あいつを殺るのが
オレの生きている意味
オレの生きていく糧
そのために生きている
死――
なんて恐れていない
一族が滅びた時にとうにこのココロも死んだ
今更 恐れるものなんてナイ
『ノスタルジア』【2】
「あれ?サスケ君は?」
サスケが居ない事に気付きキョロキョロする。
「一緒に帰ろうと思ったのにィ」
つまらなそうに頬を膨らますサクラ。
「ん?そういえば・・・サスケなんてほっといて、サクラちゃんオレと帰るってばよ!!」
イチャパラの上巻に『男は押しだ!』と書いてあったのを思い出し、サスケが居ないのをチャンスと
思い手を握ろうとすると
「ナルト、触んなっ!!」とサクラから頭に思い切り、肘鉄を食らうナルト。
タンコブを擦りながらさっさと歩くサクラの跡を急いで追うナルトだった。
「・・・・・」
イチャパラを読みながら、テクテクと歩くカカシに気配を隠し付いて行くサスケ。
街まで戻ってくると、丁度夕時で賑わっていた。
「?」一瞬の事だったが、カカシの気配が消える。
思わずサスケはカカシが消えていった通りに飛び出とキョロキョロ辺りを見回す。
瞬間、気配を真後ろでヒシヒシと感じ取った。
ゆっくりと振り返るとそこにはいつものニコニコしたカカシが立っていた。
「何?何かオレに用?うちはサスケ君。」
サスケの額から汗が滲み出てくる。
「忍者が早々、後ろとられちゃゃダメでしょ」
ニコニコとまたイチャパラに目を移す。
「ア、アンタ・・・あいつの・・・兄貴の居場所知ってるのか?」
「今、良いトコロなんだよねェ、イチャパラの中巻なんだけどねェ・・」そういうと視線をまた本に移した。
「・・・オイ!」そう怒鳴ると、居ても立っても居られずサスケは本を地面に投げつける。
そんなサスケをチラリと見ると軽くため息をつく。
「フゥー・・・この世界でそんなに急ぐと 長生きできないよ?サスケ君」
落ちた本をゆっくりとしゃがんで拾い上げる。
「長生き・・・・? フンッ」
さも興味もうせたような顔で横を向く。
カカシは何かの違和感にとり付かれる。
「イタチの行方か・・・オレは任務遂行で出払っていたからな。
詳しい事はよくわからないんだよね。 --------ごめんね。」
サスケの頭を撫でようとするがその手をサスケは払う。
「オレに触るな!」
野生の猫の様に気を立てるサスケ。
《イタチ》 その名を出してから、サスケの周りの空気がとげの様にピリピリする。
カカシは落ちた本をしゃがんで取ると顔をあげた時には既にサスケの姿は無かった。
「うちは一族か・・・」
カカシは本の埃をパンパンと掃うと青空をゆっくりと流れる雲を見つめた。
「・・・スケ・・」
「・・・サスケ・・・・」 んっ・・・
「サスケは、本当に良い子だねエ・・・」 ・・・めろっ・・・・
「やめろっ!兄上!!」
サスケは飛び起きる。
サスケ以外誰も居ないせいかやけに静まった家は余計に寂しげな空間を演出しているかのように
感じられる。
サスケは飛び起きた暗闇の中で、未だ現実か夢か把握出来ずに汗まみれで息を荒立てる。
フラフラする足取りでドアを開けると、今の気持ちを肯定するかの様に雨が滝の様に降っていた。
「・・・父上・・・母上・・・」そっと目を閉じ、サメザメ降り続く雨を身体一身に受け止めた。
瞳から零れ落ちる雫はまるで涙の様だった。
「出発―――――っ!!」
元気良くはしゃいでガッツポーズをすると先頭に立って木の葉の国を出るナルト。
「オイ、本当にこんなガキで大丈夫なのかよォ!」
依頼者は心配そうに上官カカシに話し掛ける。
「ハハ・・・上官の私がついてますので、そう心配いりませんよ・・」
今日は初の任務の日である。
依頼者からお金を頂いて護衛をするという事で “任務らしい!”と朝から喜んでいたナルトだったが、
この依頼者の高慢な態度に納得のいかない顔をする。
