五右エ門は部屋の隅で胡坐をかいていた。
いつもなら目を閉じ瞑想、といったところなのだが今日は違う。少し離れたソファーに座る次元をじっとみつめていた。
次元は日課になっている愛銃のメンテナンスをしている最中だ。
楽しげに鼻歌など歌ってはいるが目は真剣で、五右エ門の視線など気がつかないほど集中している。
いつもと変わらぬ風景なのに、今日はなぜだかそんな次元から五右エ門は目が離せなかった。
正しくいえば「次元から」ではなく「次元の指先から」なのだが。
一見、不器用そうにみえるゴツゴツと太い男の指が、起用に細かく動き小さな部品まで丁寧な動きで解体し磨きあげ組み立て直す。
少し太いが長い指だ。
爪は深爪になりそうなくらいまで短く切られている。
羨ましいことに、男らしく指毛までしっかりと生えている。
そんな指先が、大事な愛銃を隅々まで愛撫するように磨きあげていくのだ。
見つめている自分に気がつき何度も目をそらすのにどうしてか、五右エ門はその器用な指の動きをいつのまにか目で追ってしまっていた。
スッと肌を撫でる指先。
細かく起用に蠢く指。
関節があたる感触。
体がリアルに指の動きを再現させる。
次元は組み立て終わった銃のシリンダーをシャッと回しガチャリとセットした。
同時に五右エ門は立ち上がり、満足そうに笑う次元に近づく。
「なんだ?」
油で汚れた手を綺麗にふき取りながら、次元は無言で横に立った五右エ門を見上げた。
「終わったか?」
「ああ」
会話を交わしながらも視線は合わない。五右エ門はただひたすら次元の手をみつめている。
「どうしたんだ?」
様子がいつもと違うことを訝しく思いながら、布と銃をサイドテーブルへ置いて次元は五右エ門へ手を伸ばした。
と、その手がとられる。
「では、次は」
「は?」
「拙者の番だな?」
五右エ門は掴んだ手を口元に持っていくと、中指をゆっくりと咥え込んだ。
驚きに次元が目を見開くが、かまわずまるで飴でも舐めるかのようにくちゅくちゅと音を立ててしゃぶる。
太く長い指を舌と唇を使って愛撫し歯で優しく甘噛みすると、次元が小さく息を飲んだ。
その反応に五右エ門は目を細め、唾液でぬらぬらと濡れる指を口から解放した。
代わりにみせつけるように舌を出し、指を1本ずつ先から指の股まで舐め始める。
次元は息をつめてそれをみつめる。
いやらしく嘗め回しながら上目使いでみあげてくる視線。
いつも涼しげな眼に灯った情欲の色を確認して次元はニヤリと笑う。
自由な方の手を伸ばし、五右エ門の首裏を掴みグイと引き寄せた。
「そうだな、今度はおまえの番だ」
その言葉を聞いた五右エ門は、掴んでいた次元の手を放した。
腰を引き寄せられ、その意のままに次元の膝の上に向かい合わせに座る。
目を細めて微笑む五右エ門の首筋に舌を這わせながら、次元は唾液でしとどに濡れた指を袴の下へ滑り込ませた。
「もう、ひくついてるぜ?」
クスクス笑いながら囁くと、
「おぬしが煽ったからだろう」
と耳朶を噛みながら囁き返す。
ぐいと捻りこまれる刺激と遠慮なく奥を目指す動きに、背を反らせながら五右エ門は熱い吐息を漏らした。
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