【コーディネイターでも敵じゃない!】

【コーディネイターでもキラは仲間だから!】


いつかキラが地球軍に銃を向けられた時

トールが言ったコトバを思い出す。



【キラと出会って思った!ナチュラルとコーディネイターだって

関係無い!仲良くなれるんだって!ナチュラル同士でも

ムカつく奴はムカつく!だけど、キラはあんなイイ奴じゃん?

ナチュラルとかコーディネイターとか関係ねぇよ!】


いつかプラントで嬉しそうに話していたトール。



トール・・・・・

相変わらず食事を運んでくる時意外誰も寄り付かない

この静まり返った独房。



もう、あの女に会える事は無いのか・・・


そう思いながらゆっくりと目を閉じると

死角から気配を感じた。

誰だ!?

そっと様子を伺った筈だった・・・







アイツの声にビックリしてその決心までさらわれ、

私は踵を返していた。

あの女っ・・・・

なんでこんな所に?

思っても見なかった出来事に俺の心臓は

なんだか急に五月蝿くなった。

この静かな空間で、この音伝わっちまうんじゃないか

と思うほど。


何で、ここに来たんだ?

ただ様子を見に来たのか・・・?



それともやっぱり、報復・・・・・・か。

待てよ!

俺は彼女の真意がとても気になった。

このままその後姿を見送ったならば

再び彼女に会えない気がしたので無我夢中で

彼女を引き止めるコトバを発していた。




















その瞬間、彼女の大きく跳ね上がるのが

独房の中と通路という離れた場所からでもわかった。


でも俺は真実が知りたかった。

俺が討った奴だったのだろうか・・・・・

背を向けた私にアイツのコトバは

まるで呪文の様に私次の一歩を止めた。

でも振り返る勇気は無くて-------

そこまで、私頑張れなくて--------

アイツに背を向けたまま次の言葉を待っていた。

あのさ・・・その・・・カレシ・・・どこで・・・

あ・・・さっきここの軍の奴が漏らしてたから・・・
ストライクのパイロットと共にそいつも・・って

なんで、この人そんな事知っているの?

容易く、語らないでよ・・・・


















やっぱり、あなたが・・・・

あなたがそれをしたの・・・・?!

憎しみを増幅させる為に来たのでは無いのに

勝手に身体は震えだす

オーブ領海出た所であんた達が攻撃してきた時に
スカイグラスパーで・・・・っ
ずっと見せる涙は彼氏を亡くしたモノだったって。

そうさせてるのは俺なのかって。


だけど彼女は背を向けたまま、さっき大きく跳ね上がった

体は微妙に小さく震えていた。

スカイグラスパー?

そいつの疑問詞に、スカイグラスパーの形・色を思い出す。

パイロットに任命された時、トールに何度も整備庫に連れて行かれた。

嬉しそうに、嬉しそうにまるで子供の様に目を輝かせて時間忘れたかの様に

暇さえあれば足を運び、ずっとスカイグラスパーを見上げていた。

私はそんな嬉しそうなトールの横顔を見ていて嬉しく、切なくもなった。

それは、トールに夢を与えるものでもあったし、逆にトールの命を

奪いかねないものでもあったから・・・・


脳裏に焼きついたトールの笑顔とスカイグラスパー。

戦闘機・・・・白と・・・青の・・

少しでもキラの助けになりたい、と

止める声も聞かずにその戦闘機で飛び出して行った。

あの時、止めていれば・・・今でも目の裏に

その光景が残って消えないよ・・・トール・・・

ううん・・・きっと止められなかったよね・・・・

あの時出撃すると飛び出したトールは漢の顔をしていた。

大切な友人、そしてアークエンジェルを助ける為に・・・

俺・・・・・じゃない・・・・

彼女の一言、一言に耳の神経が集中した。

人の細胞ってここまで高まるのか?

それは俺がコーディネイターゆえにか・・・?


今までの戦闘では覚えていない程、

いろんなモンを討ってきた。

だけど今回の作戦では何も討ってはいない。

そう俺の中で考えが出された時、全身の力が抜けた。





俺は減免された気になり、思わず心開放され、ポツリと

心の声が言葉となって口から出ていた。

いや、寧ろ彼女に自分じゃないとわかって欲しかったのかも

知れない。

独り言の様に呟いたアイツ。

私はここへ泣きに来たんじゃない。


トールはまだMIA。

きっと笑顔でまた還って来る。

私達を驚かせようと隙を狙っているだけ。



【トールが戻らないのになんでこんな奴が】

この人に前言撤回する事によって

トールが直ぐにでもアークエンジェルの前に姿を

あらわすような気がした。

やっと振り向く事が出来る、そう思った時。

     【やったの・・・俺じゃない・・・】


だけど彼女は背中を向けたまま動かなかった。

そうだよな・・・やったのが誰かなんて、今更だよな・・

そんな事、言ったって彼氏戻らないもんな・・・


どんな顔、してんだ?  また泣いてるのか?