「ま・・・安心しろ。Cランクの任務で忍者対決なんてしやしないよ。外国の忍者と接触する心配は無いな。」
不安な顔をしていたサクラの頭を見透かしたようにポンと叩く。
「なんだぁー、良かったァ・・・」ホッと息を撫で下ろすサクラ。
一方、浮かない顔をする依頼者を後ろで見つめるサスケだった。
太陽が傾いて歩き出してから、大分経った頃だった。
【ザッ・・・・!】
一瞬の出来事だった。
水溜りから2人の忍者らしき者達が出てきたかと思ったら、鎖でカカシの動きを止める。
「一匹。」
そう呻いて鎖を引っ張った瞬間、肢体がバラバラになるカカシ。
一瞬のことで何がなんだかわからなくなり固まる一同。
「キャ――――――っ!!カカシ先生ェ!!」
サクラのその叫びで皆我に返る。
「二匹目。」
ナルトに向かって鎖が投げられたと同時に、サスケが飛び出すと
太腿にストックしてあったクナイ入れからクナイを投げつける。
そしてそれは鎖と一緒に太い木に突き刺さる。
「・・はずれぬ」
攻撃をしかけようとしていた敵の忍者は一瞬たじろぐ。
サスケは2人の忍者の肩に飛び降り、同時に2人を蹴り飛ばす。
いざという実践になって、手も足も出ずにただ凄いとばかりに
見ていたナルトの元に敵の1人が飛んできて、
恐怖に「うわぁぁ!!」と声を上げるナルト。
もう1人の敵は、狙いの依頼者を狙い飛んでくる。
「おじいさんっ、下がって!」
サクラは震える体を盾に依頼者の前に飛び出す。
それに気付いたサスケは立っているのがやっとのサクラの前に飛び出す。
敵の忍者が隠し持っていた鎌を振り上げてサスケに襲いかかろうとしたその時。
「!!」敵の1人を既に肩に担いだ状態のカカシはもう1人のサスケに襲いかかろうとしていた忍者を
すんなりと抱えるように止める。
「・・・フン、でしゃばりが・・・」サスケはつまらなそうに呟く。
「カカシ先生・・・!生きてたァ!?」パァッと嬉しそうに花の様な笑顔になるサクラ。
カカシが鎌でバラバラになったであろうさっきの場所を振り返るナルト。
そこには無数のバラバラになった板が散乱していた。
「カカシ先生・・・変わり身使ってたのか・・・」ホッと胸を撫で下ろすナルト。
「ナルト・・・助けてやれなくて悪かったな・・・怪我させちまった。・・・お前がここまで動けないとは、
思っていなかったからな。・・・・とりあえず、サスケ良くやった。サクラもな。」
その言葉にビクリと体を大きく反応させるナルト。
“オ、オレってば何も出来なかった・・・なのに・・・こいつは・・・初めての実践なのに・・・ちっとも
怖いって思わなかったのか?平気なカオして服に汚れ1つつけずに・・・みんなのことを助けたって
いうのか?“ 信じられないといった表情で今までとは違った目線で見るナルトに
「よォ・・・怪我はねーかよ ビビリ君。」と見下した目でナルトを見るサスケ。
「・・・ケンカは後だ。中忍の次は上忍が来るぞ。準備をしておけ。」
カカシのその言葉にゴクリと唾を飲み込むナルト。
「よっしゃー!よっしゃー!」
“今度はオレが良いトコロ見せてやるってばよォ、サスケには負けねェ!”と気合を入れるナルト。
辺りはシンッと静まりかえる。
「 !! 」
「全員伏せろ!!」
カカシの大声とともに大きな鎌が円を描きながら飛んでくる。
その言葉に伏せた一同をかすめて、鎌は大木に突き刺さる。その突き刺さった大きな鉈の様な刀に
気付いたら人が乗っていた。
「へ―――――こりゃこりゃ 霧隠れの抜け忍 桃地再不斬君じゃないですか」
懐かしそうに見上げるカカシの隣で《よーい・ドン!》で相手に飛びかかろうと計画を密かに立てていたナルト
だったが、飛び出そうとしたところをカカシに片手で止められる。
「邪魔だ。 下がってろ、お前ら。こいつはさっきの奴らとはケタが違う。・・こいつが相手となると―――
