拓っくんが小町っちゃんに貞操帯を嵌める話


 ある休日、小町が病院から帰るとテーブルの上に小包が置かれていた。
「これ何?」
「お前への完治祝い」
 拓がプレゼントなんて珍しい、と大げさに驚きながら開けてみると中に入っていたのは金属製のベルトのような物だった。
「何だ、これ?ベルト?」
「……貞操帯だ」
「はぁ?」

「お前の責任で性病かかったっつーのに、全く反省の色が見えねぇんだよ」
「へ?」
「そりゃ楽しいことは大事だけどよ、もう若くねぇんだから健康が第一だろうが」
「お、おう」
「すぐ直るヤツだったからよかったようなもんだろうが?」
「……そうだけど」
「それ着てもうちっと反省しろ」
「え? え?」

 1日目。
「なぁおい、冗談だろぉ?外してくれよーこんなの絶対めんどくせぇって。何ならかかった金俺が払ってもいいからさあー。頼むよ」
「……」
 拓は小町の頼みを完全に無視した。
 小町はずっとぶつぶつ言っていたが、拓は風呂に入る時も寝る時も外してくれる気配を見せず、小町は拓の本気を理解した。

 2日目。
 仕事だったが当然拓は貞操帯の鍵を外してくれない。
 体にフィットはしているので、仕事をこなすこと自体に特に不自由はなかったが、何度か腰にトラックのドア等の固いものがぶつかり、カツンと高い音が鳴った時はひやっとさせられた。
 構造上用を足す時に個室に入らなければならないのが不便だ。

 3日目。
「なぁ、拓、頼むからこれ、外して…朝勃ちしかけただけで食い込んでクソ痛ぇし…十分、反省したから、マジで、信じてくれよ…そもそも直るまで禁欲生活してたじゃんかよぉ…溜まってしょうがねぇし勃つと痛ぇし、頭おかしくなるって…」
 拓は小町を一瞥して
「あと3日だな」
 と言った。

 4日目。
 小町は大人しくなった。口数が減った。
 トイレの時に必ず個室に行くこともあって、青果商内では「腹を壊している」という見解になっていた。
 小町っちゃんは大丈夫なのか、と拓も何人かに質問された。
「あいつなら大丈夫だ。死ぬこたぁ無いだろうから」
 拓はそんな風に回答していた。

 5日目。
 隣からうめき声が聞こえてきて、拓が目を覚ますと、小町が声を押し殺して泣いていることに気付く。
「うっ…うぐっ……ひっぐ……」
「…いい歳して何泣いてんだ」
「おま、お前のせいだろうがぁ…くるじい…痛ぇ…もう無理だっでぇ…はずして…鍵、どこに置いたんだよ…」
 拓は無視して寝た。

 6日目。
 貞操帯は、知り合いに入れ知恵されての思いつきで軽い気持ちだった。
 拓は正直言ってこんな色々な変化があるとは思っておらず内心驚いていた。
「なぁ、拓っくーん。お茶飲むか?今、そこの店の最中買ってきたんだ。好きだろ?」
「おお、もらうわ」
 こんなすり寄ってくる小町は何年振りだろう。

 7日目。
「おい小町、後ろに手出せ」
「え?こう?」
 拓は小町に後ろ手に、ちゃちな手錠をかけた。
「なっ何!?何でだよ」
「外すからだよ。鍵」
 自分で触らせてしまっては勿体無い。
 本来の趣旨とはズレつつあるが、拓はそう思っていた。カチャリと鍵は外れた。
「はぁあ…」
「ちったぁ反省したか?」
「したよ、しましたよ、だから手錠も取ってくれよぉ…」
「まだ駄目だな」
 拓は用意しておいた濡れタオルで小町のブツを拭いた。
「あぅっ…」
 少し触れただけですぐに勃起してしまう。
「はは。元気なこった」
 拓は口角を上げて言うとタオルを置き直接握った。
 そしてそのまま口付ける。
「ちょ、まだ汚いっ


終わり

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