまたこんな事があったら・・・・殺すよ」


綱吉じゃなくてあの忌々しい犬を


「よく覚えておいて・・・君は僕のものなんだから」


綱吉は一度頷くと僕の手を握りしめた
何も言わずに、そのまま
でもその顔はとても綺麗な微笑みを浮かべていて


「・・・・・好きですよ・・・恭弥さん・・・」




綱吉が僕をファーストネームを呼んだのは、それが初めてだった















優しさを態度に、行動に出す君が愛しくて
僕は先程噛み付いた傷をそっと、舐めた





























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優しいんだか厳しいんだか・・・ツナが好きで好きでしょうがないヒバリ。
20041112




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