このままじゃ、ちょっとキツイ、か」そう言ってカカシは左目を隠すように付けていた額当てを自ら外す。
「写輪眼のカカシと見受ける・・・ ・・・悪いがじじいを渡してもらおうか」
ゆっくりと、だが確実に蛇の様な鋭い目をした男・再不斬は一応忠告する。
「・・え・?シャリンガン??な、なんだ それ・・・?」初めて聞く言葉に首をかしげるナルト。
「写輪眼・・・」ピクリと反応をするサスケ。
「ほ―――――っ、噂に聞く写輪眼を早速見れるとは・・・光栄だね。」
再不斬は高い位置の木から見下ろす。
《写輪眼》・・・いわゆる瞳術の使い手はすべての幻・体・忍術を瞬時に見通しはねかえしてしまう
眼力を持つという・・・写輪眼とはその瞳術使いが特有に備えもつ瞳の種類のひとつ・・・
「しかし、写輪眼の持つ能力はそれだけじゃない・・」
説明をするサスケに
「クク・・・ご名答。ただそれだけじゃない。それ以上に怖いのはその眼で相手の技を見極めコピー
してしまうことだ。オレ様が 霧隠れの暗殺部隊にいた頃、携帯していた手配帳にお前の情報が
載っていたぜ。それには こうも記されてた。千以上の術をコピーした男・・・コピー忍者のカカシ」
予想以上に自分の事を晒され、氷のような瞳で冷たく再不斬睨みつけるが再不斬も動じずカカシを
冷たい目で見る。
“写輪眼は・・・・ウチハ一族の中でも一部の家系にだけ表れる特異体質だぞもしかしてコイツ・・・”
意外な出来事にサスケは色んな事が頭を駆け巡る。
「さてと・・・お話はこれくらいにしとこーぜ。オレはそこのじじいをさっさと殺んなくちゃならねェ」
再不斬のその言葉にナルト・サスケ・サクラは依頼人の老人の前に守るように立つ。
“ス・・・・スゲェ 殺気だ!・・・眼球の動きひとつでさえ気取られ殺される、そんな空気だ
・・小一時間もこんなところに居たら気がどうにかなっちまう!上忍の殺意・・・自分の命を
握られてる感覚・・・ダメだ・・・ これならいっそ 死んで楽になりたいくらいだ・・・!”
全身から滝の様に流れる汗。立っているのがやっとのサスケはガクガク震えがくる。
「サスケ・・・安心しろ。お前達はオレが死んでも守ってやる。」
サスケの前に大きく立ちふさがるカカシは背中をサスケに見せたまま呟く。
「・・・・?」こんな緊迫した時なのにサスケは何か太陽の様なものをカカシの背中から一瞬感じた。
その後、想像を絶するような攻防が行われた。
写輪眼の能力を生かして相手の術をコピーして再不斬の術を盗むカカシ。
だが再不斬の術中にはまり、【水牢の術】脱出不可能な水球に閉じ込められる。
「生徒がセンセイの目の前で次々と殺されていく気分はどんなだろうなァ、カカシ」
さも嬉しそうに目を細める再不斬。
「お前ら何やっている!逃げろ!オレが捕まった時点でもう白黒ついてる!オレ達の任務は
タズナさん(依頼者)を守ることだ!それを忘れたのか?!」
大声張り上げるカカシだったがナルトもサスケも一歩も動かないで再不斬を睨む。
サスケはリュックから折りたたみ式の大きな手裏剣を取り出す。
「風魔手裏剣、影風車!!」高く飛び上がると、「手裏剣なぞ、オレには通用せん」と言っている再不斬に
全身を使って投げつける。それは再不斬を大きく外れていく。
「なるほど・・今度は本体を狙って来たって訳か・・・が。甘い!!」
カカシを捕らえている本体の再不斬を狙って投げた手裏剣をたやすく再不斬は手で受け取ってしまう。
「フンッ・・甘く見るなよ」サスケは鼻を鳴らす。
手裏剣は二枚重ねになっており取ったと思われた手裏剣から
もう一枚が回転の威力を弱める事無く再不斬を狙う。
「!!手裏剣の影に手裏剣が・・・!これは影手手裏剣の術!・・だが、やっぱりまだ甘いな・・・」
そう言ってギリギリのところでジャンプでかわす再不斬だったが、ニヤリと笑みを浮かべるサスケ。
