何かを得ようとするなら..........それと同等の代価が必要..............
―――等価交換の原則―――
SUBJECT:010 機械鎧 俺の朦朧とした意識が回復すると 隣に大佐の姿は無くて。 一瞬、おいていかれたのかと思って僅かに身体が冷えた。 俺は独り残されるの、苦手・・・・だ。 シャワールームのドアの音が聞こえてきて 大佐の存在確認できて俺は少しホッとした。 「大佐 キスしてくれよ」 出てきたばかりの大佐に、そう言った。 シャワーを浴びたロイが漆黒の濡れた髪から雫を滴らせベッドに近づいてくる。 大佐の重心がかかり、ベッドが軋む。 けど、俺は。 ゆっくりと頬に手を添えて顔を近づけて来る大佐の肩を押しやって逃れる そうじゃないんだ 違う 「足に、手に、してよ」 (それも、機械鎧に。) 「機械鎧、に?」 なぁ いいだろ? 俺の事、愛シテんなら 俺の事 、解ッテんなら 蘇らせたと思った母さんはこの世の物ではなかった(過ちを犯した) 弟アルフォンスは、魂こそ取り戻したけど その魂のイレモノはニセモノ(それも俺の過ち) この右腕、失ったのが人体練成による罰だとすれば 左足がなくなったのは、神様の罰だと思っている 俺の身体は一生消せない罪を背負った 身体も心も 俺を創るもの全てが 罪を背負ってる だけどこの機械鎧は 口うるさいけど、元気で、無邪気で、世話焼きな、 俺とは正反対の 天使の様なやつが作ったもので 唯一の罪に汚れていないモノ......なのかもしれない 過ちを犯し、その代価を払うかのようにもっていかれた手足 ソレに継ぎ足される様に付けられた 機械鎧 この足は知らない (禁忌の人体練成の末の足だという事を) この腕は知らない (罪の代価を支払うかの様にもっていかれた弟の魂を呼び戻した末の手だという事を) 唯一穢れを持たないのは 無垢なアイツが付けた、無垢な機械鎧 俺の中で唯一穢れを知らない 場所 居場所を失くし もう振り返らない為に家を焼いた 永遠に定着できる魂の居場所なんて無いと思ってた だけど、俺は見つけてしまった 魂の安らげる居場所を 帰る場所を この右腕は知っている この左足は知っている 漠然とそんな事を考えていたら 大佐が俺の左足にキスをしていた 何も感じない鋼の機械鎧 冷たい鋼は触覚を伝達することはなくて 大佐のの唇も吐息も、温もりも感じることはない 大佐のそんな行為を 客観的に冷静に見下ろしていた、俺 唇にするのは 愛情のキス 額にするのは 親愛なるキス 手の甲なら 忠誠のキス では この大佐の行為は? 心はアイツの所においてきてしまったから この心の器だったら 大佐、アンタにあげる 罪と罰に汚れてしまった体だけど それを知らない機械鎧が手足についてるから 「鋼の、……お前も酷いヤツだな」 end -------------------------------------------------------------------------------- 親父×エド このサイトは虚構と妄想の愛の子です