リンリンと忙しなく鈴が鳴る。
いつもなら床やベッドが軋む音が気になるのだが、今夜は違った。
結合部から発するいやらしい湿った音も、荒い息遣いも、つい喉の奥から漏れた嬌声も、すべてが鈴の音に掻き消される。
一定のリズムで鳴っていたかと思うと、リン!と一段と大きく響き渡る。
その度にBJはシーツを握り締め衝撃に耐えているのだ。
「クリスマスっぽっくて・・・いいだろう?」
息を乱しながらキリコが背後から問いかける。
どこがだ!と怒鳴りつけてやりたいが、止まらぬ突き上げに噛み締めた唇を開くことができない。
イブはお嬢ちゃんと過ごしたんだから今日はいいよな?
その言葉と共にキリコの自宅に引きずり込まれ、プレゼントと称された大きな鈴つきの首輪をつけられて、そのままベッドへ連れ込まれた。
そして現在に至る。
クリスマスっぽい、というのはこの鈴のことを言っているのだろう。
どうせBJをトナカイに見立て、サンタがトナカイに乗るのは当然だ、とかほざくつもりなのだ。
BJが答えずにいるとキリコの動きが緩慢になった。
鈴の音もゆっくりとしたリズムを刻む。
弧を描くように大きくかきまわされて、ジンとした快楽が体内からジワジワと湧き上がってくる。
はぁぁ、という快楽を乗せた溜息を聞いてキリコは目を細めた。
肉襞がざわめき収縮する。焼けそうな熱にキュッキュと絞られてキリコも大きく息を吐き出した。
激しく動きだしたがる腰を深い深呼吸を繰り返すことによって押さえ込み、キリコは存在を示すように小刻みに突き出した。
「あっ、」
汗が流れる背中が声と共にくんと反り返る。
同時にリンと鈴が大きく鳴り響き、すぐにキリコの動きに合わせてリンリンと細かく小さく鳴り出した。
「どうだ?」
腰をがっちり掴み、後門を出入りするテカテカと光る己の性器を満足気に眺めながら問いかける。
「・・・なにがだ」
唾液を飲み込み唇を舐め、息を落ち着かせてBJは答えた。
キリコがクリスマスっぽいと称するこの馬鹿馬鹿しい、だが羞恥を煽るこの鈴の音がいいと言っているのだろうと思いながらも、そう答えたら今度こそ怒鳴りつけてやろうと思っての返事だったのだが。
「俺のソリは?」
キリコの返事は思いもよらないものだった。
「・・・・ソリ?」
トナカイが引いているのはソリ。
それは知っているが、BJをトナカイに見立てているとしても何がソリなのか。
だが、そんな疑問もすぐに解消した。
「そ、俺の反り具合」
強調するかのように、根元まで引き出しズンッと一気に根元まで埋め込む。
亀頭が背後の肉を強く擦りあげてくる。
その刺激が、挿入前の、腹につくほど隆々と勃ちあがったキリコの性器をBJの脳裏に浮かび上がらせた。
途端、BJの腰にズクンと快感が走る。
「・・・馬鹿か」
誤魔化すように咄嗟に答えたものの既に遅く、BJの体の変化はダイレクトにキリコに伝わった。
キュウウと窄む後門。その痛いほど締め付けは、キリコの動きさえも阻むほどの強さだ。
咄嗟に下半身に力を入れて、こみあがる射精感を押さえ込むことに成功したキリコは、動きをとめ大きく深呼吸を繰り返した。
「いい・・・みたいだな」
流れた汗が顎から滴り落ちるのを感じながら、キリコは唇をペロリと舐めた。
もう、動き出したい体の衝動は止めない。止めるつもりもない。
「ソリをじっくり感じさせて・・・存分に楽しませてやるよ」
そう高らかに宣言すると、BJの腰を引き寄せながら腰を前後に大きく振り出した。
さっき以上に遠慮ない突き上げにBJの唇から悲鳴があがる。
だが、それも部屋中に鳴り響く鈴の音に掻き消された。
人里離れた場所にひっそりと建つ一軒家のクリスマスは、一晩中賑やかな鈴の音に包まれたのだった。
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