「ここだァ!」
ジャンプしてスキを作った再不斬の後ろから、ここ一番ナルトがクナイを投げつける。
不意をつかれた再不斬はクナイをかわす事でカカシを捕らえてる術を解く。
「このガキィ!!!」
再不斬は手にしていた先ほどの大きな手裏剣を
まだ体勢の整っていないナルトに向かって投げつけようとする。
【グシャッ】
それを間髪、自分の腕を盾にして止めるカカシ。
腕からは血が流れているが、微動だにもせず再不斬を髪の毛の間から睨みつける。
そんなカカシに再不斬もゾクリと背筋が凍る。
「言っておくがオレには2度同じ術は通用しない。 さて、どうする」
そういうカカシに再不斬は飛び跳ね、距離をおくと超高速で印をふむ。
だが、全く再不斬と同じ印をふむカカシ。
そしてまだ行動に出ていないこれからかけようとしていた術がカカシによって先に繰り出される。
「な・・・・なにィ、バカな!!術をかけようとしたこのオレの方が・・・」カカシによって創り出された
水龍によって吹き飛ぶ再不斬。
「こ・・のオレ・・の方・・・が・・追い・・つけ・・な・・い」
吹っ飛んだ木にはクナイが手足に打ち込まれていた。
既にその木の上にカカシが見下ろしていた。
「終わりだ・・・」その目は氷の様に冷たい。
「・・なぜだ・・・お前には未来が見えるのか・・・?」悔しそうに見上げる再不斬。
「ああ・・・お前は死ぬ。」
クナイを手に握り締めるカカシだったが、その瞬間 横から飛んできたクナイが
再不斬の首を貫通する。
一瞬の出来事に時が止まったかのように皆固まる。
再不斬の死体がスローモーションでも見ているかのようにゆっくりと倒れこむ。
「フフ・・・本当だ。死んじゃった★」
妙な仮面をつけたナルト達と同じ背位の声から少年は木の上から皆を見ていた。
カカシは念のため、再不斬の首筋に手をあてがい脈を取ると確かに死んでいた。
「ありがとうございました。ボクはずっと・・・確実にザブザを殺す機会をうかがっていた者です。」
面をつけたままペこりと浅くお辞儀をする。
「確かその面・・・お前は霧隠れの追い忍だな・・・・」
カカシの鋭い眼差しはちっとも緩まない。
「・・・さすがよく知っていらっしゃる。・・そう、ボクは“ 抜け忍狩り ”を任務とする
霧隠れの追い忍部隊の者です。」
背格好・声からしてまだナルト達と大して変わらない追い忍。
ただの子供じゃない、とカカシは目を光らせる。
「なんだってばよォォ! オレと変らねェあんなガキにあのザブザが簡単に殺されちまったんだぞ!
納得できるかァ!!」
急に大声を張り上げるナルト。
カカシはふと我に返る。
「信じられない気持ちもわかるが。・・・が。これも事実だ。この世界にゃ、お前より年下で、
オレより強いガキもいる。」そういうとナルトの頭をポンポンと叩く。
「・・・・・」横で見ていたサスケは唇をかみ締める。
「あなた方の闘いもひとまずここで終わりでしょう?ボクはこの死体を処理しなければなりません。
なにかと秘密の多い死体なもので・・・」再不斬の死体を担ぎ上げると
「それじゃ失礼します」と言うと風の様に去る謎の少年。
「さ!オレ達もタズナさんを家まで連れていかなきゃならない。元気よく行くぞ!」
カカシは再び額当てを左目の上に眼帯の様に丁度重ねる。
そういったと思ったら倒れこむカカシ。
「ふぅ、写輪眼の使いすぎだな ・・・チャクラ切れ。」道端にバタリ倒れこむカカシ。
「しかし、今日は危なかったってばよ。」フゥと息を洩らすナルト。
「カカシ先生、大丈夫かな。」サクラは箸が先ほどから進まない。
サクラの隣の空いている席の料理を先ほどから横目でちらちら盗み見ていたナルトは
そっと手を伸ばすが寸での所でサクラにその手を叩かれる。
「ちょっとぉ、ナルト意地汚い! これはサスケ君のなんだからね!
