【 advice or sexual harassment? (2) 】
 
 
 
 

いつもの傍若無人な態度と口調を顰めたBJの答え。
それにキリコが気がつかないわけはない。
「その言い方。あったんだろ?」
ニヤリと笑い、隻眼がホラみろと言わんばかりに細められる。
否定したいが、否定できない事実があることは確かだ。
なぜ軽く受け流せなかったのかと後悔しながらも、いきなりこんな話題を振られて動揺してたから仕方がないのだと、自分に言い訳する。
「・・・全部撃退した。簡単に俺がやられるか」
今更とぼけても無駄だと悟り、開き直ったように吐き捨てた。
「あったんだな」
「うるさいっ」
鬼の首をとったような、それみろといわんばかりの愉しそうなキリコの言葉に、つい怒鳴り返す。
「お前さんなぁ、ちゃんと自覚しとかなきゃ、いつか犯されるぞ」
面白がっている中に呆れた雰囲気を滲ませてキリコが言った。
なんだ、それは。
そんなことになるものか。
「そんなことはな」
「仕方ないなぁ」
BJの言葉を遮って、キリコはズイッと近距離まで接近した。
キリコより背の低いBJがどんなに睨みつけてもこの距離だとただの上目使いにしかみえない。
眼光が鋭い分、それだけ相手の征服欲を刺激することを自覚していないのだ。
腰に右手を回しグイッと引き寄せる。
着やせするのか思ったよりも細い腰だ。
「なっ!?」
「抵抗出来ないこともあるってことをよ、今から体に教え込んでやるよ」
左手を背中に回し、思いっきり抱きしめる。
腕の中の身体は驚きに硬直してたが、呆然とした表情を浮かべている顔の真ん中、鼻をペロリと舌先で舐めると正気に戻った。
「ばっ、やめろっ」
バタバタと暴れだす身体を逃さず腰を引くと、BJは逃れるように上半身をそらした。
「その顔。エロい。すっげぇそそられる」
「へ、変態やろうっ」
形勢が不利でも口の悪さは変わらない。
「なんとでもいえ。ウエイトも鍛え方も俺が上だ。逃げられないぜ」
「逃げるっ」
「逃がさない」
キリコはそのまま体重をかけてBJをソファーに押し倒した。
「うわっ」
ドサッとふたつの身体が縺れ込む。
キリコは遠慮なく、全体重をかけてBJを抑えつけ覆いかぶさった。
「声もエロい」
顔を反らす為に仰け反った喉に浮く喉仏をベロリと舐める。
「や、やめっ」
暴れる身体を押さえようと、シャツをひっぱるとボタンがいくつか飛んだ。
大きく開かれた胸元から、いくつもの傷跡がみえる。
「嫌がる顔も、つぎはぎの体も、暴れ方もぜんぶエロいぞ」
「し、知るかっ!俺にどうしろっていうんだっ」
自分よりも一回りある男に押さえつけられて逃げ出すことが出来ないBJは大いに焦った。
いくら体格が劣るとはいえ負ける気はなかったが、意外に鍛えているのかキリコはビクリともしない。
「だから自覚しろっていうんだよ、簡単に無防備になるな」
「わ、わかった、わかったからっ!!」
BJが反射的にそう喚くと、キリコはゆっくりと身体を起こしBJを解放した。
ソファーに仰向けで服を乱して寝転ぶBJをじっくりと見ながら、立ち上がる。
「最初から素直にそういえばいいんだよ。へんな意地を張るから泣く目にあうんだ」
「泣いてないっ」
押さえつける力が緩んだ途端、BJは速攻起き上がりソファーの後ろに逃げた。
確かに涙は流していないが、瞳はすっかりと潤んでいる。
「はいはい、そういうことにしておいてやるよ。じゃあな」
BJを剥いだわりに、キリコ自身は来たときと同じくコートを羽織ったままの格好だ。
くるりと背を向け、玄関に向かうキリコにBJは怒鳴った。
「おまえ、なにをしに来たんだっ」
ノブを回し、身体を半分外に出したところでキリコが振り返る。
「嫌がらせに決まってるだろ。この前患者とられたからな」
「嫌がらせで男相手にセクハラ行為をするのかっ!」
BJの言うことももっともである。
患者を取ったことに対して文句のひとことでも言いに来たのならわかる。
だが、文句を言うでもなく、こんなことを仕掛けてくるとは思わなかった。
いくら嫌がらせとはいえ、普通ここまでするか?
真っ赤な顔して怒鳴るBJを、キリコは愉快そうに見つめる。
「ははは。でもま、この忠告は嘘じゃないぜ?おまえさん、ちゃんと自覚しないといつか」
「もう言うなっ」
まだ、同じ話題を蒸し返そうとするキリコの言葉を怒鳴り声で遮る。
「じゃあな、ブラック・ジャック。ケツには気をつけろよ」
「とっとと帰れーーー!!」
BJはテーブルの上に置いてある灰皿を手にすると、キリコに向かって投げつけた。
バタンという音と共にドアは閉められ、灰皿はドアにぶちあたる。
「あはははははははっ」
ドアの向こうから響く愉しげな笑い声を聞いて、BJは「くっそーー!!」と心底悔しそうに怒鳴ったのだった。
 
 
 
 
 

    
 
 
   
 ■あとがき■
 
今回は非恋人設定なので、間違いなくセクハラです(笑)
こういう仕返しの方がBJには効果あり
そしてキリコは楽しいでしょうな(^^)

 
 
 

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