仄暗い水底の狂宴

ごぼり、ごぼり。
大きい水泡が五右エ門の横をすりぬけていく。
必死に水をかくが、片手に在る斬鉄剣が邪魔をして思うほどのスピードは出ない。
いつもなら剣を咥え両手で水をかくところなのだが、超小型とはいえ酸素ボンベを咥えている手前それも無理だ。
ほの暗い水の底、ここで酸素を手放せば水面までは到底もたない。
とにかく今出来る限りの速度で水面を目指しているのだが、なんせ相手は海洋生物。
その触手はすぐ其処まで迫っていた。
(斬るか)
捕まるくらいなら切り刻むかとも思うが、水中では剣を振るう速度が鈍るだけでなく、さっき放った一撃の手ごたえの悪さからは致命傷を負わせる自信はあまりない。
それどころか斬るために止まればそこで絡めとられてしまう可能性が大きい。
(修行が足らん)
逃げるしかない現状に五右エ門はキリリと唇を噛む。
水さえ出ればこっちのものなのだ。
水面では強力エンジンを備えたボートの上でルパンと次元が待っているし、なんといっても斬鉄剣を振るえる。
地上でさえあれば一瞬で葬り去ることができるはずなのだ。
が、その水面が遠い。
ぼこ。ぼこ。ごぼり。
大小の水泡が五右エ門の周りに立ち昇る。
途方もない存在感が背後に迫る気配に、髪が逆立つのを感じる。
(喰われるのか)
あれは肉食だったか、という疑問が一瞬よぎる。
生きたまま喰われるか、絞め殺されるか、それとも水底に引きずりこまれて窒息するか。
どちらにせよ、嬉しくない最期だ。
ごぼごぼ。ごぼ。
水面まではもう届かない。なら敵わぬまでも斬鉄剣で切り刻んでくれる。
斬鉄剣を抜こうと決意するのと、その斬鉄剣を絡めとられるのは同時だった。
一瞬の判断の遅れが、斬鉄剣を五右エ門から取り上げてしまったのだ。
(しまった!)
目の前で絡まれ遠のく斬鉄剣に必死で手を伸ばすも、片足をぐいと水底に引き込まれる。
(ぐっ)
1本ではなかった。
五右エ門の動きが止まったと同時に何本ものモノが体に巻きつく。
黒褐色のぬめる太い触手。尋常な太さではない。
先端こそは細いが、それは根元に近づくに従い五右エ門の腕や太腿以上の太さになる。
ぬるぬるとした弾力がある感触。
痛いくらいに肌に張り付いてくる吸盤。
それは見たこともないくらい巨大な蛸だった。
8本の触手がうねうねと蠢き、捕獲した獲物の全身に纏わりついてくる。
(くそう)
四肢の動きを封じ込められ身動きひとつ出来ない状態。
それでもまだ逃れようともがく五右エ門だったが、思いもよらぬ刺激をうけて体が硬直した。
大蛸は補足した獲物を絞め殺すどころか、犯すように弄りはじめたのだ。
足元、襟首、胸元と、衣服の隙間から遠慮ない動きで侵入し、その白い肌をまさぐる。
器用に蠢く先端が入り込み、徐々に太くなる幹が衣服を緩め、五右エ門から剥ぎ取っていく。
(!!)
褌の下に潜り込んできた触手に五右エ門は声にならない叫びをあげた。
信じられなかった。
どうみても蛸の触手の動きは五右エ門を弄び、性的に刺激しようとしているとしか思えないのだ。
(やめっ)
手足を振り回し身を捩って必死で逃れようとするが、絡みつく8本の触手はびくともしない。
手足をがっちりと拘束し、細かい吸盤のある先端が乳首や脇腹に吸いつきはじめた。
緩まった褌の下で、我が物顔で触手が蠢く。
(う、あっ)
くるくると器用に巻きつき強弱をつけて揉まれる刺激に五右エ門の体はびくりと仰け反った。
おぞましい人外のものに犯される恐怖と屈辱。
だが触手の動きは巧みで、五右エ門の嫌悪感や拒絶感を押さえ込み、生物としての体の反応を易々と引きずり出す。
個々に蠢く触手の動きは五右エ門の性感を攻め立てて、欲情させることに成功した。
(いやだっ)
鳥肌を立て滅茶苦茶に暴れるが、大蛸は獲物の意思などお構いなくその体をじっくりと味わう。
立ち上がった乳首。
勃起した性器。
五右エ門の体は本人の意思を無視して発情する。
あまりの屈辱感に五右エ門の眦から涙が零れるが、それは海水と交じり合いすぐに消え去った。
ぐい、と尻を割りひらかれる動きに、五右エ門の目が驚愕に見開かれる。
(まさか)
咄嗟に尻に渾身の力を込め閉じ込むが、強制的な力を持つ触手がその間にジリジリと入り込んでいく。
これは蛸なのだ。
人間と違う生殖を持つ、生物のはずなのに。
この行為はなんだ、こいつはなにをしようとしているのだ。
あまりのことにパニックを起こしはじめている五右エ門に構わず、触手は窄む場所へと辿りつく。
チロチロと窄みを撫で回す動きに、五右エ門の背筋に悪寒が駆け上がる。
体を貫く怖気に一気に正気に戻るが、だからといってどうすることもできず。
窄みの位置を確認した触手は先端をビタリと宛がい、抵抗を捻じ伏せる力で侵入をはじめた。
(!?!?)
拓かれていく感覚、体内に入り込まれる感触。
侵入と同時に、体の表面を蠢く触手の動きも激しく巧みになる。
前を扱かれ、後ろを犯され、乳首や体の表面を余すことなく刺激される。
体内の触手はうごめきながら肉壁を擦りあげ掻き回わし、じわじわと奥へと進んでいく。
細かった先端に続く太い幹がぐわりと窄みを押し開く。
五右エ門は指先で水を掻き毟りながら、そのおぞましいまでの快感に悲鳴をあげた。

(次元、ルパン・・・ッ)
遠い水面をみあげながら必死に助けを呼ぶ。
今、五右エ門と生を繋ぐのは咥えている酸素ボンベのみ。その空気が切れれば待つのは窒息という死。
それまで身動きとれない状態で、この人ならぬ海洋生物に辱めを受け続けるのだ。
(はやく、来てくれ)
こんな状況でもただ仲間を信じ、五右エ門は心の中で必死に叫び続けた。


 
■コメント

あすないさんの『すまん!ヤリすぎた!』に堪らなく萌えました!
なにあのエロダコ、そしてそれに捕らわれた五右エ門のエロさは!!
と妄想MAXになってしまい、挿文を書かせて頂きました。
ホント、あの蛸五、マジ堪らんvvv(鼻血)
 

 
 
 

 

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