クソッ、この鉄格子がジャマしてわからねぇ。


やっぱ、恨んでるのか、彼氏討った仲間の俺、を。

撃たないの?


敵討ちに来たんでしょ?

何言ってるの、この人。

私は思考が停止する。

なんでそんな簡単に撃つとか言うの?!


私の一旦閉じ込めた黒いドロドロとしたものが、

心の中で叫び、再び嵐を起こす。

憎いんだろ?

俺だって、憎たらしいよ。


ちびっこくて、お節介だったアイツ

ニコルを失った。

ストライクのパイロットにやられた。

失って初めて解る、だけどそれはもう遅すぎて。

アイツはもう居ない・・・・・

俺も仲間をあんたらに殺された。

だけど、これは戦争だぞ?人が死ぬのは当たり前だろ。
互いに命を懸けて戦ってるんだから。
戦争にどっちが正しくて悪いかなんてあんのかよ!?

アンタがここで俺を殺して、今度はそれ知った俺の
身内がアンタを殺し・・・・憎しみは憎しみしか生まねぇだろ。

何俺熱く語っちゃってんの? 俺。

別にどうだって良かったはずなのに。

無能なナチュラルがどうなろうと。





















だけど、こいつら必死で生きていた。

たいした傷じゃないのに不器用な手つきで

医務室のヒト悶着ン時の傷手当てしてくれちゃて。

逆にそっちの方がイテェっつーの。

あの眼鏡野郎、食事持ってきた時だっイチイチ状況

安易に報告してくれちゃう奴がいるかよ。

俺は敵、だぜ?

毎日怪我の具合聞いてくる奴がいるかよ。

ナチュラルなんて馬鹿だと思ってたけどな。


大馬鹿野郎だぜ。嫌になる位な。

お人よしで。

憎しみは連鎖する。

憎しみは憎しみしか生まない。


そんな事、わかってる。

でもわかる事とそれを納得できるかは別よ。

大切な人を奪われて、その奪った敵軍が目の前に居るとしたら?

それを全て承知の上で、相手を許せる?

私はやっぱりそこまで人間出来ていない。

・・・・・・・っ!

・・・あ-----もう!

?!

なんかもう、どうでも良くなっちまった。

何を目的で戦ってきたのかも。

今となってはちっぽけな事に思える。

【生意気で無能なナチュラルの排除】

ついこの間まで当たり前の様に言葉にしていた自分。

ナチュラルの事なんてなんも知らなかった。

無知なのは俺の方。大馬鹿野郎も、な。


こんな奴、やっぱ憎たらしいよな。

好きにしてくれよ。

戦いの場が戦場だけとは限らないんだな。

俺はこの女に撃たれるかもしれない。

だけど、それも仕方の無い事。

彼女も心で戦ってたんだな。


ここからじゃ彼女の顔見えねぇや。

まだ辛そうな顔してんのか?

ってか、俺彼女の辛そうな顔以外見てねぇ。

笑顔 想像もつかねぇや。

そんだけ今の顔と笑顔がかけ離れてるからか。

笑った顔、見ないまま撃たれんのはちょっと忍びないけどな。

好きにしてくれって・・・・・

な、何よ・・・・・



そっとわき目を振るとアイツはため息交じりに

背中を向け、ベッドに寝転んだ。

ベッドからはその硬さを主張する古びたスプリングの音が

静まり返った独房全体に響いた。

なんだか心が焦燥感に駆られた。


私はそのまま駆け出していた。

PHASE.2

瞬間、心、重ねて。

彼女に背を向けて目を瞑ったら足音が離れていくのがわかった。

目を開け彼女の居た場所を振り返ると彼女は居なかった。


クソッ、一体なんなんだ。

なんでこんなにも、イライラするんだ。


俺はベッドの真ん中で丸くなり目を再び強く瞑ると

泣いている顔

驚いている顔

怖がっている顔

俺が今まで見てきた彼女の顔。

そして戦争中、何処へ行っても嫌と言う程見てきた表情。

軍に所属している身とあってもそれは痛々しくて落ち着かなかった。


        笑顔、見てみてぇな・・・・・・・


・・・アリア?ミリアリアッ

えっ!?

