強烈な締め付けに、今まで感じたことがないほどの快楽がキリコの下半身を痺れさせている。
見下ろすと、BJの躯はビクビクと痙攣し、硬く瞑った目尻から涙が流れていた。
ペロリと涙を拭うように眦を舐めると、BJの瞳が開かれた。
キツイ眼差し、抗議するように強く睨みつけてくる眼光に、征服欲が煽られる。
男に組み敷かれて、無理矢理捻りこまれ、それでも屈することのない力強さ。
それを愉しげに見つめながら、キリコは一切の抵抗をねじ伏せようと、足を抱えたまま躯を密着させて倒した。
胸につくほど両足を屈伸され、結合が深くなったBJが苦しげに唸る。
キリコは激しい抵抗が始まる前にと、両手で腕を押さえ込んだ。
口を塞がれ、絡みつくように全身を押さえつけられ、それでもBJは抵抗し暴れようとした。
だが、キリコがそれを許すはずはなく。
抉るように、叩きつけるように、遠慮なく激しく腰を振りはじめる。
「うっ、ぐっ」
BJは獣のような声を発して、身を捩るがほんの少しも逃げ出せない。
後門を男の性器が貫き、内臓を押し開き摩擦する。
強烈な快楽。
女とのセックスでは決して得ることのない、背徳的な快感。
キリコの動きに合わせて、ベッドが鳴り、BJの躯がビクビクと痙攣する。
「どうだ、気持ちいいか?」
息を荒げたキリコの声を聞き、BJがキリコを睨みつける。
だが、その目元は赤く染まり瞳が潤んでいる。
認めたくはないが、躯は意志を無視して快楽を受け入れてしまっているというところだろう。
「じゃ、遠慮はいらないな。もっとよくしてやるよ」
キリコはニヤリと笑うと、腰を引き、角度を変えてある一点を小刻みに突きはじめた。
「んっ!!んんんーーーっ!!」
容赦ない前立腺攻めに、BJの躯が陸に打ち上げられた魚のようにビクビクと痙攣する。
絶え間なく洩れるくぐもった喘ぎ声。
快楽を甘受しようとしているのか散らそうとしているのか、目を瞑り仰け反った頭が左右に絶え間なく振られる。
すっかりと勃起し腹まで反り返った性器がキリコの動きに合わせてぶるぶると震えている。
組み敷いた男のそんな様子に、キリコの興奮はこれ以上ないほど昂っていく。
自分の快楽を求めようと集中攻撃をやめ、腰を回し側面をあますとこなく擦りつけながら最奥まで突き上げる。
熱く狭い内壁に、擦られ締め付けられる快感にキリコは夢中になって腰を振った。
早く引き抜き、前立腺を刺激しながら捻じ込むように貫く。
なんどか奥まで犯したとき、BJが躯全体を仰け反らせ喉の奥から引き攣るような声を発しながら、達した。
触れられていない性器がぶるぶると震え、先端から自らの腹に大量の精液を撒き散らす。
息を荒げ、目を細め、その様子をじっくりと視姦しつつ、キリコは腰を振り続ける。
吐精に締まり蠕動する内壁の動きを愉しみながらも、達したBJの躯に安息を一切与えず突き上げる。
終わらない攻撃にBJの躯は絶頂の波からおりられず、その脳内は次第に快感に飲み込まれていく。
時間の感覚も失くし躯のコントロールも手放して、ただひたすら悶え続けていたBJの意識は、
体内を犯す塊が弾けて熱い飛沫が直腸の奥に注がれたのを感じた瞬間、白くスパークし、そして消えた。
「ちぇんちぇー、もう時間なのよさ」
聞きなれた声と体を揺すられる感覚に、BJは意識を取り戻した。
「はっ」
覚醒と同時に飛び起きて、自分の格好を確認する。
服は眠りについたときのまま。白衣もスラックスもちゃんと身につけている。
乱れも汚れもまったくない。
「ちぇんちぇ、どうちたの?」
BJの行動をみて、ピノコが驚きに目を見張っている。
「あ、いや。なんでもない」
夢だったのか?なんであんな夢を。
そう思いながらベッドから降りたBJの動きがピタリと止まる。
ぐっすりと眠ったおかげで疲労はすっかり取れている。
それなのにある一部が。
痛いというか、体内に、はっきり言えば直腸内に巨大ななにかの異物感が残っている。
そう気がついた瞬間、くぶりと体内からなにかが溢れた。
「ちぇんちぇい?」
「・・・なんでもない。心配するな。すぐに行くからそう伝えてくれ。・・・トイレに寄ってくるよ」
そう言うと「レディーにトイレなんて!」とピノコは少し顔を赤らめて小言を言いながらも、「あらまんちゅー」と元気よく去っていった。
BJはピノコが去ったのを確認して、サイドテーブルに置かれたティッシュを何枚も引き抜いた。
「くそっ」
下着の後ろに手を突きこみ、くぷくぷと溢れ出る精液を拭う。
あの出来事は夢ではなかったのだ。
疲れて泥のように眠っていたところに、キリコに寝込みを襲われた。
疲労と眠気でまともに抵抗できないまま、脱がされ、扱かれ、貫かれた。
BJには情事が終わった記憶がない。
きっと、行為の最中に気を失うようにふたたび眠りについてしまったのだろう。
キリコは眠ったBJから残液を拭い情事のあとを綺麗に始末したのだ。
表面だけは。
征服した証のように体内に残された残液が、、益々BJに羞恥と屈辱感を与える。
トイレで残液を始末したBJは、表現しがたい感情を理性で力ずくで押さえ込み、医者の顔に戻る。
歩く度に体内に異物感を感じるが、そんなことを気にしている場合ではない。
今があの患者が目を覚ますかどうか。
その成果如何では、患者はキリコに引き渡されてしまうのだ。
絶対にそんなことはさせない。
キリコには煮え湯を飲んで貰う。
医者としてのプライドと男としてのプライドが闘志にふたたび火をつける。
そしてBJは患者の待つ病室のドアをゆっくりと開いた。
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