噎せ返る血の臭いに思わず顔を顰めた。 連行されていくゼロの様子にああきっと逃げる算段があるのだなとぼんやり考えながら いつの間にか思考の外へ追い出してしまっていたらしいそれに目を向けた。 「スザクくん…」 大量の鳥の死骸の中横たわる姿は何処か現実離れして、思考がうまく働いていないのが分かった。 早く助け起こしてやらなければと思うのに身体が動かない。 この映像に酷く惹かれている自分がいて、こんな姿を見ることはもう二度とないのだと 鈍い思考の僅か冷静な部分がそんなことを考えている。 よく見れば背中から生える赤い羽は本物ではなく、絵であった。 大量の鳥の死骸の使い道に合点がいって、ゼロの彼への深い愛憎を垣間見た気がした。 ばたばたと複数の足音がこちらへ向かっているのが聞こえて、漸く身体が彼を助ける為に動いた。 心臓の奥の方で何かが、残念、と呟いたのはきっと気のせい。 ごめ、スザク、ごめ…。 2007.02.16

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