考え事をしていた私は不意にサイに話しかけられ

素っ頓狂な声が出た。


サイが微笑んでいる。

え?少しは食べるようになったって?


人って不思議よね・・・どんな状況下でも、

自然とお腹が減る・・・・・・


もうこんな時間か・・・データー転送しないといけない分が

あったのよね・・・

さて・・と。食器、片付けて行かないと。






食器とトレイを厨房のカウンターへ持って行った時に、

唯一、一組だけ全く手のつけてない既に冷め切った食事

トレイがおいてあるのに気づいた。

あれ・・・?・・・すみません、これ・・・・誰が?

あ〜、それ。持って行ってっつったのにな。

例の捕虜の分だよ。すまないが、アンタ持って行ってくれないか?

じゃないといつまで経っても片付かなくてね。

えっ・・・なんで私が・・・




アイツ・・・お腹減ったのかな。

今までの食事、どうしてたんだろう。



私は恐る恐るトレイに手を出した。

アイツ、1度ならず2度までも・・・

俺をやるチャンスならいくらでもあったはずだ。


珍しく自分でも驚く程のお節介だったな。

彼女の前だと、調子を狂わされる。

・・・・・嫌われちまったかな。これ以上に無いって位に。


ん?

今日の配給、遅いじゃないの。


食事よ。

ゴタゴタしてたの・・・遅れてゴメン。

え・・・・?


俺は目の前の人物が一瞬誰だか判断するのに

時間がかかった。

その位、目の前の人物に驚いた。

何よ

何、唖然とした顔してんのよ。

そんな顔して見ないでよ。

どうしていいか解らなくなるでしょう。

何かしゃべんなさいよ・・・・

いつもみたく、憎まれ口でも良いから。

じゃなきゃ、どうしていいか 解かんないじゃない。

あ、・・・いやなんかお前が持ってくるとは思わなかったから

お前?

すいません、・・・貴方様。

ミリアリアよ、“あんた”じゃないンだからっ・・・!

へっ? ・・・名前で呼んでいいのかよ。

嫌っ!!

なんだ?

心臓らへんが妙に温かい気がする?

なんかとっても心地良い気持ちだ・・・

こんな気持ち、なった事ねぇや。



あっ!
もう行っちまうのかよ?!

俺はもう少しこの時間を繋ぎ止めておきたかった。

必死で彼女の気を引く。

【ミリアリア】

心の中で叫んでみたけど、実際声に出せなかった。

彼女が悲しい顔をして、この空間が夢のものに

なっちまいそうで。

あっ、な、なぁ、おいっ!

何よ。

私は必死で冷静ぶった声で返事をした。

コイツと普通に会話している自分。

こんな風に言葉と言う言葉を発したの

とっても久々な気がする。


そして

話していて、心が和む自分が居た。



怖かった

自分が。

早く立ち去らなきゃ。


真綿で首を締め付けられる思いだった。

これ以上、侵食しないで・・・

ガードした氷をゆっくりと溶かすように・・・

くそっ、話すネタ思いつかねぇ。

口にする話題みんなカレシの事や

戦争の事に繋がっちまう。

これ以上、悲しい顔、

見たくないからな・・・

どうなってんだ、この船。
何で俺は乗っけられたままなんだよ。

それにこのまま戦闘なんてマトモじゃないぜ。

わかってるわよ!

でも、しょうがないじゃない。

ここ、何処だよ?



俺はいつここからでられるんだ?

そしてお前ともバイバイ・・・

俺を見て悲しい思いすることも無くなるな

清々すんだろ?


そして、俺は戻ったらどうするんだ?

再び、バスターに乗り込み

こいつらの乗ったこの足つきを落とすのか?

オーブよ。

・・・私達も出られないんだから。
あんたの事なんて知らないわよ。

あン?

・・・食事、早く済ませちゃってよね。


トレイ後で取りに来るから。

再び静まりかえった独房。

ここでの何日かの生活でなれたはずなのに

今は妙に空寂が侘しい気持ちになるな・・・


だけど

彼女、・・・ミリアリア・・・・

ミリアリア、いつも見せてた顔の中で

さっきのは、自然ぽかった?

笑顔は見れなかったけどな。



でも、そんな暇無いな。

戦闘、また始まるってな。

様子見て脱出するしかねぇかな。

こいつらは、最後までここで・・・・・・・

ミリアリアも、あの眼鏡にしたって

16、7歳位の年の奴結構乗ってたな。

戦争にガキ使って、地球軍ってのは何考えてんだか。

まぁ、ザフトのG.パイロットもそうなんだけどさ。


ふざけてるよな、こんな戦いはさ。

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