それは町外れのとある銀行の夕方。
閉店間近のその銀行のビルの陰に、怪しい男が二人。
二人とも黒サングラスに黒ニット帽をして、微妙に顔がわからない。
そう。彼らはこれから犯罪者となるのだ。
「よし!アイジ!行くぞ!」
「う、うん!」
バーン!と自動ドアを開いて(開けない)潤とアイジは乱入してきた。
中には警備員一人と客が一人と店員がちらほら。
「手をあげろ!誰も動くなよ。動いたら即行で撃つからな!」
刑事ドラマの見すぎなのか何故かかっこいい潤。
「潤君かっこいーvv」
なんて見惚れてるアイジ。
「バカ!お前も構えろ!」
せっかくの決まったシーンが台無しだろうが!とか変なとこを問題にするのを
あ、そっかぁとか納得できるたのはアイジだけだろう。
ここの店長であるキリトはこの状況に頭を悩ませた。
こんなバカで隙だらけな強盗を捕まえられなかったら恥だ(違う)
だが、いくらバカだからと言っても銃を持っている。
自分が一番可愛いキリトにとって、こんな奴等のために死ぬなんてことは決してしたくない。
さて、どうしたものかと悩んでいた時、
「………潤??」
警備員が手を上げながら遠慮がちに声を出した。
「………お前……武雄君!?」
潤のオーラがキビキビしたものからコスモスの花が咲いたごとく華やかになる。
「やっぱ潤かぁ!!も〜びっくりしたじゃんかよ〜」
「ごめんごめん!ガンダムのフィギア集めてたらお金なくなっちゃってさ〜」
とか大声で世間話をし始めた。
でかしたタケオ!キリトは内心ガッツポーズをした。
「ねぇ、潤君。…誰??」
アイジが戸惑ったように聞いてくる。
「え?あぁ、ガンダムの私営サイトで知り合った友達。武雄君。アイジ悪いけどお金集めといて。」
「え?うん、て、おい!!」
「よろしく〜!!あ、ねぇ、扶養家族元気??タケオ君家のハムスター可愛かったよねー!」
とかアイジに手をふりタケオと話しはじめる潤。
アイジは仕方なく(まだ腑に落ちないご様子☆)従業員の方に向き直った。
ふざけんなタケオ!キリトは内心「あいつ絶対クビ!」と思っていた。
「え〜とぉ、このバックにお金詰めてもらえる??」
のんびりした声がキリトのピリピリした神経を逆なでする。
だが、アイジに言われた女性店員はせかせかとバックに札束を入れ始めた。
「あ、ダメだよ〜ちゃんと綺麗に並べて入れてよ〜ていうか貸してぇ」
とアイジ自ら金を詰め始めた。…それはもう、丁寧に。
やっぱこう、しっかり綺麗に並んでるのは気持ちがいいよね〜とか、
一人言なのか誰かに話し掛けてるか分からないくらい大声で言う。
はっきり言って犯罪者と警備員以外の全員が困惑していた。
というか、どうしていいか分からない。
俺、逃げれるんじゃねぇ??
そう思ったのは客のコータだ。
強盗の一人は警備員との話しに夢中だし、
もう一人は背中向けてバックに金を入れるのに夢中だ。
ふと見たら、店長がこっちを凄い形相で見ていた。
目が合った瞬間、眉間に皺を寄せて早く行けよとばかりに
顔をクイッとドアのほうに動かした。
…俺に…客の俺に…逃げるなんて危ない行為をしろというのかあの店長。
戸惑っていると店長の顔がどんどん険しくなっていく。
なんか怖い。妙に怖い。…マジで怖い。
コータは決心した。
電話しよう(どーん)
彼はもう、いっぱいいっぱいなのだ。
ポケットから携帯をとりだし110番を押す。
これにはキリトも強盗もタケオもびっくりだ。
コータの声は部屋中に聞こえた。
「あ、もしもし?警察ですか??あの〜銀行に強盗が居るんですけど…。はい、はい。
俺ですか?俺も今銀行の中にいます。はい。…はい。…あ」
コータが携帯を切る。
みんながコータに注目する。
「なんか信じてもらえなかったんですけど…」
「「「「「……………」」」」」
キリトが切れた。
「こんの役立たずがぁぁ!!てめぇもう閉店の時間なんだよ!帰れ!!てめぇらもだ!」
コータの襟に掴みかかったと思ったら、今度は強盗たちを睨みつけた。
「そこの強盗!!てめぇ、印鑑持ってきてんだろうな!?印鑑持ってない奴にそんな金貨せねぇんだよ!」
「え、えぇ〜??」
間延びした声をあげた後すぐ、デコピンが飛んできた。
「いっっったぁぁぁぁ!!!!」
「タ、武雄君…、結構ここの店長怖いね。可愛い顔して…」
「うん。まぁね。潤も早く逃げた方がいいよ。あのデコピン、殺人的だから。」
「分かった。じゃぁまたチャットでね〜」
と手をヒラヒラさせながら店から出て行く。
「待ってよー潤く〜ん!!」
アイジも後をついていった。
「タケオお前首!!」
キリトはまだ興奮冷めやらぬと言った様子でタケオの鼻先に人差し指を突きつけた。
タケオはそんなキリトをもろともせず、
「無理だよキリト。俺首にしたら女性社員ボイコットしちゃうよ?いいの?」
「うっ…」
この銀行で警備員のくせに唯一モテる男。これがタケオの武器だった。
なんでオタクのくせにモテんだよとかいう突っ込みは、数億の星の一粒さ☆
「そういえばアイジ、バックは??」
「あ……」
終
はい。やっと終わりました。サイト開設、第一弾です。
山も落ちも意味もないくだらない話でごめんなさい。ギャグれない…(泣)