沢田は分かる? そう言って応接室の窓をバックに意味あり気に笑ったヒバリさんを見て、 ああオレはなんて幸せ者なんだろうって思った。 ヒバリさん、 オレにも分かりません。 たった今目の前で血の海の中に倒れこんだあなたはあと少しオレに届かず、 バカみたいに立ち尽くすオレとヒバリさんの間には あとほんのちょっと距離があいたままです。 いつもピンチになると助けてくれて、 助けてくれたのにオレお礼言えなくて、 バカみたいに「殺さないで」そればっかり繰り返してた。 言えばよかった。 お礼だって並盛の風紀だって今日の天気だって 何でもいい、 もっとあなたと話すべきだった。 泣いてるオレの涙を困った顔で拭ってくれて、 その白くて綺麗な手、すごく好きで、触れられたところはいつも熱くて堪らなかった。 ヒバリさん 折角綺麗な手なのに半分以上血に浸かっちゃってほとんど見えないじゃないですか。 血みどろの手でいいですから、我慢しますから、また涙拭いてくださいよ。 寝てないで、起きて、困った顔で。また。ねえ。 ヒバリさん ヒバリさん ヒバリさん

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