・・・そういえば、サスケ君どこに行っちゃったんだろう?」
とりあえず、道中見つけた村で小休止をとる事になった一行。
ナルトとサクラはカカシに水や薬を頼まれ出ていた。
「・・・・」目を覚ましたカカシは周囲をぐるりと見回すと自分から3歩程距離を
おいた所にいるサスケに目を止める。
「・・・どの位寝ていた?」
あたりの感じを見ると、夕時を過ぎた頃だろうと大体の予期はしていたカカシだが。
サスケから3刻程眠りについていた、という事を知り苦笑いをする。
「・・この写輪眼ってのは凄い代物だが、副作用の『眠気』ってヤツにどうしても勝てないもんでね。
・・・ま!直結のお前には関係無い話、か。」何も言わずに聞いているだけのサスケに独り言の様に
呟くカカシ。
「・・・あんたの写輪眼・・・」
サスケは自分と同じ瞳を持つカカシをジッと魅入り、無意識に言葉を紡ぐ。
“ん?”とサスケの心情を悟ったかの如く、真剣な眼差しになる。
そこに静寂が流れる。
「あぁ〜、コレ?」突き刺さるような眼差しでそんな瞳を見つめてくるサスケに素っ頓狂な声を上げて
自分の写輪眼を指差す。
「・・・なんで・・なんであんた写輪眼なんだ。まさかっ・・・」
「あははっ、俺にうちはの血が流れてるなんてオチは無いから大丈夫。」
サスケの頭によぎった事の答えを口にするカカシだったが、その後またすぐに
2人はどちら共無く黙り込み、サスケに関しては、カカシからの答えを待っているようだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・あのな、サスケ」カカシが口を開いたと同時に、
「カカシ先生〜!!具合、どうだってばよっ!!」と元気良くナルトがサクラと共に部屋へ
入ってきた。
「あれ?!サスケくんっvv」サスケを見つけて、俄然元気そうな表情になるサクラ。
それまでの静寂な空間が一気に騒がしくなる。
カカシの表情も先程と一変し、部下の見舞いに嬉しそうな顔をして対応していた。
「チッ」全くをもって機を逃したサスケは、これ以上居ても意味の無いものだ、と察したのか早々
今居る場から逃れようと立ち上がり背を向ける。
「あ〜・・、サスケくん行っちゃうの?!」サクラは垂れ下がった眉毛を更に下げると詰まらなそうな
顔をするが、当のサスケはチラリとも振り返らない。
「サスケ。」それまで、サスケが立ち上がろうがナルトにかまっていて見向きもしなかったカカシが
出て行こうとしていたサスケに声をかける。
「さっきの話なんだがなぁ・・・お前がこれから先、追い求めるものがある限り自ずと分かるよ。
ただ、それでお前は・・・・更に自分を追い詰める事になるかもしれない。」
独り言の様に一点を見つめながら呟くカカシに、納得したのかしてないのか無言のままサスケは
そのままそこを跡にして出て行った。
そんなカカシとサスケに7班の2人はキョトンとしていたが、
「そういやぁ、さっき棚に饅頭があったな・・・食うか?」とにっこり笑顔のカカシに疑問も吹き飛び
“食べる!!”と声を合わせた。
ナルトは居ても経ってもいられなくなり、“自分がやる!”と台所の棚へ走ると、
サクラは“自分はお茶を入れる”とナルトの後を追う。
「こらっ!ナルト、ズルしないのっ!」
サクラの元気の良い声が台所から聞こえてくる。
それを布団に横になりながら笑顔で見ているカカシだったが、
ふと窓の外を歩いていくサスケの後姿を見つめながら、
「たとえそれが俺であっても・・・お前は・・・」
カカシの顔から笑顔は消えていた。
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