【 Present for you (2) 】
 
 
 
 

 
BJは嫌そうに箱を眺めたあと、キリコに視線を移す。
受け取り拒否されて少し驚いた顔をしているが怒った様子はない。
それどころか、隠そうとはしているか期待に満ちた顔をしているのだ。
本当に嫌だ、欲しくない、遠くに投げ捨てたい、そんな衝動が湧く。
中身を知らないのにここまで嫌だとは。絶対中身は碌なものではないはず。
BJのカンははずれないのだ。特にキリコの行動に関しては。
「開けろよ」
触れようともしないBJにキリコはにっこりと笑いかける。
「寂しい中年からのせっかくのプレゼントだぜ?受け取ってくれるよな?」
どうも根に持っているようである。
さっきまでの機嫌は、このプレゼントひとつでBJとキリコで逆転した。
上機嫌のキリコと心底嫌そうなBJ。
「さあ、開けてみろよ」
優しげだが有無をいわせぬ口調に急かされ、嫌々ながらもBJは箱に手を伸ばした。
指先が触れた途端、またもやゾクリと嫌な悪寒が走る。
だが逃げられそうにはない。もうこうなったら中身を確認して対処するしかない。
と腹を括ったBJは眉を顰めながらもラッピンッグをとき、箱をあけた。

「・・・・」
絶句。
やっぱりという思いと、なんつう馬鹿な男だという思いと、これが今日の目的かという思いと、さてどう逃げようかという思い。
色々な思いが同時にBJの脳内を巡った。
「どうよ、楽しそうだろ?」
ニヤニヤと笑うキリコを拳骨で殴りつけたくなるBJである。
箱の中には嫌な予感そのままの品物。
男の性器をかたどった、つまり大人のおもちゃ、バイブが箱の中に鎮座していた。
「・・・なんだこれは」
出来るだけ感情を消して問う。
「刺激的でいいだろ」
いいはずはない。
こんなの使われたら堪らない。
それでなくとも体格と体力に差があり、先にヘバルのはBJなのだ。
この際体力は関係ないかもしれない。
元々の使用法で挑むキリコと、元々の使用法外で挑まれるBJ。
間違った性の使用は体に負担をかけるし、体力の消耗が激しい。
こんなの使われた日にはますます体力を消耗するうえ、キリコはいつまで経っても元気だろう。
さて本番となったとき息も絶え絶えになってそうだ。
「いやだ」
「いいじゃないか、たまには」
「あほか」
「あほでもいいぜ、使えるならな」
キリコは引かない。今日は引くつもりはない。
刺激が欲しいとか、いつもと違ったプレイをしたいとかそういう理由じゃない。
犯されているBJを客観的にみてみたいのだ。
彼の仕草、喘ぐ様、感じる姿。
いつもは自分も快楽の中にいるからじっくりと観察する余裕がない。
だからそれをみてみたい。どんな風に彼が自分に抱かれているのか。
まったく同じではないだろうが道具を使えば擬似的には体験できるだろう。
それに無機質な物体に犯されて感じさせられて屈辱を感じるであろう彼の姿も見てみたい。
想像するだけで興奮する、煽られる。
いつの間にかテーブルを越えてきたキリコはBJを床に押し倒しつつあった。
そしてやっぱりいつの間にかキリコの手にはバイブが握られている。
BJは大きく溜息を吐く。
この馬鹿がと思うが、とにかく使用は回避したい。
だいたい男とのセックスというのもアブノーマルなのにこれ以上アブノーマルな道に入り込みたくない。
今日はキリコとヤるつもり満々で来たが、こんなものを使われるつもりは更々ないのだ。
BJの手が下肢へ伸び、キリコの股間をスルリと撫で上げた。
突然の性的刺激にキリコの体がピクリと反応する。
すかさず片手を首に巻きつけ引き寄せると、耳元でBJは囁いた。
「久しぶりに会ったんだぞ?せっかくお前さんのがあるのに・・・他のなんていらない」
「ブラッ・・・」
「こんなチャチなもんじゃなく、お前さんのを挿れてくれよ」
吐息に乗せて甘く囁きながら優しく股間を摩りあげるとキリコのモノがグンと勃起しはじめた。
「ブラック・ジャック!!」
感動と欲情が入り混じった声で名を呼びながら、手の中のバイブを放り投げ両手でBJを抱きしめるキリコ。
落ちた。
意外と簡単だった。
というか、呆気なさ過ぎる。
ホント、こういうとこは単純なヤツだ。
BJはニヤリと笑うがキリコは気がつかない。
床へそのまま押し倒そうとするキリコを押し留め「寝室へ行こう」と耳朶を齧りながら囁く。
ぐんっと勢いよく体が引き起こされる。
キリコはBJの唇を奪い服を緩めながらも、腰を抱き寄せ寝室へと歩きだした。
BJはチラリと視線を下ろし足元にあるバイブを後ろ足で遠くに蹴りすて、誘う仕草でキリコに寄り添いリビングをあとにした。


久々の逢瀬。
情熱的で充実した夜を越えて迎えた朝。
キリコはBJにしてやられたと少々悔しがっていた。
昨夜の行為に不満はない。身も心も充実して存分に愉しんだ。最高の夜だった。
だが、結局目的のものは使用できなかった。
「しつこいなぁ。お前さんも」
ブツブツ言うキリコをみながら呆れたようにBJは呟いた。
「しつこくなんかねぇよ。アレ使うの楽しみにしてたのに」
未練たらしいその姿は、次回に使うとまた言い出しそうな勢いがある。
ここでビシっと諦めさせておかなければ、毎度策を練らなければならなくなる。
それでは、おちおちキリコとセックスもできない。
仕方がないと、朝起きてからずっと考えて思いついた言葉をBJは口にした。
「お前さん、体力に自信がなくなってきたから道具でごまかそうとしてるんだろ」
「な、なに?」
不名誉な誤解である。
もういい年だがまだ枯れてないし、体力にはまだまだ自信がある。
BJ自身、昨夜それを身をもって知ったはずだ、と憮然として反論すると。
「お前さんじゃ満足できなくなったら、そのときは使わせてやるよ」
ニヤニヤと笑ってBJは楽しげにキリコをみた。
ぐっと詰まったキリコである。
そう言われてしまえば、男のプライドがバイブを使うことを好しとしない。
そんなキリコの様子をみてBJは上機嫌で笑い、当分の間はアブノーマルな道に進まされる危険はなくなったと安堵したのだった。
 
 
 
 
 

    
 
 
   
 ■あとがき■
12月なのでクリスマスネタのつもりだったんですけど・・・
なんでこうなるのか。
キリコ、かなりなオバカさんですね。
BJにいいように振り回されてます(爆)

それにしてもおっかしいなぁ。
なんでクリスマスネタなのにラブラブキリジャにならないんだろ(大笑)

 
 
 

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